オンライン:危機管理アドバイザー 国崎信江さん
西村)地震や台風などの自然災害だけではなく、事件や事故に遭うなど、わたしたちの命が脅かされる危険は常に身近に潜んでいます。もしものときに落ち着いて自分の命を守る行動ができますか。特に子どもは親や大人がいつも近くにいるとは限りません。登下校時や放課後など、子どもだけでいるときに命の危険が迫ったらどうすれば良いのでしょうか。
きょうは、危機管理アドバイザーの国崎信江さんに、子どもはもちろん、大人にも役に立つ「いのちを守る方法」を教えてもらいます。
国崎)よろしくお願いいたします。
西村)災害や犯罪から命を守る方法について教えてください。
国崎)わたしが監修した「いのちをまもる図鑑」の中から紹介します。どんな場面でも命を守るために最も大切なのは「知識と想像力」。"今ここで非常事態が起きたらどうしたら良いのか"を常に考える習慣をつけてほしいです。
西村)「もし今ここで震度7の大きな地震が起きたら...」という風に。
国崎)仕事帰り、買い物中、友達と食事、自宅で料理中...さまざまな場面で、「もし今地震が起きたら...」と考える癖をつけてください。楽しいことをしているときは、悪いことはあまり考えないと思いますが、どんなときでもちょっとした瞬間に考える癖をつけておくだけで、何か起きても慌てずに行動することができます。「ブロック塀の近くにいるから離れよう」など、一瞬で動くことができるかで生死を分けることがあります。人間はイメージしていないことは行動できません。考えることが苦にならないようなところまで習慣化しておくことによって、自分の命を守る力がつきます。大人が子どもを守るだけはなく、子どもが自分で自分の命を守ることができる力を育てていくことが重要です。
西村)命を守る方法をいくつか教えてください。
国崎)「いのちをまもる図鑑」は子ども向けとはいえ、保護者からも「知らないことが多くて参考になった」という声をたくさんいただいています。大人にも役立つ"命を守るため"のさまざまな方法を紹介します。まずは、自然災害から命を守る方法です。3択で答えてください。
●西村さんが家にいたら、突然大地震が来ました。どうしますか?
①テーブルの下に潜る ②テレビをつけて震度を見る ③廊下に逃げる
西村)リスナーの皆さんは何番だと思いますか。正解は?
国崎)③廊下に逃げる、です。テーブルは、4本足が固定されているかが重要。テーブルが床に固定されていなければ、大きな地震で激しく動いてテーブルそのものが凶器になります。下に潜るより、むしろ離れた方が安全という場合も。「廊下に逃げる」が正解ですが、廊下にも条件があります。廊下に何も置いていないということが大事。避難動線上の廊下に家具やお歳暮のダンボールがたくさん置かれていると、そこに逃げたらものが倒れてきたり、足を取られて転んだりすることがあります。廊下に物が置かれていないなら③が正解になります。
西村)額縁に入っている絵が飛んでくることもありそうですね。
国崎)そういうところを一つ一つチェックして、自宅の中でどこが安全かを確認しておきましょう。次の質問です。
●公園で遊んでいたら、急に雷の音がしてきました。どこに逃げますか。
①大きな木の下 ②公衆トイレの中 ③公衆トイレの軒下
西村)よく漫画やドラマの中で、建物の軒下で雨が止むのを待つシーンを見ますよね。
国崎)正解は、②公衆トイレの中、です。雷から命を守るためには、鉄筋コンクリートの建物の中が安全です。ただし、壁から1m以上は離れてください。壁にもたれたり壁に触れたりすると、建物の中に雷が落ちたときに壁から感電してしまうということがあります。風呂やキッチンで水に触れるのも危険です。水道管を通って電気に触れて感電してしまうことがあるからです。電気製品も電線を通って感電してしまうということがあるので触れないようにしてください。固定電話は、雷が鳴っているときは、親機で話をしないでください。
西村)心配になって、実家に電話してしまいそうです...。
国崎)電話線を通じて感電してしまう恐れがあり、受話器を耳に当てていると非常に危険。子機や携帯電話なら大丈夫です。建物の軒下や木の下は、雷が飛んでくるので危険です。車の中や建物の中に避難してください。
西村)雷は恐ろしいですね。大切なことを教えていただきました。このような話は、幼い頃からよく聞いていますが、一歩踏み込んだ話は知らなかったので勉強になりました。
国崎)もうすぐ冬休みです、災害だけではなく、子どもを狙う犯罪にも気をつけてください。休みになると子どもだけで過ごす時間が多くなり、子どもが狙われることもあります。子どもが道を歩いているときに「猫がいなくなって困っているから探してほしい」と話しかけられたら。また、子どもがエレベーターに1人で乗っているときに「どこ行くの?」「遊びに行かない?」と話しかけられたら。こんなときにどうしたら良いのかを家族で話し合っておきましょう。
西村)「猫がいなくなったから探して欲しい」と4歳の娘が言われたら、猫が大好きなのでついて行ってしまいそうです。
国崎)優しい心につけこむ人もいます。子どもの好きなもので騙すのです。いい人か悪い人かは見た目ではわかりません。一つ覚えておいてほしいのは、「本当に困っている大人は子どもに頼らない」ということ。
西村)確かにそうですね。道を聞くなら、大人の人を探して聞きますよね。
国崎)大人は自分で解決する方法を知っています。スマートフォンの地図アプリを見て自分で調べることができます。猫を探すなら、警察や保健所に聞きます。本当に困っていることは子どもに頼まないので、頼みごとをしてくる大人は怪しいと思ってすぐにその場から立ち去り、保護者や先生に必ず報告してください。エレベーターでは知らない人となるべく2人きりにならないようにしましょう。もし知らない人が乗り込んできたら、「ちょっと思い出した!」という風にさりげなく降りる、操作盤パネルのある逃げやすい入口の近くに立つ、などを心がけてください。
西村)子どもと一緒にエレベーター乗ったときには必ず伝えようと思います。大人も気をつけたいですね。
きょうは、危機管理アドバイザーの国崎信江さんに、命を守る方法について教えていただきました。