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第578回『シリーズ人々の震災18〜91歳の語り部』 2007.01.20
実はハツ子さんは1月1日生まれの92歳。「よろしいやん、91で」というご本人の希望で1歳若くご紹介しました。地震前は、長田区の村野工業高校の前でお好み焼き屋さんを営んでいました。「地震がなかったら今もお好み焼いてます!」というハツ子さん。家は全壊し、足にけがをしたご主人と離れてひとり避難所暮らしをしました。近くの人たちが支援物資を取りに行ったり水を汲みに行ったりと助けてくれ、ハツ子さんはその間荷物を見る留守番をしていました。ところが、それまで出演者を笑わせていたハツ子さんがポツリ。「おばちゃんは重たいもん運んでへんやろって言われて・・・水をもらうのも遠慮して。ほんまに辛かった。」言葉では言い表せない経験があったのです。
その後、別の避難所、復興住宅と転々とし、ようやく長田に戻ります。それを喜んでいたご主人は3年前に亡くなりました。今は復興住宅で一人暮らしをしながら、御蔵を訪れる修学旅行生たちに震災のことを語っています。中高生や地域の人たちにとって、厳しいけれどもほっとする、お母さん的存在です。
ゲスト:神戸市長田区御蔵地区に住む 児島 ハツ子さん

第577回『震災12年・日本災害復興学会発足へ』2007.01.13
【写真上】…写真前列左が木村さん、右が山中さん
【写真下】…放送風景

ゲストの山中さん、木村さんがまず指摘したのは「復興の政策は特例主義である」。つまり、阪神大震災で行われたからといって次の災害でも同じような被災者支援策ができるとは限らないのです。むしろ、その場限りの特例で二度と行われないことの方が多いといいます。これでは「災害の経験を次に生かす」ことはできません。そこで、各地の災害で行われた支援策や課題を集め、被災者の本当に役に立つ支援制度を作るため、「災害復興学会」を発足させようという動きが、関西学院大学の災害復興制度研究所を中心に起きています。
「都市だけの復興ではなく、人間復興が日本では考えられていなかった。最終的には復興基本法のような法律を作らなければいけない」と主張する山中さん。
木村さんも「今の法律はばらばらで、専門家でもどの法律に基づいてどんな支援が受けられるのか、すぐには答えられない。自治体の担当者でも分からないし、ましてやおじいちゃんおばあちゃんに分かるようなものにする必要がある」と話します。「『美しい国日本』もいいけど、『やさしい国日本』でなくちゃね。」という木村さんの一言で番組は終わりました。
ゲスト:関西学院大学 教授 山中 茂樹さん、社会安全研究所 所長 木村 拓郎さん

第576回『過去の災害を防災につなげるために』2007.01.06
2006年起きたに千島列島の地震では津波警報が出ましたが、避難した人はほんのわずかでした。しかし津波は恐ろしいものだと今村先生は言います。ポイントは3つ。速さ、高さ、破壊力です。中でも流れの速さは、河川洪水の10倍にもなるというから驚きです。そして高さ。過去には1950年代のアラスカで525mの高さまで津波が遡った記録があるそうです。人が住んでいなかったので被害はありませんでしたが・・・。そして破壊力。津波がぶつかる力は、車が時速30kmから40kmで壁に衝突する力に相当します。ここまで聞くと「何をおいても高いところに逃げる」という津波の鉄則がわかりますね。
ところで、今村先生たちは去年初めて仙台で「サバメシコンテスト」を実施。火や水をなるべく使わず家にある材料で作る「サバイバルめし」のレシピを募集しました。家族や職場の仲間で構成するおよそ100チームから応募があったそうです。楽しみながらできるこうした活動も「防災につなげる」大切な要素です。
ゲスト:東北大学大学院教授 今村 文彦さん

第575回『スマトラ島沖地震から2年〜被災地に生きる人々〜』2006.12.23
タイのリゾート地、カオラックはタイの中では最も津波の被害が大きかったところです。中埜さんは、そのカオラックで、日本人が営むダイビングショップ「edive」のスタッフとして働いています。
津波の瞬間はお客さんと一緒に船で沖に出ていましたが、潜る直前に海の異変に気づき、助かりました。ediveのスタッフはお客さんを日本へ帰した後も、ケガをした人たちの救助や行方不明者の捜索に奔走しました。お店は一時移転を余儀なくされましたが、現在はカオラックに戻り営業を再開しています。がれきとなっていたリゾートホテルも多くが再建し、新しい学校や復興住宅もできました。しかし、一見元気になったかと思えるカオラックも今だに犠牲者が見つかるなど、復興途上の部分が残ります。
中埜さんは、自身のブログでカオラックの現状を伝えながら復興を見守っています。
ゲスト:ダイビングインストラクター・中埜英美さん

第574回『地震学者が明かす裏話』2006.12.16
地震の裏話のひとつが「想定外の地震」です。阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震も「想定外の地震」でした。「想定外に大きなゆれ」「想定外の大きな被害」だったわけです。しかし梅田教授が強調するのは「想定外に小さな地震」。「小さいなら被害も小さくて恐れる必要はないのでは?」と思いませんか?そうではないのです。例えば大阪の市街地も通る「上町断層」。北は豊中市から南は岸和田市まで全長42kmの上町断層が一気に動けばマグニチュード7.5の大地震になります。30年以内の発生確率は3%です。しかし一部分だけ動いて一回り小さい地震が起きる確率はその5倍にもなります。それでも新潟県中越地震の規模ぐらいにはなるというのです。
このような話は、日常のニュースではなかなか伝えられません。そういう「裏」も知って地震への理解を深めませんか。
ゲスト:京都大学防災研究所 教授 梅田 康弘さん

第573回『被災マンションに学ぶ教訓』 2006.12.09
2006年12月現在、再建されないままのマンションは阪神大震災の被災地に5軒あります。うち3軒は訴訟に持ち込まれ、訴訟にならなかった1軒を含めて4軒が建て替えに決まりました。残り1軒は「建て替え」か「補修」かの結論が出ないまま、住民がマンションに戻り始めています。
なぜ住民合意にこれほどの年月がかかるのか。谷垣さんは「マンション住まいは一戸建てより快適な面もあるはず」と指摘します。「古くなった給湯器の更新は全戸一斉にすれば半額ぐらいになるし、マンションの中でデイサービスをしているところもあります。これは大規模住宅のメリットでしょう」。それを実現するためには住民同士のコミュニケーション力と自治意識が不可欠だといいます。
「被災後、議論が長引いたマンションは、住民の意思疎通がうまくいっていなかった」と振り返る谷垣さん。「時候の挨拶よりも深いコミュニケーションは苦手かもしれませんが、相手をやりこめるのではなく、相手の希望していることを引き出していくようなコミュニケーションができるといいですね」というアドバイスをもらいました。
ゲスト:NPO全国マンション管理組合連合会事務局長 谷垣千秋さん

第572回『災害時の家具の転倒を防げ!』2006.12.02
去年1月に結成された名古屋市のボランティア団体「かぐてんぼう隊」では、お年寄りの家庭を中心に、自宅を訪問して家具に転倒防止用の金具を取り付けたり、また避難路を確保する上で家具の配置が適当かどうかチェックするなど、家の中での防災対策に取り組んでいます。
現在の隊員数は、定年退職した人や建築を学んでいる学生など60人。
活動エリアは今のところ愛知県内だけですが、「かぐてんぼう隊」代表の児玉道子さんは「てんぼう隊の取り組みを全国に広げていきたい」と話していました。

※「かぐてんぼう隊」オススメの、家庭でもできる家の中での防災対策は次の通り。
・寝室やリビングなど、長く滞在する部屋に大きな家具は置かない
・食器棚の扉が地震のゆれで開かないように、金物などをつけておく
・(食器棚・本棚などの)ガラスに飛散防止フィルムをはっておく
ゲスト:かぐてんぼう隊 代表 児玉道子さん

第571回『防災リポート・千島列島で地震、津波の影響は?』2006.11.25
15日の夜に発生した千島列島付近のM7.9の地震では北海道や東北地方など広い範囲に津波警報と注意報が出されました。
津波注意報が出された気仙沼市からの電話リポートです。

気仙沼市と本吉郡では津波注意報が発令され、菊田さんたちは防災無線で住民に注意を呼びかけたり防潮堤を閉鎖するなどの対応に追われました。
気仙沼市で観測された津波は43センチ。
幸い人的被害はありませんでしたが注意報解除後も続いていた潮の変化で小型漁船が転覆しました。
菊田さんは「海面は津波が去ったあとも数時間は上下します。
津波注意報が解除されても、けして海には近づかないで!」と呼びかけています。
電話ゲスト:1・17リポーターで気仙沼・本吉消防本部の菊田清一さん

第570回『天国の母に届け〜震災遺児が奏でるピアノの調べ』2006.11.18
池田祥平さんは現在、芦屋市立山手中学校の3年生。学校では生徒会長をつとめています。そんな祥平さんは3歳の時、芦屋市内の自宅で震災に遭いました。
中学校の美術教師だった母親の裕子さんは、避難所となった勤務先の学校で被災者への対応などに奔走し、過度の疲労から亡くなったそうです。
祥平さんは、母親の残したピアノを8歳の頃から弾き始め、小学6年の時には兵庫県学生ピアノコンクールで最優秀賞を受賞するまでに上達しました。
今月29日には、神戸市内で開かれる被災者支援コンサートに出演し、世界各地の災害に見舞われた地域などで演奏活動を続けている松野迅さんと共演します。番組の中で、祥平さんは「僕の演奏で、被災した人たちが勇気と夢を感じてもらうことができれば…」と力強く話していました。
(写真は左から松野迅さん、池田祥平さんです)
ゲスト: 芦屋市立山手中学3年生 池田祥平さん/バイオリニスト 松野迅さん

第569回『誰でも、どこでも!10言語の災害情報を携帯サイトで』2006.11.11
神戸市長田区のコミュニティFM「FMわぃわぃ」のプロデューサーで「多言語センターFACIL」の代表でもある吉富さんが、また新たな活動を始めました。その名は災害時多言語情報センター=JOSEF(ヨーゼフ)。アルプスの少女ハイジに出てくる犬のヨーゼフのように、「いざというとき頼りになる」活動を目指しています。

ヨーゼフでは、携帯電話向けサイトに10言語の防災情報・災害情報を掲載。阪神大震災のとき外国人が必要な情報を得られなかった経験を生かし、すでに吉富さんたちが作っていた外国語データベースが元になっています。10言語には「やさしいにほんご」もあり「じしんがおきたら・・・いちばんちかい あんぜんなばしょに にげます」と教えてくれ、高齢者にも好評です。
アドレスは http://josef.jp
知り合いの外国人の方にぜひ教えてあげてください。
ゲスト:災害時多言語情報センター 吉富志津代さん

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