12月22日(日)
第1471回「阪神・淡路大震災30年【1】~震災の日に生まれた命」
ゲスト:会社員の中村翼さん
阪神・淡路大震災が起こった1995年1月17日、神戸に誕生した命がありました。会社員の中村翼さん(29歳)です。中村さんの両親は、兵庫区の集合住宅で激しい揺れに襲われました。父親がとっさに母親のお腹をかばうように覆いかぶさったそうです。母親は避難所の小学校で破水。大渋滞の中、父親の運転で中央区の病院へ向かいます。そして、停電で真っ暗な分娩室で、懐中電灯の明かりの中、翼さんが産声を上げました。
翼さんが両親からこの話を詳しく聞いたのは、大学生になってからです。幼い頃から「震災の日に生まれた奇跡の子」と注目され、違和感を抱いてきたといいます。それでも、大学で防災教育を学んで自分の経験を伝えたいと思うようになり、語り部グループに加入しました。
そんな翼さんの体験が、「ぼくのたんじょうび」という絵本になります。神戸市の絵画教室「アトリエ太陽の子」で学ぶ子どもたちが、翼さんの話を聞いて絵を描きました。もうすぐ30歳になる翼さんは子どもたちに何を伝えていくのでしょうか。震災30年を考えます。
絵本「ぼくのたんじょうび」販売店について
https://readyfor.jp/projects/146219/announcements/355419
「ひょうご安全の日のつどい」
https://19950117hyogo.jp/gathering/
阪神・淡路大震災30年プロジェクト「ラジオが となりに」
https://www.mbs1179.com/tonari/
(番組内容は予告なく変更する場合があります)
12月15日(日)
第1470回「いのちを守る方法」
オンライン:危機管理アドバイザー 国崎信江さん
地震や台風などの自然災害だけではなく、事件や事故に遭うなど、私たちの命が脅かされる危険は常に身近に潜んでいます。そんなもしもの時に、落ち着いて自分の命を守る行動ができますか。特に子どもは、保護者や大人がいつも近くにいるとは限らないので、きちんと学んでおくことが必要です。登下校時や放課後など、子どもだけでいる時に命の危険が迫ったらどうすればいいのでしょうか。
「いのちをまもる図鑑」(ダイヤモンド社)を監修した危機管理アドバイザーの国崎信江さんは、どんな場面でも命を守るために最も大切なのは、「知識と想像力」だと話します。
例えば、家にいるときに地震が起こったら「テーブルの下に隠れましょう」とよく言われますが、本当にそうでしょうか。そのテーブルは床に固定されていますか。固定されていない家具の大半は、震度6弱の揺れで、移動するか倒れるとされています。テーブルの下よりも、廊下や玄関など家具のない場所の方が安全かもしれません。
番組では、子どもはもちろん、大人にも役に立つ「いのちを守る方法」を、国崎さんに教えてもらいます。
いのちをまもる図鑑(ダイヤモンド社)
https://www.diamond.co.jp/book/9784478119389.html
阪神・淡路大震災30年プロジェクト「ラジオが となりに」
https://www.mbs1179.com/tonari/
西村愛のひとこと
どんな場面でも命を守るために最も大切なのは「知識と想像力」!国崎さんは「"今ここで非常事態が起きたらどうしたら良いのか"を常に考える習慣をつけてほしいです」とのこと。私も、これから始まる冬休み、お正月に子どもたちや親戚と「いのちをまもる図鑑」を見ながら、クイズ形式で考え、楽しみながら学ぼうと思います!
12月08日(日)
第1469回「津波シェルター付き防災住宅とは」
ゲスト:防災アナウンサー 奥村奈津美さん
南海トラフ地震の備えとして「在宅避難」の重要性が高まっています。全国的に避難所は不足しているからです。
在宅避難をするためには、まず自宅の耐震性をチェックし、耐震補強を行うことが重要です。そして1~2週間ほど暮らすために必要な備蓄の確保。小さい子どもがいる家庭では、ライフラインが途絶えた場合を想定し、真っ暗な中で過ごしてみるなどの防災トレーニングも効果的です。
津波リスクの高い地域に向けて、「津波シェルター付き防災住宅」の開発も進んでいます。鉄筋コンクリートの壁で住宅を建て、その屋上にシェルターとなるペントハウスを設置します。ペントハウスは、船舶に使う特注の扉で、海水が侵入しないようになっています。屋上より高い津波がきても、ペントハウス内に「空気だまり」ができることで、大人4人が8時間ほど滞在できる仕組みです。
自宅から逃げるのではなく、自宅で身を守るという発想から生まれた「命を守る住宅」について、防災アナウンサーの奥村奈津美さんに聞きます。
西村愛のひとこと
2000年6月より前に建てられた家が、能登半島地震で倒壊したり住めなくなっていると聞いてびっくりしました。「20年前なら、最近だから大丈夫」じゃないんですね。防災住宅の話では、屋上に津波から避難するシェルターを作るとは!進化していますね。 奥村さんおススメの『プラ1備蓄』 さっそく今日の買い物で実践してみます!
12月01日(日)
第1468回「命を守る"口腔ケア"」
ゲスト:兵庫県保険医協会 副理事長 足立了平さん
来年1月17日で発生から30年になる阪神・淡路大震災。この地震の震災関連死のうち、およそ4分の1が肺炎によるもので、その多くが"誤嚥性肺炎"とみられています。誤嚥性肺炎の主な原因は「口の汚れ」です。
避難所では、断水や停電などによって水場が使えず、歯磨きや入れ歯のケアなどが十分にできないことがあります。その結果、口腔内で増加した細菌が誤って気管に入りこみ、誤嚥性肺炎を引き起こします。免疫力や、嚥下能力(飲み込む力)が低下した高齢者の患者が多く、近年は避難所での口腔ケアが重要視されています。水を使わなくてもよい口腔ケアグッズもたくさんあります。
番組では、阪神・淡路大震災から、能登半島地震まで多くの被災地で被災者の口腔ケアにあたってきた兵庫県保険医協会 副理事長の足立了平さんに、被災者の命を守る"口腔ケア"について聞きます。
↓エンディングでご紹介したイベントの詳細はコチラ↓
第10回全国被災地語り部シンポジウムin 阪神・淡路
https://www.nojima-danso.co.jp/kataribe5/
西村愛のひとこと
足立さんは"歯磨きは人権です"と、語ります。 歯磨きをしやすくなる環境づくりが大切ですね。 ▶︎避難所の洗面所でもプライバシーが必要 人目を気にせず、支給された水を使って歯磨きや入れ歯を外すことができる ▶︎水を使わなくても可能な歯磨きグッズ 液体歯磨き、歯を拭くウエットティッシュなど 使い方を教える歯科衛生士も必要!とのこと。 自宅で普段から使って慣れておきましょう!
11月24日(日)
第1467回「輪島朝市の被害から考える『地震火災』」
オンライン:東京大学 教授(日本火災学会) 廣井悠さん
今年1月、能登半島地震発生後の火災で、「輪島朝市」は大きな被害を受けました。延焼を食い止めることができず、約250棟の建物が焼損しました。
被害が広がった背景には、木造密集地域で古い建物が残っていたことに加え、地震や津波で消火活動がままならなかったことが指摘されています。地震の被害で消火栓や防火水槽が使えず、大津波警報が発表されていたので、海水を消火に用いることもできませんでした。住民は津波からの避難を優先せざるを得ず、消防への通報も遅れました。
近い将来必ず発生する南海トラフ地震でも、「地震火災」の被害の拡大が懸念されています。都市部にある鉄筋コンクリートの建物も、地震で窓ガラスが割れると燃えやすくなり、ビル火災のリスクがあります。
地震や津波で火災が起きた場合、私たちはどう対応し、避難すればよいのでしょうか。被害を減らすために、事前にどんな備えができるのでしょうか。輪島朝市の火災現場を調査した東京大学教授の廣井悠さんに聞きます。
西村愛のひとこと
火災からの逃げ方のポイントは...
◉風上にある大きな公園など、広い場所に逃げる。
◉逃げる時は、広い道路を使って、延焼している場所を避けて逃げる。
木造密集市街地の建物の中にいた場合は、まず広い道路に逃げることが大切だそうです。 この機会に火事の避難ルートも、確認しておきましょう!
11月17日(日)
第1466回「マンション防災~マンションを最高の避難所に!~」
オンライン:マンション防災士 釜石徹さん
都市部を中心に増え続けるマンション。数階建ての低層から数十階建ての超高層タワーマンションまで、その間取りもさまざまで幅広い層に人気です。しかし、ひとたび地震で停電してしまうと、エレベーターは止まり、高層階に暮らす人たちは外出も難しくなります。また、マンションの給水システムの多くは電気を使っているため、断水の可能性もあります。
マンションの防災に詳しい防災士の釜石徹さんは、「災害時にマンションの管理会社や自治会を頼ってはいけない」と指摘します。災害時には、管理会社の社員も自治会のメンバーも全員が被災者になります。他人の支援をあてにはできません。
しかし一方で、釜石さんは、「家庭の防災力をアップし、備えさえしっかりしていれば、"マンションは最高の避難所"になる!」と話します。ポイントは、10日以上の在宅避難の準備です。番組では、マンション防災士の釜石さんに、マンションで暮らす人たちに必要な"災害時の備え"について聞きます。
↓エンディングでご紹介したイベントの詳細・チケット購入はコチラ↓
阪神・淡路大震災30年 防災・減災チャリティーイベント "~tunagu ~ツナグ"
https://t.livepocket.jp/e/weyq-
西村愛のひとこと
釜石さんに教えて頂いた"在宅避難"3つのポイント
1:地震の後にケガをしないように家具や家電を固定する
2:火事を起こさせない。"スプレー式の消火具"が有効
3:停電・断水への備えも忘れずに!
高層階だと揺れも大きくなります。エレベーターが使えなくなり、水や食料の調達も大変!戸建てにお住まいの方も、しっかり準備しておきましょう!
11月10日(日)
第1465回「能登被災地の神社仏閣~復興に果たす役割と現状」
ゲスト:大阪大学大学院 教授 稲場圭信さん
元日に発生した能登半島地震では、2000以上の神社仏閣が被害を受けました。石川県には浄土真宗のお寺が多く、神社の祭りなども広く行われていて、神社仏閣は地域コミュニティにとって欠かせない場所です。高台に立地している施設が多いため、避難所にも指定されていて、今回の地震発生後も多くの住民が避難しました。
地震では、鳥居や燈篭が倒れるだけでなく、本堂が全半壊した所も多くあります。しかし、人手不足やアクセスの問題で、再建は思うように進んでいません。公費解体も市街地にある一般住宅が優先され、後回しとなっているのが現状です。
石川県は「復興基金」で神社仏閣の再建を支援する方針ですが、宗教施設への公金の支出は難しく、支援や連携を敬遠する自治体もあります。
神社仏閣は地域住民の避難所となり、多くの宗教関係ボランティアの活動拠点となるなど、災害時に大きな役割を担います。なぜ支援が行き届かないのでしょうか?宗教施設の防災活用について詳しい大阪大学大学院の稲場圭信教授に聞きます。
令和6年9月能登半島大雨災害義援金
三井住友銀行 赤坂支店
口座番号:(普)8103842
口座名 :「JNN・JRN共同災害募金」
JNN・JRN共同災害募金では、この災害で被災された方々を支援するため、
みなさまからの義援金を受け付けています。
義援金は全額、日本赤十字社を通じて被災地に届けられます。
https://www.tbs.co.jp/csr/support/saigaibokin.html
西村愛のひとこと
神社やお寺は普段からコミュニティの拠点になっていてなじみ深い場所ですね。 法事などはもちろん、今の時期なら七五三のお参りや、子ども食堂が開催されている場所も。 広い畳の部屋や座布団や食器などもあり、炊き出しもできて避難所として活用するには、ぴったりの場所。不安や悩みを相談できるのも大きなポイントですね!
11月03日(日)
第1464回「おもてなし防災」
ゲスト:大阪市港区まちづくりセンターの防災アドバイザー 多田裕亮さん
来年4月に開幕する「大阪・関西万博」には、およそ350万人の外国人が訪れると見込まれています。大阪市内では、キタやミナミの繁華街だけでなく、旅客船ターミナルや海遊館がある港区のベイエリアも人気の観光地で、万博期間中、外国人観光客が増えることが予想されます。
もし、万博開催中に大きな地震が起こったら、地震や津波の怖さを知らない外国人観光客をスムーズに避難誘導できるのでしょうか。南海トラフ巨大地震が発生したら大阪市には最短1時間50分で1メートルを超える津波が到達すると予測されています。
そこで今、事業者や団体、自治体が連携し、外国人観光客に防災意識を持ってもらう「おもてなし防災」というプロジェクトが始まっています。主な活動は、多言語で視覚的にわかりやすい防災情報の発信や啓発です。スムーズに避難してもらうためにどんな課題があるのか、大阪市港区まちづくりセンターの防災アドバイザー・多田裕亮さんに「おもてなし防災」について聞きます。
おもてなし防災
https://omotenashi-bosai.jp/
↓エンディングでご紹介↓
12人の絵本作家が描くおうえんカレンダ−2025
https://12ehoncalendar.com/
西村愛のひとこと
"おもてなし防災"のHPで多言語の避難案内ポスターを誰でも無料でダウンロードできます。それぞれの地域の津波到達時間を書くことができるんですよ! 万博会場近くの大阪市港区だけではなく、空港や駅、飲食店など、全国で広まるといいな。外国人観光客の方々への避難誘導の準備をすることで日本人の防災意識も高まりますね!!
10月27日(日)
第1463回「仮設住宅が豪雨で浸水~対策を考える」
オンライン:専修大学 教授 佐藤慶一さん
先月の能登豪雨では、能登半島地震の被災者のための仮設住宅も浸水被害を受けました。輪島市内の仮設住宅の約6割は浸水想定区域に建てられています。能登半島は平らな空き地が少なく、安全な場所への仮設住宅の建設には限界があります。二階建てにして狭い用地に建設することもできますが、コストや安全性の問題からあまり進んでいません。住民にはあらかじめ仮設住宅が浸水想定区域にあることを伝え、早めの避難を促すなど、周知徹底や訓練が求められます。
仮設住宅の建設にはさまざまな課題があります。南海トラフ地震においては最悪の場合、全国で131万戸の仮設住宅が不足するという試算も発表されています。
建物の耐震化を進めて被害を減らすことや、被害の少なかった地域への集団避難など、今から対策を考えておかなければなりません。地震と豪雨の二重被災を防ぎ、仮設住宅の安全性を確保するにはどうすればよいのでしょうか。この問題に詳しい専修大学の佐藤慶一教授に聞きます。
西村愛のひとこと
災害リスクのない安全な土地が少ないから、浸水想定区域に仮設住宅が建設され浸水してしまったんですね。今後、他の地域でも同じことがあるかもしれません。「仮住まいでも、自分が住む地域がどんな災害のリスクがあるのか知っておく」「避難ルートを調べて、同じ仮設の人たちと避難訓練をしておく」など備えが必要ですね!
10月20日(日)
第1462回「目指せ!重機オペレーター」
オンライン:日本笑顔プロジェクト 林映寿さん
被災地の復旧作業ではショベルカーなどの重機が大きな力を発揮します。3トン未満の小型重機でも、人力の100倍ぐらいの作業が可能になるといわれます。しかし、重機を動かせる人はまだまだ少ないのが現状です。
長野県小布施町の林映寿さんは、東日本大震災の被災地支援のために、一般財団法人「日本笑顔プロジェクト」を立ち上げました。そして5年前、地元・長野県が台風19号で大きな被害を受けたことで、重機オペレーター育成の必要性を痛感したといいます。千曲川の氾濫で住宅地や農地に大量の泥が流れ込みましたが、ボランティアによるスコップでの復旧作業はとても効率が悪かったのです。全国各地から重機を集めることはできても、それを操縦できる人はなかなか見つかりませんでした。
「日本笑顔プロジェクト」では、小型重機の資格をとるための講習を行っています。学科1日、実技1日で免許を取得でき、全国に7か所ある訓練施設で、実際に操縦するための講習会も続けています。力仕事には向かないと思われていた女性たちも重機操縦で活躍できるということで、能登半島にも派遣を続けています。重機オペレーターを増やすことで被災地を支援しようと奮闘する林さんに話を聞きます。
日本笑顔プロジェクト
https://egaonowa.net/
西村愛のひとこと
泥かきはパワーが必要な作業だし「私はお役に立てないかも」と思っていましたが、女性でも小型重機の免許を取得することができるんですね!子どもたちが憧れる"はたらく車"にママが乗って、被災地で活動できたら、素敵やなぁ!能登だけではなく、わが町が被災した時にも役立てる存在になれるのは、嬉しいですね。