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第648回『安政東海・南海地震〜激動の歴史と地震のおはなし』2008.08.11
幕末の江戸・安政年間は政治が激動の時代。自然災害も数多く起きて、歴史にも影響を与えました。幕開けは、安政元年の安政東海地震。日露和親条約を結ぶため日本に来ていたロシアのプチャーチンの船がこの地震で壊れ、沈みました。
帰る船がなくなったプチャーチンのために、日本の人たちが船を作り、西洋式の造船技術が初めて日本に導入されたのもこのときです。1日遅れて安政南海地震が起き、大阪の道頓堀にも津波が押し寄せ、大勢の人が亡くなりました。その後には安政江戸地震。今で言う「首都直下地震」で、地震を恐れた人々が鯰を押さえつけていたり、地震で潤った建築関係者が鯰を接待している様子を描いた「鯰絵」が誕生しました。
こうした地震にまつわる歴史を調べている寒川さんは、当時の人々のドラマがわかるといいます。今世紀中にも起きるとされる南海地震の規模は、少なくとも安政南海地震の規模と考えられています。この地震を学ぶことによって、私たちも地震の対策を考えることができるのです。
ゲスト:産業技術総合研究所 関西センター 招聘研究員 寒川 旭さん

第647回『中国四川大地震・土砂災害から何を学ぶのか』2008.07.14
沖村先生が訪れたのはぶん(さんずいへんに文)川県の映秀と北川県の擂鼓。
人口1万人の映秀は7700人が犠牲になり、一方の擂鼓は8割以上の建物が崩壊したとされる最も被害の大きい地域です。被害を大きくした原因はなんといっても激しい強震動。しかしその次に土砂災害だったと沖村先生は話します。四川省の山間地の地質は硬い石灰岩で、大雨にも崩れることなく急傾斜の岩肌になっています。そのため地震によって急傾斜の頂上から、20〜30cmの岩の塊がごろごろ落ちてくる現象が見られました。ふもとの民家は直撃にあい、多数の人が犠牲になったとみられます。これに比べると、新潟県は第三紀層と呼ばれるやわらかい地質、岩手・宮城内陸地震の山間地はさらにやわらかい火山灰層が積もっていて、このような形の土砂災害にはなりませんでした。
沖村先生は話します。人が住んでいる平坦な地形も、過去の災害で崩れた土砂の痕跡であることが多い。つまりもともと土砂災害が起きやすい場所に住んでいるのだと知って、災害と共存していく心構えや対策を考えるのが大切なのです。
ゲスト:建設工学研究所 常務理事で神戸大学名誉教授の 沖村 孝さん

第646回『河本リポート・修学旅行生の震災学習』2008.07.07
阪神・淡路大震災のとき、大火災で地区の8割が焼失してしまった御蔵地区。
町工場や喫茶店が立ち並び、細い路地に昔ながらの家が肩を寄せ合う下町は、区画整理ですっかり新しいまち並みに変わってしまいました。
このまちでなんとか震災を伝えたいという思いから、ボランティア団体「まち・コミュニケーション」が修学旅行生の受け入れを続けています。そこで活躍するのが住民ボランティア。当時の写真を見せながら、阪神・淡路大震災の概要について説明し、地震直後にどんな助け合いがあったのか、何に困ったのかといった体験談を話します。そして少人数のグループに分かれてまち歩き。大地震の体験がない子どもたちは、地震の火災を食い止めたといわれるクスノキが、半分焼け焦げながらも青々と葉を茂らせている様子などに目を留め、改めて地震の怖さや人々の生きる力を実感するといいます。
河本アナが取材した日は神奈川県秦野市立南中学校の3年生128人が、語り部の南宏子さんや岸田圭位子さんの話を真剣に聞きました。128人といえば、震災のときこの地区で亡くなった人たちと同じ人数。
「観光地のお菓子だけでなく、ここで聞いた話を目に見えないお土産として持ち帰ってくれたら、語り部さんたちの思いも生きてくると思います」と河本アナは話していました。
スタジオ報告:河本 光正アナウンサー

第645回『ネットワーク1・17スペシャル〜明日から放送・緊急地震速報を活用するために〜』2008.06.30
地震の大きなゆれが伝わる前に、地震が起きたことを知らせようという気象庁の緊急地震速報。去年10月に一般公開されましたが、MBSラジオでもいよいよ2008年7月1日に運用を開始します。みなさんの身を守るためにどのように活用すればいいのか。災害時の避難行動などにくわしい群馬大学の片田先生に解説していただきました。
緊急地震速報は、震源の近くでは地震とほぼ同時にしか伝わらないという限界があります。6月14日の「岩手・宮城内陸地震」では、震源から30km以内では緊急地震速報は間に合いませんでした。しかし100km離れた宮城県仙台市内では、わずか15秒から20秒の間に行動できた例があります。地震の3日前に緊急地震速報の訓練をしていた白石中学校の生徒が机の下に隠れるなどして無事に避難。また番組リポーターの仙台市在住武山さんも、バス停から安全な場所に避難しました。このように「短い時間を有効に使うシミュレーション」をしておけば、とっさに行動できます。「緊急地震速報が間に合わない地域があるから役に立たない、と結論付けてはいけないのでは。これを導入するのは命を守る目的があるからだという姿勢を持つことで、ほかの防災対策とあわせて利用していくことが大切です」と片田先生は話しました。
番組では、愛知県豊田市で緊急地震速報が鳴ったらテーブルの下に隠れる訓練を定期的にしているご家族も紹介しました。「災害時はふだんしていることしかできないんです。だからとにかく行動してみましょう」と片田先生も話しています。

※河本アナウンサーが手にしているのは、番組プレゼントの緊急地震速報警報装置「TAKUSU−V」(トータル・ライフサービスコミュニティ)です。
ゲスト:群馬大学大学院 教授 片田 敏孝さん

第644回『岩手・宮城内陸地震 今も続く避難生活』2008.06.23
新幹線を乗り継いで宮城県栗原市に入った寺澤記者。市街地では全くといっていいほど被害がないのに驚いたのですが、山間地が見えた途端ひどい土砂災害だということがありありとわかったといいます。最も被害が大きかったとされる栗原市花山地区に入ると、その様相はさらに明らかに。落石防止の作業員3人が土砂崩れに巻き込まれた現場近くでは、地震による土砂崩れで川がせき止められたいわゆる「震災ダム」が何箇所もできています。その下流に住む人たちは、ダム決壊の危険性があるため避難生活を余儀なくされています。1日数時間、短いときは1時間半の一時帰宅で家の片付けや家畜の世話をしている人たち。梅雨入りした19日からは二次災害の危険性も増し、いつ戻れるかわからない状況になりました。また、別の栗駒地区ではイワナの養殖やイチゴ栽培など、仕事にも深刻な影響が出ています。
一方で、地震でできた地割れのため水が干上がってしまった田んぼもあります。田植えをしたばかりで一番水が必要な時期。コメ農家の男性は「雨が降ってほしいが震災ダムの二次災害のことを複雑な思い」と語りました。同じ被災地でも、被害は様々。実情にあった支援が求められています。

【写真上】…自衛隊ヘリから見た地滑り現場(栗原市栗駒地区)
【写真下】…地割れが始まっている水田(栗原市花山地区)
スタジオ報告:毎日放送ラジオ局報道部 寺澤 亮平記者

第643回『岩手・宮城内陸地震 現地報告』2008.06.16
16日19時現在、10人の犠牲者と12人の行方不明者がいる岩手・宮城内陸地震。震源近くの山間地では大規模な土石流が発生し、山の形が変わるほどの激しい土砂災害になっています。
ラジオ報道部の寺澤記者は15日日曜日に宮城県栗原市に入り、工事現場の土砂崩れで作業員が行方不明になっている花山地区からリポートしました。花山地区ではほかにもつり橋から老夫婦が流されたのが確認されるなど5人が行方不明になっています(16日19時現在)。災害対策本部の隣に設置された避難所では、道路の寸断で孤立集落となってしまった住まいから100人あまりが避難し
ています。余震で眠れない上、毛布は配られても夜は寒く、90歳代の女性は血圧が上がっているということです。
一方同じく日曜日から現地調査に入った社会安全研究所の木村所長。今回の地震の特徴は、死者・行方不明者の大半が住民ではないということではないかと指摘します。山菜取りや温泉宿泊など、被災地の外から来ていた人たちが被災した場合、困難なのは安否確認です。「もし都市部で外部からの流入者が非常に多い場合はもっと混乱すると思われます」と話しています。
今回の地震の規模は阪神・淡路大震災並みのマグニチュード7.2。都市部で起きていればさらに被害は拡大していたと思われます。他人事ではありません。
改めて地震への備えを見直しましょう。
電話ゲスト:社会安全研究所 所長 木村 拓郎さん

第642回『直下型地震と高層ビル』2008.06.02
上町断層では、阪神・淡路大震災よりも大きな規模の地震が人口密集地の下で起きるのではないかと予測されるため、被害想定も非常に大きくなっています。
林先生によれば、こうした地震にも強いのは5階建てぐらいの高さの、四角い建物。市営住宅のようなデザインの建物です。さらに「建築基準法を満たしている建物なら命にはかかわらない」とは断言できないということです。それほど地震動が激しいと予想される上町断層の地震。ただし、8000年に1度の周期なので、いつ起きるかは未知数です。「住み替えやリフォームのときに、建物を地震に強くする意識を持つのがいいのでは」と林先生は話します。
一方で、30年以内にも必ず起きるとされる南海地震。こちらについては、長い時間続く横揺れに耐える対策が必要です。是非室内の家具は固定してくださいね。
ゲスト:京都大学大学院工学研究科建築学専攻 教授 林 康裕さん

第641回『中国四川省大地震』2008.05.19
19日現在で犠牲者3万4千人以上となった中国・四川省の大地震。被災地を取材した辻井記者によれば、建築基準に相当するものはあるのに、取材をしてみるとそれが住民まで浸透していないのではないかという印象を受けたそうです。れんがを積み上げただけで鉄筋や鉄骨が通っていない家が多く、これが被害を拡大させたのではないかと考えられています。
これを受けて、大西先生は「基準があってもそれがきちんと守られているかどうかが問題です」と話します。鉄筋や鉄骨が入っていない建物が地震にもろいのはもちろんですが、仮に鉄筋コンクリートの建物でも、建設現場でコンクリートを混ぜ合わせるときに「塗りやすいから」と水分を多くしてしまう施工が見受けられるということです。そうなれば本来の強度も保たれないと大西先生は指摘しています。
一方、地震が起きたとき偶然中国・雲南省に滞在していたCODEの吉椿さん。気温が高くなる時期で、生き残った人の感染症などの心配を話していました。1000万人もの人が被災したとされる今回の地震。大西先生は、復興について「住宅再建はもちろんですが、あわせて失われた農地を回復して仕事づくりをしていくことが復興まちづくりには必要です」と話しました。被災地の経済が回復するまでには長い時間がかかりますが、災害の経験がある日本もなんらかの知恵を出していきたいものです。
ゲスト:神戸大学大学院工学研究科 准教授 大西 一嘉さん

第640回『日頃の見守り活動が命を救う』2008.05.12
去年4月15日に起きた三重県中部の地震。亀山市で震度5強を観測し、10数名のけが人が出ました。三重県では自主防災組織の組織率が90%以上。非常に防災意識が高いとされている県です。しかし、アンケート結果からは中身がなかなか伴わない実態があきらかになりました。
というのは、実際に地震のときに何らかの行動を起こした自主防災組織はわずか3割。動かなかった7割の人の中で、理由として最も多かったのが「テレビやラジオの情報を独自に判断したから」。自主防災組織とは、本来、行政の支援が届かなくても地域で助け合うために組織されるもの。川口先生は「自転車でせいぜい30分の範囲の被害情報を確認したり、安否確認したりするのがなぜできないのか」と問題点を指摘します。
それに比べ、8割が動いたのが民生児童委員でした。この人たちは福祉活動として普段から子どもやお年寄り、障害のある人など「災害時要援護者」にあたる人たちの見守りをしています。防災組織ではないのに、すぐにこういう人たちが困っているだろうと動き始めた民生児童委員。こうした視線を持つ人たちと連携することで、自主防災組織も変わっていけるのではと川口先生は話していました。

※川口先生はピーク時に比べおよそ40キロのダイエットに成功したそうです。以前の写真と比べてみてください・・・
ゲスト: 三重大学大学院工学研究科 准教授 川口 淳さん

第639回『河本光正のちょこっとサバイバル体験』2008.05.05
【写真上】これだけのサバイバルグッズが、コンパクトなポーチに入っています。
【写真下】今回お話を聞いた松村賢治さんと。

まず河本アナが聞いたのは、災害の3つの状況でのサバイバルです。
1.食べる、飲む=調理不要の食料を常備。チョコレートや飴、手軽な携帯1食料を利用すればOK。お勧めは調味料。野草を採って固形スープの素を溶かせば野草スープになります。水は携帯型の浄水器を利用。
2.寝る=木にロープを渡してブルーシートをかけるとプライバシーを守る簡易テントに。夏でも土から冷気が伝わるので木の葉などを敷き詰めます。
3.ケガをしたら=絆創膏の缶に絆創膏と液体消毒薬(30mlぐらいのイソジンなど)、綿棒(傷口から砂をかき出す)、傷用の軟膏を入れます。

そして、なんと言っても河本アナが驚いたのが「自分が助かろうとするのではなく人を助けることが大切」という精神。阪神・淡路大震災の被災者でもある松村さんは、サバイバルグッズで電線を切り、電柱の下敷きになっている人を助けました。サバイバルとは、人を押しのけて生きることではなく、人のためになにかできる生活技術のことなんですね。
スタジオ報告:河本 光正アナウンサー

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