01月19日(日)
第1476回「阪神・淡路大震災30年【5】~何を伝える?どう伝える?」
取材報告:亘佐和子プロデューサー
6434人が亡くなり3人が行方不明となった阪神・淡路大震災の発生から30年がたちました。17日、追悼行事「1・17のつどい」が開催された神戸・三宮の東遊園地には、震災の遺族、ボランティア、そして語り継ごうとする若い世代や親子連れも大勢訪れました。灯籠で形づくられたのは「よりそう 1・17」の文字。東日本大震災や能登半島地震など各地で災害が続く中、「力を合わせて一歩一歩進んでいきたい」という願いがこめられています。訪れた人たちは何を感じ、どんなことを伝えていくのでしょうか。震災30年の朝の東遊園地の様子を紹介します。
西村愛キャスターは、自身が参加した語り継ぎの活動をリポートします。小中学校などで震災の手記や詩・手紙などの朗読をしているボランティア団体「震災を読みつなぐ会KOBE」の活動です。大きな被害を経験していなくても、当事者の話を聞き学びを積み重ねることで、震災を伝えていくことができます。そして、伝えるという作業は一方通行ではなく、語り手と聞き手がともにつくりあげるものです。30年がたち、これからは何をどのように伝えていくのか、西村キャスターと番組プロデューサーが語ります。
1/26(日)開催
震災を読みつなぐ会KOBE「朗読でつづる震災手記のつどい」
https://www3.hp-ez.com/hp/yomitsunagu/
2/24(月・祝)開催
岩手県立不来方高等学校音楽部 ファイナルコンサート 西宮公演
https://teket.jp/12227/43803
MBSラジオ 阪神・淡路大震災30年プロジェクト「ラジオが となりに」
https://www.mbs1179.com/tonari/
(番組内容は予告なく変更する場合があります)
01月12日(日)
第1475回「阪神・淡路大震災30年【4】~地震火災」
オンライン:元神戸市消防局長 鍵本敦さん
30年前の1995年1月17日午前5時46分。淡路島北部を震源地とする阪神・淡路大震災が発生しました。マグニチュード7.3、国内で史上初めてとなる最大震度7を記録したこの地震によって、神戸市では大規模な火災が発生しました。地震が原因とみられる火災は、285件。消防署への駆け込み通報が相次ぎ、消防本部では119番が鳴りやむことはなかったそうです。
当時、長田消防署で当直勤務中だった鍵本敦さんは、仮眠中に大きな揺れを感じて飛び起きました。家族の安否もわからないまま、鍵本さんら消防署員は数日間、不眠不休で救出活動や消火活動を行いました。断水で消火栓も使えず、防火水槽も壊れた中での消火活動は困難を極めたそうです。
番組では、阪神・淡路大震災による火災で、最も大きな被害を受けた神戸市長田区の火災現場の最前線にいた元神戸市消防局長の鍵本さんに、当時の様子や消火活動を通して得た教訓などをお聞きします。
↓エンディングでご紹介したイベントの詳細↓
1/17(金)第27回 1.17KOBEに灯りをinながた 新長田駅前広場
https://www.shinnagata-stm.com/event/%e7%ac%ac27%e5%9b%9e1-17kobe%e3%81%ab%e7%81%af%e3%82%8a%e3%82%92in%e3%81%aa%e3%81%8c%e3%81%9f/
西村愛のひとこと
▶︎地震が起こったときに火を出さないためには
◉家の耐震化→倒壊した家に閉じ込められて救助が必要になるし、倒壊すると、あっという間に燃え広がってしまう。
◉通電火災を防ぐ→地震が起きたら電気を通さなくする『感震ブレーカー』を設置する。 新築の家は、ほとんど設置されているそうですが、一度確認をしておくのも、大切ですね。
01月05日(日)
第1474回「阪神・淡路大震災30年【3】~がんばろうKOBE」
ゲスト:俳優 堀内正美さん
阪神・淡路大震災の発生から今月17日で30年になります。誰もが一度は聞いたことのある「がんばろうKOBE」というスローガンは、神戸市在住の俳優、堀内正美さん(74歳)が、当時のラジオ番組で「がんばろうよ、神戸」と呼びかけたのがきっかけとなって広まりました。
堀内さんは震災発生当初から、いち早く被災した人たちの支援を始めました。約1週間後には、市民ボランティア・ネットワークを設立し、多くのボランティアを避難所に送り、物資を届けたそうです。また、東遊園地にある犠牲者の慰霊と復興を願うガス灯「1・17希望の灯り」の設置にも取り組みました。
去年11月には、堀内さんの30年にわたるボランティアの経験や遺族らとの交流などをまとめた書籍「喪失、悲嘆、希望 阪神淡路大震災 その先に」を出版し、震災を知らない世代にも震災の記憶を伝えています。番組では、堀内正美さんが体験した30年前のあの日のことを聞きます。
堀内正美さんの著書「喪失、悲嘆、希望 阪神淡路大震災 その先に」
https://www.tsukimachisya.co.jp/%e6%96%b0%e8%91%97%e7%99%ba%e5%a3%b2/
西村愛のひとこと
被災した方が前を向いて歩んでいくためのお手伝いを、30年経った今も変わらず続けていらっしゃる堀内さん。長電話が好きなお母さんに、電話番のお手伝いを頼んだこともあったそうです。聞いてくれてありがとう"と言われることが、被災した後の人生を生きていく励みにもなったというお話も。自分の得意なことが誰かの笑顔につながる。素敵ですね。
01月01日(水)
第1473回「ネットワーク1・17スペシャル~能登半島地震1年」
出演:神戸大学名誉教授 室﨑益輝さん
輪島市のフレンチシェフ 池端隼也さん
やさしや足湯隊 山村太一さん、南太賀さん
亘佐和子プロデューサー
能登半島地震から1年の特別番組を、生放送でお届けします。
2024年1月1日夕方4時10分、能登地方を震源とする大きな地震が起こりました。
マグニチュード7.6、石川県輪島市などで震度7を記録しました。
504人の方が亡くなり、そのうち災害関連死が276人と、直接死の人数を上回っています。
被災地はさらに、9月に豪雨に見舞われました。
被災建物の公費解体はなかなか進まず、11月末で予定の3分の1が解体されただけです。
仮設住宅は12月下旬にようやく6882戸が全て完成しました。
被災した人たちの生活の再建は始まったばかりです。
番組では、
能登をはじめ全国各地の被災地に通い続ける室﨑益輝さん(神戸大学名誉教授)、
輪島市で被災しながらも炊き出しボランティアを続けたフレンチシェフの池端隼也さん、
神戸から能登に足湯ボランティアとして通う若者のグループ「やさしや足湯隊」の山村太一さんと南太賀さんとともに、能登の現状とこれからの復興、私たちにできることを考えます。
↓エンディングでご紹介したイベントの詳細・チケット購入はコチラ↓
阪神・淡路大震災30年 防災・減災チャリティーイベント "~tunagu ~ツナグ"
https://t.livepocket.jp/e/weyq-
西村愛のひとこと
美味しい食で支える。足湯とマッサージをしながら目を見て、被災した方の"つぶやき"を聞く。能登へ旅行に行くのもいいし、能登産のものを買って食べることも支援につながりますね。泥かきなどの力仕事だけではなく、誰にでもできることがあります。能登空港の駐車場にある施設にも、池端シェフのお店「芽吹食堂」がオープンしています。大災害から生き残った能登の食材、美味しいお料理を味わいに行きたくなりました。
12月29日(日)
第1472回「阪神・淡路大震災30年【2】両親を亡くした書道家~父から継いだもの」
取材報告:新川和賀子ディレクター
書道家の野原神川さん(本名:野原久美子さん)(69)は、阪神・淡路大震災で両親と義弟を亡くしました。当時、神戸市東灘区の自宅マンションで地震に遭った野原さん。町内の実家は全壊し、両親は遺体で見つかりました。また、近所のアパートで下敷きとなった妹夫妻は野原さん自らが救助し病院に運びましたが、混乱の中で、義弟が地震の翌朝に亡くなりました。
野原さんは地震前日の1月16日、実家に帰って泊まるはずでした。しかし、父から「風邪をうつすから帰ってくるな」と電話があり自宅にとどまったといいます。「両親に助けられた。父は生きていたら絶対にボランティアをして人を助けていたはず。父の代わりに私が何かしなければ」。そう感じた野原さんは、各地で起きる災害の被災地に手書きの年賀状を送る活動や復興支援のチャリティ展覧会などを続けています。
野原さんが語った地震発生直後の様子や、震災30年を迎える思いをお伝えします。
西村愛のひとこと
雲ひとつない青空が広がる下には、悲惨な現実がありました。倒壊した家屋から妹さんご夫妻を助け出している時。まわりでは、泣いていたり、パニックになっている方がいて騒がしいのかと思いましたが、静かだった。みなさん泣くどころではなかったんですよね。過酷な別れを経験しても、前を向いて歩み始め、あの日から30年を迎えた方が、たくさんいらっしゃいます。
12月22日(日)
第1471回「阪神・淡路大震災30年【1】~震災の日に生まれた命」
ゲスト:会社員の中村翼さん
阪神・淡路大震災が起こった1995年1月17日、神戸に誕生した命がありました。会社員の中村翼さん(29歳)です。中村さんの両親は、兵庫区の集合住宅で激しい揺れに襲われました。父親がとっさに母親のお腹をかばうように覆いかぶさったそうです。母親は避難所の小学校で破水。大渋滞の中、父親の運転で中央区の病院へ向かいます。そして、停電で真っ暗な分娩室で、懐中電灯の明かりの中、翼さんが産声を上げました。
翼さんが両親からこの話を詳しく聞いたのは、大学生になってからです。幼い頃から「震災の日に生まれた奇跡の子」と注目され、違和感を抱いてきたといいます。それでも、大学で防災教育を学んで自分の経験を伝えたいと思うようになり、語り部グループに加入しました。
そんな翼さんの体験が、「ぼくのたんじょうび」という絵本になります。神戸市の絵画教室「アトリエ太陽の子」で学ぶ子どもたちが、翼さんの話を聞いて絵を描きました。もうすぐ30歳になる翼さんは子どもたちに何を伝えていくのでしょうか。震災30年を考えます。
絵本「ぼくのたんじょうび」販売店について
https://readyfor.jp/projects/146219/announcements/355419
「ひょうご安全の日のつどい」
https://19950117hyogo.jp/gathering/
阪神・淡路大震災30年プロジェクト「ラジオが となりに」
https://www.mbs1179.com/tonari/
西村愛のひとこと
大地震の混乱の中、出会った方々に助けられ、生まれた命。翼さんのお話から、助け合いの大切さ、命の尊さを教えてもらいました。その翼さんのお話を、今を生きる子どもたちが絵を描き絵本となり、未来の子どもたちに震災を伝える。素敵な語り継ぎですね!神戸から世界の子どもたちにも伝わってほしいなと思います!
12月15日(日)
第1470回「いのちを守る方法」
オンライン:危機管理アドバイザー 国崎信江さん
地震や台風などの自然災害だけではなく、事件や事故に遭うなど、私たちの命が脅かされる危険は常に身近に潜んでいます。そんなもしもの時に、落ち着いて自分の命を守る行動ができますか。特に子どもは、保護者や大人がいつも近くにいるとは限らないので、きちんと学んでおくことが必要です。登下校時や放課後など、子どもだけでいる時に命の危険が迫ったらどうすればいいのでしょうか。
「いのちをまもる図鑑」(ダイヤモンド社)を監修した危機管理アドバイザーの国崎信江さんは、どんな場面でも命を守るために最も大切なのは、「知識と想像力」だと話します。
例えば、家にいるときに地震が起こったら「テーブルの下に隠れましょう」とよく言われますが、本当にそうでしょうか。そのテーブルは床に固定されていますか。固定されていない家具の大半は、震度6弱の揺れで、移動するか倒れるとされています。テーブルの下よりも、廊下や玄関など家具のない場所の方が安全かもしれません。
番組では、子どもはもちろん、大人にも役に立つ「いのちを守る方法」を、国崎さんに教えてもらいます。
いのちをまもる図鑑(ダイヤモンド社)
https://www.diamond.co.jp/book/9784478119389.html
阪神・淡路大震災30年プロジェクト「ラジオが となりに」
https://www.mbs1179.com/tonari/
西村愛のひとこと
どんな場面でも命を守るために最も大切なのは「知識と想像力」!国崎さんは「"今ここで非常事態が起きたらどうしたら良いのか"を常に考える習慣をつけてほしいです」とのこと。私も、これから始まる冬休み、お正月に子どもたちや親戚と「いのちをまもる図鑑」を見ながら、クイズ形式で考え、楽しみながら学ぼうと思います!
12月08日(日)
第1469回「津波シェルター付き防災住宅とは」
ゲスト:防災アナウンサー 奥村奈津美さん
南海トラフ地震の備えとして「在宅避難」の重要性が高まっています。全国的に避難所は不足しているからです。
在宅避難をするためには、まず自宅の耐震性をチェックし、耐震補強を行うことが重要です。そして1~2週間ほど暮らすために必要な備蓄の確保。小さい子どもがいる家庭では、ライフラインが途絶えた場合を想定し、真っ暗な中で過ごしてみるなどの防災トレーニングも効果的です。
津波リスクの高い地域に向けて、「津波シェルター付き防災住宅」の開発も進んでいます。鉄筋コンクリートの壁で住宅を建て、その屋上にシェルターとなるペントハウスを設置します。ペントハウスは、船舶に使う特注の扉で、海水が侵入しないようになっています。屋上より高い津波がきても、ペントハウス内に「空気だまり」ができることで、大人4人が8時間ほど滞在できる仕組みです。
自宅から逃げるのではなく、自宅で身を守るという発想から生まれた「命を守る住宅」について、防災アナウンサーの奥村奈津美さんに聞きます。
西村愛のひとこと
築20年ぐらいの家が能登半島地震で倒壊したり住めなくなっていると聞いてびっくりしました。「20年前なら、最近だから大丈夫」じゃないんですね。防災住宅の話では、屋上に津波から避難するシェルターを作るとは!進化していますね。 奥村さんおススメの『プラ1備蓄』 さっそく今日の買い物で実践してみます!
12月01日(日)
第1468回「命を守る"口腔ケア"」
ゲスト:兵庫県保険医協会 副理事長 足立了平さん
来年1月17日で発生から30年になる阪神・淡路大震災。この地震の震災関連死のうち、およそ4分の1が肺炎によるもので、その多くが"誤嚥性肺炎"とみられています。誤嚥性肺炎の主な原因は「口の汚れ」です。
避難所では、断水や停電などによって水場が使えず、歯磨きや入れ歯のケアなどが十分にできないことがあります。その結果、口腔内で増加した細菌が誤って気管に入りこみ、誤嚥性肺炎を引き起こします。免疫力や、嚥下能力(飲み込む力)が低下した高齢者の患者が多く、近年は避難所での口腔ケアが重要視されています。水を使わなくてもよい口腔ケアグッズもたくさんあります。
番組では、阪神・淡路大震災から、能登半島地震まで多くの被災地で被災者の口腔ケアにあたってきた兵庫県保険医協会 副理事長の足立了平さんに、被災者の命を守る"口腔ケア"について聞きます。
↓エンディングでご紹介したイベントの詳細はコチラ↓
第10回全国被災地語り部シンポジウムin 阪神・淡路
https://www.nojima-danso.co.jp/kataribe5/
西村愛のひとこと
足立さんは"歯磨きは人権です"と、語ります。 歯磨きをしやすくなる環境づくりが大切ですね。 ▶︎避難所の洗面所でもプライバシーが必要 人目を気にせず、支給された水を使って歯磨きや入れ歯を外すことができる ▶︎水を使わなくても可能な歯磨きグッズ 液体歯磨き、歯を拭くウエットティッシュなど 使い方を教える歯科衛生士も必要!とのこと。 自宅で普段から使って慣れておきましょう!
11月24日(日)
第1467回「輪島朝市の被害から考える『地震火災』」
オンライン:東京大学 教授(日本火災学会) 廣井悠さん
今年1月、能登半島地震発生後の火災で、「輪島朝市」は大きな被害を受けました。延焼を食い止めることができず、約250棟の建物が焼損しました。
被害が広がった背景には、木造密集地域で古い建物が残っていたことに加え、地震や津波で消火活動がままならなかったことが指摘されています。地震の被害で消火栓や防火水槽が使えず、大津波警報が発表されていたので、海水を消火に用いることもできませんでした。住民は津波からの避難を優先せざるを得ず、消防への通報も遅れました。
近い将来必ず発生する南海トラフ地震でも、「地震火災」の被害の拡大が懸念されています。都市部にある鉄筋コンクリートの建物も、地震で窓ガラスが割れると燃えやすくなり、ビル火災のリスクがあります。
地震や津波で火災が起きた場合、私たちはどう対応し、避難すればよいのでしょうか。被害を減らすために、事前にどんな備えができるのでしょうか。輪島朝市の火災現場を調査した東京大学教授の廣井悠さんに聞きます。
西村愛のひとこと
火災からの逃げ方のポイントは...
◉風上にある大きな公園など、広い場所に逃げる。
◉逃げる時は、広い道路を使って、延焼している場所を避けて逃げる。
木造密集市街地の建物の中にいた場合は、まず広い道路に逃げることが大切だそうです。 この機会に火事の避難ルートも、確認しておきましょう!