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第568回『震災11年と記憶の風化』2006.11.04
白木さんは阪神大震災で21歳だった長男の健介さんを亡くしました。その後は心を閉ざし「長いトンネルの中にいるようだった」という4年間を送っていましたが、99年震災の慰霊碑を回る活動「震災モニュメント交流ウォーク」に参加。初めてほかの人々の死に目が向くようになったといいます。
やがてNPO法人「阪神淡路大震災1.17希望の灯り」(通称HANDS)の設立メンバーとなり、震災遺族はもちろん、事件や事故の遺族とも交流していきました。
ところが今年4月頃から、神戸にある「慰霊と復興のモニュメント」に吸殻や弁当の残りが散らかされることが増えてきました。「震災犠牲者の名前が刻まれたこの空間が、訪れる人にとってどれだけ大切な場所か知らないからではないか」。そう考えた白木さんは、慰霊碑の重要性を伝える活動に力を注いでいます。

※HANDSでは現在、「レバノンの子どもたちに、あなたやあなたの家族がもらってうれしいものを送ってください」と呼びかけています。
お問い合わせはHANDS事務局 TEL078−595−2800へ。
留守番電話の場合はメッセージを残してください。折り返しHANDSメンバーが連絡します。
ゲスト:震災遺族でNPO法人HANDS理事 白木 利周さん

第567回『防災リポート・新潟県中越地震から2年』2006.10.28
 23日で新潟県中越地震から2年。その日、青木さんは修復された旧山古志村役場の前で黙祷を捧げたそうです。しかし旧山古志村は5集落で避難指示が継続。仮設住宅で冬を越す人たちは、これまで一緒に頑張ってきた仲間が一人、また一人と自宅に帰り、焦りを感じているということです。
 一方、兵庫県豊岡市は台風23号の水害から20日で2年。被害が大きかった旧出石町鳥居地区では、地域の復興のシンボルとなる市民農園が来年4月オープンする予定です。一度は水害で頓挫した農園の計画ですが、神戸市長田区で活動しているまちづくり支援グループ「まち・コミュニケーション」が一生懸命支援する姿を地域の人が見て、計画が復活しました。
 防災Q&Aでは、阪神高齢者・障害者支援ネットワーク理事長の黒田裕子さんが地域の要援護者を災害からどう守っていくのかを話しました。
ゲスト:(電話出演)長岡市復興推進室次長 青木 勝さん

第566回『緊急地震速報を体験しよう〜大阪府枚方市から出前放送〜』2006.10.21
地震発生後、大きなゆれが来る前に「まもなくゆれます」と知らせてくれる気象庁のシステムをご存知ですか。「緊急地震速報」といって、今年(2006年)8月から特定の利用者向けに運用されています。来年春には広く一般公開することを目標にしています。ゆれの数秒から数十秒前に入ってくるこの情報でどんな行動が取れるのか、妹尾さんと魚住さんが体験しました。

 今回の放送は大阪府枚方市の大西さんのお宅から。「特定利用者」として速報を受ける装置を設置しています。
緊急地震速報を受けると、薄型の機械が「まもなく地震がきます」「すぐに地震がきます」などと自動音声で知らせるしくみです。
 緊急地震速報にくわしい名古屋大学の林能成先生は、「わずかな時間だから取れる行動は1つ」と話します。それはずばり「自分の身を守る」こと。予想されるゆれの大きさや、ゆれの到達時間にかかわらず、とっさにこれだけを考えて行動するのです。

 緊急地震速報は、大地震の被害を少しでも減らそうと開発されました。危ないものから離れる、身を隠す、火を消す、ガスを止める、といった行動が適切にできれば命を守ることにもつながります。
その反面、阪神大震災のような直下型の地震では震源の真上では速報が間に合わないという弱点もあります。耐震補強や家具の転倒防止が必要なことに変わりはありません。
 「とっさに行動できたと安心しないで、実際にゆれた後の行動も大切です」という林先生。余震に注意したり、落ち着いて避難することも忘れないでくださいね。
ゲスト:名古屋大学災害対策室 助手 林 能成さん

第565回『震災報道と被災地責任』2006.10.14
ゲストの山中さんは、元朝日新聞の編集委員。こだわり続けているのは「復興」です。記者時代は「復興報道」、今は研究者として「復興制度」を追い続けるそのわけは、震災当日、がれきの中から報道を始めた体験が強烈に染み付いているからだといいます。

「地震は自然現象、震災は社会現象、復興は政治現象」とは、山中さんが親しくしているある研究者の言葉。震災当時、神戸支局のデスクとして仕事をしながら日々のニュースに心を痛めていた山中さんは、復興しようとする被災地の姿に関心を示さない東京に疑問を覚えました。「家族を亡くし家を失くした人たちが立ち直っていく過程は、他地域にも決して無関係ではないのに・・・」。やがて山中さんは「日本には災害からの復興を規定する法律がない」ということに気づきました。その理由は、関東大震災にさかのぼります。そのとき掲げられた「帝都復興」の理念は、なによりも都市を以前より立派に、巨大にすることでした。幅の広い道路を作り、要塞のようなビルを建て・・・被災者が出て行き、住む人が入れ替わろうが関係ないのです。復興とはそういうことなのだろうか。めざすべきは「人間の復興」ではないか。
しかし、復興のどの部分に予算を割くのかは、時の政治のさじ加減ひとつという現実もあります。「だからこそ、阪神大震災の体験を伝え理解を広めるのは被災地の責任だ」という山中さん。ちょっとコワモテの元デスクに見えますが、とても気持ちの熱い人です。
ゲスト:関西学院大学教授 山中 茂樹さん

第564回『学生手作りの出前防災授業とは』2006.10.07
おととし12月のスマトラ島沖地震など、たびたび大きな災害に見舞われてきたインドネシア。現地の子どもたちに地震や津波の知識を伝えようと、京都大学の学生グループ「KIDS京大防災教育の会」では、手作りの防災教育に取り組んでいます。
「KIDS京大防災教育の会」は、京大工学部の学生が中心となって去年6月に結成されました。先月12〜19日には、堤内さんら3人のメンバーがスマトラ島沖地震の被災地・バンダアチェや、今年5月のジャワ島中部地震の被災地・ジョクジャカルタを訪問し、現地の小中学校で防災授業を行ないました。
授業では、地震や津波のメカニズムを模造紙にわかりやすく描いて説明したり、またメンバーが人気アニメのキャラクターに扮した劇やクイズを交えながら、地震が起きた時の対処法などについて子どもたちに考えてもらったそうです。

堤内さんは「現地での活動を通して、逆に子どもたちから元気をもらったり、学ばせてもらうことが多かったです」と話していました。
ゲスト:KIDS京大防災教育の会 堤内隆広さん

第563回『マンション住民の心をつなぐ防災井戸』2006.09.30
兵庫県加古川市にある大型マンション「加古川グリーンシティ」の防災会会長、大西賞典さんに電話をつなぎ、話を聞きました。「加古川グリーンシティ」では8年前に防災会(自主防災組織)をつくって以来、独自の防災対策を進めています。
今年7月には、いざという時に備えてマンション内に防災井戸をつくりました。
住民たちの手でライフラインを確保しようという取り組みは、全国的にも珍しいそうです。井戸づくりのきっかけは、11年前の阪神・淡路大震災。当時、神戸市内に入ってペットボトルの水を配り歩いた大西さんは「災害時は飲み水だけでなく、トイレなどに使う生活用水の確保も必要」と強く感じ、2000年頃から計画を進めてきたそうです。
電話ゲスト:加古川グリーンシティ防災会会長 大西賞典さん

第562回『災害時に大切なこころとは』2006.09.23
経験者は、東京・目黒区在住の日高ていさん。20歳のときに横浜で関東大震災に遭いました。震災の被害は東京よりも横浜がひどく、ていさんが住みこみで働いていたソ連の商社の館は一瞬で崩壊。命からがら逃げた公園で大勢の人とともに火の粉を払いながら一夜を明かしたそうです。しかし、武村さんがていさんの話で感動したのは、そんな中でも自宅に帰らずけが人の応急手当に奔走したこと。それは「苦しんでいる人を一人でも救いたいという一念」だったといいます。
武村さんはこの「他者のために」という気持ちがあるからこそ災害から立ち直れるのだと感じました。そして「私も地震学者として他者のためにできることをしたい」と話しています。
学者が他者のためにできること。その一例として武村さんには「地震の被害を左右する地盤をどのように知るか」を聞きました(写真の本は武村さんの著書『地震の揺れを科学する』)。
(1)丘の上など高いところは地盤が良く川沿いなど低いところは悪い
(2)宅造地では盛土はよくゆれ、崩れやすい。切土ならOK
(3)自治体の被害想定マップで「被害」「震度」が大きい場所は地盤が悪い可能性がある
(4)地質図で「沖積低地」とあるところは地盤が悪い
(5)自宅の敷地で地盤調査(ボーリング)をすれば正確に分かる。しかしお金がかかる
武村さんは「土地には歴史があります。地盤に興味を持ち、地域の歴史や自然に触れることから始めてください」と話していました。
ゲスト:「ネットワーク1・17」リポーターで 東京の会社員 武村 雅之さん

第561回『避難所運営から学んだ震災の教訓』 2006.09.09
体育教師として体力には自信があったものの、最初の3日間はまさに不眠不休で、一時は体力の限界を感じたそうです。
 
震災から100日後、浅堀さんは「自分が体験したことをしっかり書き留めておこう」という思いから、当時の状況などを日記にまとめました。「遺体の安置・搬送(教員の自家用車で体育館から区役所へ)」(1月17日)、「LPGタンクガス漏れによる避難勧告。避難者数は2000人を超える」(1月18日)など、当時のようすが詳しく記されています。
 
教職員の災害救援ボランティア組織「震災・学校支援チーム(EARTH)」の一員でもある浅堀さんは、全国各地の学校などに出向き、震災の教訓を伝える取り組みを続けています。
浅堀さんは「当時、全国から受けた温かい支援に対するお礼の気持ちです」と話していました。
ゲスト:兵庫県立鈴蘭台高校教諭 浅堀裕さん

第560回『ゆれる前にわかる緊急地震速報とは』2006.09.02
緊急地震速報が配信されるのはゆれの数秒から数十秒前とされています。このわずかな時間を有効に使えば、命を守ることもできます。番組では、導入を決めた関西の企業を紹介。南海電鉄は、ゆれる前に列車を緊急停止させることができないか準備中です。ゆれの瞬間、停車もしくは減速していれば脱線の危険性が低くなるからです。また、橋や水門など重量構造物を作る工場を持つ栗本鐵工所は、危険作業をする作業員が逃げられるようにと考えています。そして、食用油、チョコレート、大豆・豆乳製品などを扱う不二製油は9月1日防災の日に、緊急地震速報を使った訓練をしました。サイレンが鳴って10秒の間に、倉庫にいる人・高温の作業をする人・高所にいる人・そして事務室にいる人、それぞれがなにができるかあらかじめ考えて行動しようというものです。不二製油では「救急車も思うように来ない地震のときには、この10秒でけがをしないことが最も大切」と話します。いずれ一般の私たちのところにも配信される緊急地震速報。数秒の間になにをしようか、それぞれが今から考えることが大切です。もちろん、耐震対策・家具の固定・そして非常持ち出し品の準備は怠らないでくださいね。
スタジオ報告:毎日放送ラジオ報道部 大牟田 智佐子記者

第559回『水害の被災地との交流を続けて』2006.08.26
実は、2人とも御蔵の住民ではありません。田中さん(写真右)は地元の企業の社長さん、宮定さん(写真左)は大学院に通う学生で「まち・コミ」の代表を務めています。「まち・コミ」は田中さんと震災ボランティアが96年に立ち上げました。まちの復興にかかせない人のつながりを取り戻すため様々なイベントを行い、兵庫県香住町から古民家を移築して自治会館にするなど「人の集まる場」を作ってきました。その一方で、他の災害の被災地の応援もしています。台湾大地震の被災地もそのひとつ。今は2004年の台風23号で大きな被害があった兵庫県の旧出石町鳥居地区を支援しています。有機農法の市民農園で「畑は1年休むと次の3年は作物が取れない」と聞いた田中さんたちが、気力を失った地元の人たちのために立ち上がったのです。片道2時間以上かけて週2回通い、土づくり、野菜作りを手伝ってきました。「まち・コミ」メンバーの手つきを見て出石の人たちもワイワイ手を貸してくれるように。おかげでたまねぎ、にんじん、じゃがいも、すいか、小松菜・・・元気のいい野菜がどっさり収穫できました。現地の支援のため、じゃがいも購入者も募っています(10キロ4000円送料込み、なくなり次第終了)。

↓詳しくは「まち・コミ」ホームページをご覧ください。
http://park15.wakwak.com/~m-comi/
ゲスト:まち・コミュニケーション 田中保三さん、宮定 章さん

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