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第618回『番組リポーター大集合』2007.11.26
奈良県上牧町在住の辻さんは、コミュニティFMの元DJ。今は、毎年夏に開いている「子どもサバイバルキャンプ」で、訓練の合間にお話を読み聞かせるボランティアをしています。南海地震の津波の話をもとにした「稲むらの火」を語って聞かせたとき、子どもたちは「お米に火をつけて津波を知らせたの!もったいない!」とすぐに反応したそうです。そこまでして救いたい命があることをわかってくれたのでは、と辻さんは話します。
一方の寺倉さんは、大阪府能勢町の消防団員。常備消防がない能勢町では、消防士ではなく、一般住民が組織する消防団が消火活動の担い手です。寺倉さんも機動隊としていち早く現場に駆けつけます。そんな寺倉さんが地域の人の命を守るために構想しているのは「顔写真つきご近所助け合い防災マップ」。お年寄りの住む家や、助けが必要な項目について詳細に書かれた地図を作って地域で共有したい。そうすれば、災害のときもケアできるのでは・・・という思いです。それには、近所づきあいから。まずは落語会で人々に集まってもらうことから始めたいと話しています。
ゲスト:「1・17リポーター」 辻 敏子さん、寺倉 智浩さん

第617回『耐震ふすまで命を守れ!』2007.11.19
地震による家屋の倒壊を防ごうと、「耐震ふすま」を研究開発した三重大学大学院工学研究科の川口淳・准教授に、三重県津市から来て頂きました。半年ぶりのご出演です。
95年の阪神淡路大震災の時、被災地の状況を調べていた川口准教授は、アルミサッシなどの建具によって家屋の倒壊を免れたケースに注目。その後、地元の業者とともに、ふすまの骨組みにアルミを使用した「耐震ふすま」の開発に力を注いできました。
今年7月、築100年を超える木造住宅に14枚の「耐震ふすま」を取り付け、震度6強程度のゆれを加える実験をしたところ、倒壊することはなかったそうです。
住宅の耐震性を高める上で、耐震補強工事ができれば、それにこしたことはありませんが、費用負担がネックになって、なかなか対策が進んでいない中で、川口さんは「耐震補強は無理でも、耐震ふすまなら入れられるとか、家具を固定するくらいはできるとか、そういうできることから1つずつ積み重ねていって、備えをしていくということが、とても重要だと思います」と話していました。
ゲスト:三重大学大学院工学研究科 准教授 川口 淳さん

第616回『人とのふれあいが命を救う〜ある自主防災組織の活動』2007.11.12
マンションの自治会長をしていた田井孝一さんは、「地震の訓練がしたい」という住民の声に応え、地震の揺れを体験できる「起震車」を訓練に呼ぼうと企画。しかし「自治会単位での訓練では派遣できない」という行政からの返答があり、このことが自主防災組織を結成するキッカケになりました。災害時に、近所の人達で助け合えるように防災活動を行う「自主防災組織」。阪神・淡路大震災で実際にがれきの中から助け出されたのは、およそ7割が近所の人の手によるものだったといいます。
活動の中では、災害時に弱者となってしまう高齢者や障害のある人へのケアにも力を入れました。指定された避難所があまりに遠いため、近くにある看護学校に協力を依頼し、一時避難の場所として使えるようにしてもらいました。行政指定の避難所とは違って救援物資や炊き出しなどは行われませんが、いざという時は看護学校の学生がボランティアとして活動するそうです。
「大きなことよりもできることから始めていきたい」と語る田井さん。今後は、隣接する高槻市の住民とも連携して防災活動を進めていくことも目標に、取り組みを続けます。
ゲスト:自主防災組織「ライフフィールドハイム茨木」田井 孝一さん

第615回『どうなっているの?最近の近畿の地震活動』2007.11.05
「最近地震が増えてきたね」「心配だね」と私たちが口にするときの「地震」はいわゆる「有感地震」。つまり震度1以上の、体に感じる地震です。しかし地震の研究者が注目するのは人が感じないごく小さな地震=「微小地震」。京阪神だけでも1日20回程度、この微小地震が起きていると言われ、地下の様子を知る上で貴重な手がかりとなっています。 片尾先生はこの微小地震の観測を続けています。微小地震の回数の増減やメカニズムをみていくと、その地域にかかる力が変化してきたことがわかるといいます。本当は大地震を直接調べたいのですが、数年に1度しかチャンスがありません。ごく小さな地震を研究することで将来の地震予知につなげられないか、地道な観測が続けられています。
 ただ、この観測の歴史もここ30年ほど。片尾先生は「今の科学ではまだ大地震を予想できないことのほうが多いです。常に備える気持ちも忘れないでください」と話しています。
ゲスト:京都大学防災研究所 地震予知研究センター 准教授 片尾 浩さん

第614回『新潟県中越地震から3年、旧山古志村は今』2007.10.29
大規模な土砂災害のため全村避難した山古志村は、地震後長岡市と合併しました。人口は地震前の6割。仮設住宅が解消される見通しの年末までに7割に回復する見込みです。
 2006年の年末、私たちが仮設住宅を取材していて出会った「理容ほしの」さん(写真左)は、山古志の元の場所で店を再建しました。集落に人が1人ずつ戻ってくる様子を見つめてきたといいます。今では近所で戻った人は100%。店先のソファにはいつも3〜4人、お茶を飲みながらおしゃべりする姿が見られます。
 一方、震度7の川口町では、全壊したスーパー「安田屋(あんたや)」が再建。そこには「安田屋がなくなってしまっては川口町もだめになる」という70代の女性社長の意気込みがありました。オープンのときは、郊外の大規模スーパーまで車で行けない人や、なじみのお客さんたちが、店員たちの手を握って喜んでくれたそうです。
しかし、被災地には再建をあきらめた人や故郷に戻れなかった人が大勢います。復興の過程には、今回放送にのらなかった人たちの声なき声もあることを噛みしめたいと思います。

【写真上】山古志で再建した「理容ほしの」さんの星野吟二さん、サツ子さんご夫婦。「黙って座ればお客さんの頭の形から好み、家族構成まですべてわかりますよ」。店の再建を準備する過程で山古志に一人、また一人と住民が戻ってくる様子も見つめてきました。
【写真下】川口町のスーパー「安田屋」さん。今の社長は3代目という歴史あるスーパーです。毎日必要なものを売る店がほかにないことから、多額の負債を覚悟で元の場所に再建しました。手作りのお惣菜も人気で、近所の人たちがお店の中でなごやかに会話を交わす姿が見られました。
スタジオ報告:毎日放送ラジオ局報道部 大牟田 智佐子記者

第613回『新潟県中越沖地震から3か月』2007.10.22
新潟県では仮設住宅におよそ3000人が暮らしています。仮設の建物は阪神大震災の頃より改善され、結露対策も施されていますが、すでに寒さは到来。すでにホットカーペットが支給された仮設もありました。
被害の大きかった刈羽村と柏崎市では、地盤災害による被害で自宅に戻れない人が大勢います。建物が壊れていないにもかかわらず、基礎部分がねじ曲がったり地盤が沈下して家が傾いているのです。土地からやり直して自宅を再建するのは大変な費用がかかり、柏崎市の山本団地(写真左)の住民などは国に支援を求めています。
一方、地震で店の倒壊が相次いだ柏崎市内のえんま通り商店街は、復興に向けた話し合いがスタートしました。地震前からシャッターを閉めるお店がちらほらあったため、今後は空き地に高齢者向けの復興住宅を誘致することも考えています。「この前もらったあれ、まだあるかな?」「はいはい、ありますよ」というやりとりが聞こえる商店街。復興プランは高齢社会の1つのモデルになるかもしれません。

【写真上】・・・柏崎市の山本団地。建物は無傷に見えますが、基礎が傾いたり家の中が傾斜したりしていて、このままでは住むことができません。

【写真下】・・・えんま通り商店街にあった貼り紙。各店舗には「えんま通り頑張ってます」といった紙が貼られていました。商店街の写真屋さんが手弁当で印刷し配ったのが始まりです。
スタジオ報告:毎日放送ラジオ報道部 大牟田 智佐子記者

第612回『緊急地震速報Q&A』2007.10.15
「地震対策、なにしてますか?」と聞かれてみなさんはどう答えますか?真っ先に「耐震補強をしています」「家具の固定をしています」と答えた人は上級者。でもほとんどの人が「非常持ち出し袋は用意したけど・・・」と答えるのでは?「まず命を守る、その上で避難生活ができる準備をする」のが地震対策の鉄則です。
しかし、10月1日から始まった「緊急地震速報」ではこれまでとは違う地震対策が必要だということがわかりました。「ゆれるまでのわずかな時間(たとえば10秒)をどう使うか」ということなんです。
震源からの距離にもよりますが、ゆれるまで数秒から数十秒しかないのが緊急地震速報。そのとき最優先すべきは「身を守る」こと。家の中なら机の下にもぐる、外にいるならガラスの落下を避ける、高いところなら身を低くしてしっかり何かにつかまる・・・など、とっさの判断が命を分けます。スタジオでは実際に行われた訓練も紹介しました。あなたの場合はどうですか?トレーニングのつもりで考えてみてください。危険な場所・安全な場所がわかり、さらなる地震対策につながります。
スタジオ解説:毎日放送ラジオ報道部 大牟田 智佐子記者

第611回『被災地の子どもたちに人形劇を届けたい』2007.10.08
活動のきっかけは阪神・淡路大震災でした。「クラルテ」は神戸の子どもたちに人形劇を届けるかたわら、「ボランティア公演をしたい」という全国の劇団と被災地の受け入れ先の調整に奔走しました。このとき培ったノウハウがその後の災害にも生かされます。最近では、新潟県中越地震や能登半島沖地震、新潟県中越沖地震などの被災地でボランティア公演が実現しました。
人形が出てくるだけで、小さな子どもたちはその世界に吸い込まれるといいます。「地震で縮んで硬くなっていた心が、人形劇で至福の時に包まれる。そんな体験を数多くの子どもにしてほしい」と松本さんは感じるようになりました。
しかしすべて身銭を切るボランティア公演。活動したくてもできない劇団も数多くあります。そんなときに元手となる資金があったら・・・そう考えた松本さんは、仲間とともに基金を立ち上げました。それが「こどもボランティア基金」です。「飲み会で余った300円でも積み立てていけば『とりあえずこのお金使って!』って言えるやん」。
「クラルテ」はフランス語で「太陽」「文化」を意味します。「焼け跡に文化を」という創立者たちの思いと、被災地に至福のときをもたらしたいという松本さんたちの思いはどこかで結びついているのかもしれません。

※基金への協力・お問い合わせは「人形劇団クラルテ」
FAX06−6686−3461へお願いします。
ゲスト:人形劇団クラルテ 松本 則子さん

第610回『ニュータウンで頑張る地域防災』2007.09.24
「子どもサバイバルキャンプ」とは、
水道・電気・ガスが使えない避難所を想定して子どもたちが1泊する避難所体験です。今年は8月25日から1泊で実施。子どもたちは竹を削って自分のお箸を作るところからはじめ、防災訓練にも参加しながら友達と避難所に泊まりました。「バケツリレー」をすれば、1人でバケツを持ったままゴールまで走ってしまう子がいたり、火元にバケツで水をかける動作がうまくできない子がいたり。でも楽しみながらそういう手順を覚えていきました。
このキャンプでは自治会で備えた「防災倉庫」にある機材が活躍します。ジャッキやバールなど、普段は使わない器具を子どもも大人も使うチャンス。防災倉庫は災害直後、少しでも早く人を助けるためにぜひほしいという声が多かったことから備えました。JRの中古コンテナを公園に設置しています。
奈良でも東南海・南海地震や直下型地震と無縁ではありません。いつか来る地震に備え続けるためには楽しく学び体験する工夫が必要だと辻さんは話していました。
ゲスト:奈良県西大和6自治会連絡会 事務局 辻 誠一さん

第609回『防災教育に大切なこととは』2007.09.10
舞子高校の環境防災科は、全国で唯一の防災学科。阪神・淡路大震災をきっかけに、命の大切さなどを学び、社会に貢献できる人材を育てようと、5年前に設置されました。
「いま力を入れているのは、生徒たちの夢と防災をつなぐこと」と話すのは環境防災科教諭の諏訪清二さん。例えば、国際協力をしたいという夢と防災をつないで、海外の被災地を訪問して現地の子どもたちと交流したり、お笑いと防災をつないで防災漫才をしたり… 諏訪さんは「自分の夢と防災をうまくつないで、将来の進路にしてくれる、そんな授業を今やっています」と話していました。
環境防災科は、学校や地域で防災教育に取り組んでいる子どもや学生をたたえる「ぼうさい甲子園」(毎日新聞社など主催)で、昨年度グランプリを受賞。この「ぼうさい甲子園」を企画したのが、毎日新聞の中尾卓英記者。「全国でそれぞれ行われている子どもたちの防災への取り組みを集めて、震災があった神戸から発信したい…」そんな思いで始めたのがきっかけだそうです。(「ぼうさい甲子園」では今年も、子どもたちや学生が学校などで取り組んでいる防災教育・防災活動を募集しています。応募の締め切りは9月30日です)

※写真は右から諏訪さん、中尾さんです
スタジオ報告:兵庫県立舞子高校環境防災科教諭 諏訪清二さん、毎日新聞阪神支局 中尾卓英記者

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