自由研究にもおすすめの体験型防災学習施設」
取材報告:西村愛キャスター
子どもリポーター 桃佳さん(小学6年生)
西村)夏休み子ども防災シリーズの第3回。きょうは、夏休みの自由研究にもおすすめの防災施設を紹介します。ネットワーク1・17子どもリポーターの桃佳さんと一緒に取材した音声を交えながらお届けします。今回取材したのは、大災害に備えるために必要な知識や技術を体験を通じて学ぶことができる「あべのタスカル」です。
音声・西村)大阪市立阿倍野防災センター「あべのタスカル」にやってきました。西村愛です。よろしくお願いします。
音声・桃佳)ネットワーク1・17子どもリポーターの桃佳です。小学6年生です。よろしくお願いします。
音声・藤岡)大阪市立阿倍野防災センター「あべのタスカル」センター長の藤岡です。「あべのタスカル」は2004年にオープンしました。2019年に改装工事をしてリニューアルオープンしました。体験しながら防災を学べる施設です。令和5年度の年間来場者数は、約9万5000人。子どもからお年寄り、外国人の来館も多いです。
西村)「あべのタスカル」には13の防災体験エリアがあり、ツアー形式で担当者の説明を聞きながら体験することができます。この日は、センター長の藤岡渉さんが各エリアを案内してくれました。映像で災害を体感する「タスカルシアター」からツアーはスタート。体験の模様をお聞きください。
音声・西村)「タスカルシアター」にやってきました。こちらは何を学ぶエリアですか。
音声・藤岡)ここでは約10分の映像を見て、地震の怖さを目で見て感じてもらいます。
音声・西村)「タスカルシアター」の中に入りました。大きなスクリーンがあって天井が高いです。ここではどんな映像を見るのですか。
音声・藤岡)東日本大震災で被災した釜石市の人からのメッセージと「大阪に大地震が起こったら」というドラマ映像を見てもらいます。
音声・西村)桃佳ちゃん、今からドラマの映像が流れるそうですよ。
音声・桃佳)津波を体験したことがないからちょっと緊張します。
(ドラマの音声)
音声・西村)今、大迫力の画面で見ました。桃佳ちゃんは大きな揺れは経験したことがありますか。
音声・桃佳)2018年の大阪北部地震で経験したことがあります。
音声・西村)そのときの記憶はありますか。
音声・桃佳)はい。机の下に荷物を詰め込んでビビっていました!
音声・西村)今の映像を見てみてどう思いましたか。
音声・桃佳)避難場所に移動するときに、「〇〇に逃げます」と紙に書くところが勉強になりました。
音声・西村)逃げる場所を紙に書いてドアのところに貼っておいたから、別の場所にいたお父さんやお母さんと再会できていましたね。この映像を見ると、大人も子どもも大切なことをたくさん学ぶことができますね。
音声・藤岡)日ごろからの避難訓練や備えの大切さを伝えたいです。
音声・西村)ほかにはどんな映像があるのですか。
音声・藤岡)南海トラフ地震や都市直下型地震を想定した映像があります。
西村)映像を見た後は、減災を学ぶエリアに移動して、地震発生直後から避難までの間に取るべき行動を体験します。
音声・藤岡)続いてはこちらです。
音声・西村)明るい部屋にキッチンがあります。
音声・桃佳)すごくリアルです。
音声・西村)食卓もあります。誰かのお家におじゃましたような。ここではどんな体験ができるのでしょうか。
音声・藤岡)地震直後の行動について学ぶことができます。
音声・桃佳)キッチンにいるときに緊急地震速報が流れたらどのように行動すれば良いですか。
音声・藤岡)まず地震が起こったら、頑丈な机などの下に身を隠して、頭を保護してください。揺れが収まったら、ガスコンロなどの火の元を確認して、ドアを開けて出口を確保。ラジオなどから余震や津波の情報を入手してください。避難するときは玄関先に連絡先の表示をしましょう。
音声・西村)ここで実際に体験するのですね。桃佳ちゃんできるかな。
音声・桃佳)本当に地震起こったら冷静でいられないと思います。
音声・西村)だからこそ体験が大事ですね。ではお願いします。
(緊急地震速報の音)
音声・西村)緊急地震速報が流れました。桃佳ちゃんどこに隠れる?
音声・桃佳)机の下!
音声・西村)今、机の下に隠れました。どうしよう。机の足を持った方がいいかな。地震が収まりました
音声・藤岡)キッチンの赤いランプを緑色に変えて、危険を回避してください。
音声・西村)どこに赤いランプがあるかな。
音声・桃佳)ガスコンロの左のところにあります。
音声・西村)ガスコンロを消してみよう。ランプが緑に変わりました。さあ次は給湯器を消しましょう。ランプが緑に変わりました。あとはもう1つ、一番大事な......
音声・桃佳)ブレーカー!
音声・藤岡)停電した後に通電するとストーブなどがついて、倒れてきたものに引火すると危険です。ブレーカーを落として電気が回復しても通電しないようにします。
音声・桃佳)速報が流れたら、すぐに火を止めた方がいいですか。
音声・藤岡)まず身の安全を確保することが大事です。
音声・西村)何か発見はありましたか。
音声・桃佳)家具が倒れないように、事前に家具の下にテープを張って止めたら良いと思いました。
音声・藤岡)倒れてくるようなものには、突っ張り棒の設置などの対策をしましょう。
西村)「あべのタスカル」では、地震によって引き起こされる火災についても学ぶことができます。次にわたしたちが体験したのは、煙の中での避難方法。実際に煙を焚いた部屋の中から脱出します。これが思っている以上に大変でした。
音声・藤岡)次は煙の中での避難を体験するコーナーにいきます。
音声・西村)大きな窓があります。
音声・藤岡)こちらの部屋の中で実際に煙を焚いて避難を体験します。
音声・西村)桃佳ちゃん、火事にあったことはありますか?
音声・桃佳)火事にあったことはないです。
音声・藤岡)火災が発生すると必ず煙が発生します。煙は火災の熱で上昇し、天井につくと横に広がっていきます。横に広がる速さは人が歩く速さと同じぐらいですが、上昇する速さは人が階段を登る速さの約10倍。上層階にいる場合には、必ず下の方へ逃げることを覚えておいてください。煙の中に一酸化炭素という有毒なガスが含まれているので、なるべく吸わないように。吸いすぎると中毒を起こして亡くなる場合もあります。煙を吸わない方法は4つあります。「ハンカチやなどで口や鼻を覆う」「低い姿勢で避難する」「緑色の誘導灯を探して避難する」「出口を出た後には必ず扉を閉める」です。絶対戻らないということが鉄則。それでは煙を焚いていきます。
音声・西村)天井から白い煙が出てきました。桃佳ちゃん、あっという間に広がっていきますね。
音声・桃佳)この煙は、体に悪い成分は入っていませんか。
音声・藤岡)この煙は体に悪い成分は入っていませんので安心してください。低い姿勢でゆっくりと壁を触りながら避難してください。
音声・西村)大事な口を覆いましょう。しゃがみながら移動するのは、腰にきますね...。もくもくした煙がどんどん下にも来ます!素早く逃げるのは大変ですね。冷静さを失ってしまいました。桃佳ちゃん体験してみてどうでしたか。
音声・桃佳)焦りすぎて、ハンカチで口を隠すのを忘れていました。
音声・西村)しゃがんで壁を触ることばかり考えてしまいました。多分すごく煙を吸っていると思います。ハンカチや服で口を覆うのは、日頃から訓練をしていないとできないですね。
音声・藤岡)必ずポケットにはハンカチを一つ入れておきましょう。走ると呼吸も早くなります。それだけたくさん煙を吸うことになるので、落ち着いてゆっくりと壁を触りながら出口へ進むのがポイントです。
西村)訓練とわかっていても、白い煙に包まれると焦ってしまいます。本当の火事だったら、焦げ臭いや炎で冷静さを失って、立って走って逃げてしまいそう。必ず低い姿勢で口を覆って避難し、最後に扉を閉めましょう。最後は瓦礫の街が再現されているエリアで災害発生直後の街に潜む危険を学びます。震度7の揺れも体験してきました。
音声・桃佳)すごい暗い。何かが燃えています。
音声・西村)木造住宅でしょうか。古い家の2階の窓が燃えています。
音声・藤岡)地震発生直後の街並みを再現しています。
音声・桃佳)音も再現されていてすごいリアル!
音声・藤岡)地震が発生した後は、余震が発生します。ここではプロジェクションマッピングを使って、危険な場所を見てもらいます。ではプロジェクションマッピングを開始します。
音声・西村)コンビニの上のビルの2~3階の窓ガラスが揺れて、目の前に落ちてきました!
音声・藤岡)このようなガラス張りの建物はガラスや看板が落ちてくるので、避難所へ向かうときには注意が必要です。
(シュー)
音声・藤岡)これはガスの漏れている音。ガスは家の中では、マイコンメーターで震度5で止まる仕組みになっていますが、外の配管が壊れるとガス漏れが起こります。このようなシューという音や嫌な匂いがしたらガス爆発の危険があるので、近づかないようにしましょう
音声・西村)緊急地震速報が流れています!
音声・藤岡)危ないので頭を隠して避難行動をとってください。室外機等が倒れてきますよ!
音声・西村)危ない!いろんなもの倒れてくる!とりあえずこっちへ行く?避難訓練は、子どもの頃に何回もしたけど、大人になると避難訓練をする機会がないので、改めて経験は大事だと思いました。最後のコーナーでは何を学びますか。
音声・藤岡)震度7の揺れを体験してもらいます。
音声・桃佳)阪神・淡路大震災の震度はどれぐらいですか。
音声・藤岡)これから阪神・淡路大震災と同じ震度7を体験します。時間は約20秒。強い縦揺れになるので、しっかりとバーに捕まってください。
(震度7の揺れを体験)
音声・西村)わー!すごいね!桃佳ちゃん大丈夫?ものすごく大きな揺れで想像以上!
音声・桃佳)ほかの施設で車に乗って震度7を体験したことがあるのですが、比べ物にならないです。自分の足で感じる揺れと車に乗って感じる揺れは違います。
音声・西村)バーを持って、踏ん張って震度7の揺れを体験するとすごく体に伝わってきます。震度7の揺れはかなり大きいですね。
音声・藤岡)縦にも揺れるのでかなりリアルだと思います。地震を知らない人、海外の人は非常に驚きます。大規模な地震が発生した場合は消防・警察・区役所なども被災する可能性があり、すぐに支援が届かない場合があります。自分の命は自分で守れるようにしましょう。この施設は、みなさんの防災能力の向上を図る役割があります。たくさんの人に来ていただきたいです。
西村)この日、防災体験をしていた小学4年生のちひろさんとお父さん、そして子どもリポーターの桃佳さんに感想を聞きました。
音声・西村)今何歳ですか。
音声・ちひろさん)9歳です。
音声・西村)きょうは、なぜここに来ましたか。
音声・ちひろさん)学校で防災を学んでいて、防災について知るために来ました。災害のときにどこに避難するかが一番心に残りました。学んだことをいかして準備したいです。
音声・西村)「あべのタスカル」に来たのは何回目ですか。
音声・お父さん)2回目です。言葉だけで学ぶのではなく、実際に体験できるので、来たことがない人はぜひ来てもらいたいですね。
音声・西村)きょうは、いろいろな体験をしましたが、一番印象に残った体験は?
音声・桃佳)煙の体験が一番印象に残りました。人生で初めて煙をよける体験をしました。姿勢を低くしないといけないことにビックリしました。「煙の中で逃げるときは、背を低くして、ハンカチで口を覆うことを忘れずにしなあかんで!」ってみんなに教えておきます!
西村)きょうご紹介した「あべのタスカル」の入館料は無料です。夏休み中は混み合うこともあるので、ツアー参加希望の場合は、事前の電話予約をおすすめします。9月15日には、災害用伝言ダイヤルの体験講座も開催される予定です。