第1451回「夏休み!子ども防災シリーズ【2】
       ~小学5年生の「防災士」に聞く
ゲスト:小学生防災士 稲月あかりさん
    祖母 藤井節子さん

西村)「夏休み!子ども防災シリーズ」第2回です。
小学5年生で防災士の資格を持つ、香川県・高松市の稲月あかりさん、あかりさんが防災士の資格を取るきっかけを作った、防災士で祖母の藤井節子さんにスタジオにお越しいただきました。
 
稲月)よろしくお願いいたします。
 
西村)あかりさんは、小学4年生のときに防災士の試験を受けて合格し、防災士として活動しているそうですね。あかりさんが防災士になろうと思ったきっかけは何ですか。
 
稲月)わたしは香川県に住んでいたのですが、父の転勤で千葉県に引っ越して、去年の夏に香川県に戻ってきました。千葉県は地震が頻繁に起こっていました。香川県に戻ったとき、災害意識が低いと思ったんです。今、南海トラフのリスクが大きくなっています。自分だけではなく、周りの人の傷ついた顔を見たくないから、みんなに防災意識を高めてほしいと思って、防災士の資格を取ることにしました。
 
西村)千葉県では、どこでどんなふうに揺れましたか。
 
稲月)家にいたときに震度2くらいの小さい揺れが数回ありました。学校でも1度揺れました。地震速報が流れたので、机の下に隠れました。
 
西村)千葉県は、頻繁に大きな地震があり、台風の被害も大きい地域です。学校の防災の授業で学んだことや印象に残っていることはありますか。
 
稲月)授業の内容は、知っていることばっかりだったのですが、衝撃を受けたことがひとつあります。道を歩いているときに地震が起きて「ブロック塀が崩れる」ことはよく聞ききますが、「滑り台が倒れる」と聞いたのは初めてでした
 
西村)既に知っていることが多かったということですが、それは誰から聞いて知っていたのですか。
 
稲月)テレビで見たり、本を読んだりして、知っていたことが多かったです。
 
西村)香川県では、防災の授業はなかったのですか。
 
稲月)防災の授業は年に1回しかありませんでした。
 
西村)そんな中で、あかりさんが防災士になって、みんなに伝えようと思ったのですね。
 
稲月)はい。
 
西村)あかりさんが防災士になるきっかけを作った節子さん。あかりちゃんは、おばあちゃんの防災士としての活動を見て、どんなふうに思っていましたか。
 
稲月)防災についてしっかり取り組んでいて、すごいなと思っていました。おばあちゃんは、子ども向けの防災のイベントやイベントを立ち上げる会を作っています。
 
西村)どんな活動をしているときに、「防災士っていいな」と思いましたか。
 
稲月)いろんな人に防災のことを教えているおばあちゃんが、すごく楽しそうだったからです。
 
西村)それを聞いて、節子さんはどう感じますか。
 
藤井)うれしいいですね。
 
西村)頑張って防災士の勉強をしているあかりさんの姿を見いかがでしたか。
 
藤井)防災士の教本は、すごく大きくて重たいんです。大人でも読むことを躊躇するような本を一生懸命読んで勉強している姿を見て、我が孫ながらすごいなと思っていました。
 
西村)防災士の教科書は、かなり分厚くて、いろいろな難しいことが書かれていますよね。どんなふうに勉強していたのですか。
 
稲月)漢字が全部読めないから、「部首はこうだからこう読むのかな?」と推理して読んでいました。どうしてもわからないときは、国語辞典で調べました。本は好きなので、大抵の漢字は読めました。
 
西村)防災にはいろいろ種類がありますが、印象に残っていることや発見になったこと、難しかったことはありますか。
 
稲月)「災害医療」が難しかったです。災害医療では、腕に色のついたバンドをつけるんです。トリアージといいます。その色の意味について書かれていることかが難しかったです。色には4種類あって、緑が「大丈夫」、黄色が「早めに治療した方がいいね」、赤が「今すぐ治療しないと死んじゃう!」黒は「もう死んじゃう!」という意味です。
 
西村)災害時に救急で運ばれてきた患者のトリアージについて、小学4年生でもう理解しているとはすごいですね。一生懸命勉強しているあかりさんを応援してきた節子さん、合格の知らせを聞いたとき、どう思いましたか。
 
藤井)仕事中だったのですが娘からのメッセージを見て、「やったー!」と言いました。うれしかったです。
 
西村)あかりちゃんはどうでしたか。
 
稲月)歯磨きをしていたときに知ったのですが、歯ブラシが喉に刺さりそうなくらい「うおー!!」と叫びました(笑)。
 
西村)友達の反応はどうでしたか。
 
稲月)みんなびっくりしていました。
 
西村)学校でも防災士の勉強をしていたのですか。
 
稲月)たまに学校に教科書を持っていって、休み時間にパラパラめくって読んでいました。
 
西村)友達と防災の話はしますか。
 
稲月)たまに会話の中に挟みます。「南海トラフがきたら、この辺は津波が来るから気をつけなきゃ」と、積極的に話に入れています。
 
西村)素晴らしいですね。そのような普段の会話が、防災を考えるきっかけになりそう。節子さんは、今のお話を聞いていかがですか。
 
藤井)頼もしいです。子どもの伝える力には説得力があります。子どもが防災の話をすると、それを聞いている大人も「自分ももっと学んでおかないと」と思ってくれる。今回、10歳で防災士になったあかりのことを話題にしていただけたおかげで、みなさんの防災意識が高まったのではないでしょうか。
 
西村)きょうの放送を聞いたみなさんの中に、防災士の勉強してみようと思う人がいるかもしれません。
 
藤井)そうだとうれしいです
 
西村)節子さんはどんな活動をしているのですか。
 
藤井)主に災害支援の活動をしています。被災地から帰ってきて、地元の人たちに災害のことを伝えるのですが、防災意識の低い人が多いです。防災のことをもっとわかりやすく伝えられるように防災士の資格を取りました。
 
西村)あかりさんと一緒にどのような活動をしたいですか。
 
藤井)防災は、いろんな方面から伝えなければなりません。あかりは、3歳ぐらいからわたしたちがやっている団体の防災イベントに参加しています。最初は見ていただけでしたが、最近では一緒に防災クイズを出題したり、大人のかわりに講師になって教えたり。頑張ってくれています。みなさんがすごく真剣に聞いてくれるので、子どもの力はすごいなと思います。
 
西村)ぜひ、防災クイズを一問、紹介してください。
 
稲月)では、「問題!南海トラフ地震は30年後に来る。〇か×か」どっちだと思いますか。
 
西村)リスナーのみなさんも一緒に考えてみてください。
 
稲月)正解は×です。南海トラフ沿いの大規模地震は、今後30年以内に発生する確率が70~80%。30年後ぴったりに来るのではなく、明日来る可能性だってあるんです。
 
西村)ありがとうございます。このようにクイズを通して身近に防災を伝えているのですね。あかりさんはこれからどんな活動をしていきたいですか。
 
稲月)子どもであることのメリットもありますが、まだ子どもだから何でもできるわけではないので、できるだけおばあちゃんの活動に顔を出させてもらえたら。
 
西村)おばあちゃんと一緒に活動していきたいのですね。
 
藤井)うれしいですね。
 
西村)お父さんとお母さんも防災士だそうですね。
 
稲月)お父さんは会社で(防災士の資格を)取って、お母さんはわたしと一緒に試験を受けてくれました。
 
西村)親子で勉強して2人とも合格したのですね。きょうは、オリジナルの防災ポーチを持ってきてくれました。どんなものがはいっているのですか。
 
稲月)ポーチのチャックに緊急用の笛が付いています。
 
西村)吹いてみてください!
 
稲月)「ピューーー」(実際に笛を吹く)
 
西村)あかりさんが大好きなペンギンのポーチに笛がついています。中身は100円均一のお店で揃えたそうですね。
 
稲月)大半はそうです。これは簡易トイレです。トイレに行かないと病気になってしまうのでトイレはすごく大切。これはアルミシート。保温に使えます。これはマスク。携帯食のカロリーメイトも入れています。懐中電灯は停電のときに使います。これはコンパクトなタオル。
 
西村)水に濡らすと広がるタオルですね!
 
稲月)あとは絆創膏とアルコールがはいっています。
 
西村)防災グッズがかわいいポーチに入っているのも良いですね。楽しく防災を伝えてくれることが素敵だと思います。あかりさん、最後にリスナーのみなさんに伝えたいことがありましたら、ぜひ教えてください
 
稲月)災害はいつ起こるかわからないので、いつ来ても大丈夫なように、もう一度自分の家の防災対策を見直してみてください!
 
西村)きょうは香川県・高松市から小学5年生の防災士、稲月あかりさんと、防災士で祖母の藤井節子さんにお話を伺いました。