第797回『市の8割が浸水!?兵庫県の新・津波浸水予測』 2011.11.14
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3月11日の東日本大震災では「想定外」とされる出来事が次々と起こり、国は巨大地震による「被害想定」の再検討を余儀なくされています。 そんな中、兵庫県は一足早く最悪のケースに備えました。近い将来起こるとされている東南海・東海地震の規模をマグニチュード8.4から東日本大震災と同じマグニチュード9.0に引き上げたのです。その結果、兵庫県沿岸に到達する津波の高さがおよそ2倍になることがわかりました。 高さが2倍になると浸水が予想される面積も大きく変わります。今回発表された「津波被害警戒区域図」では阪神間で最も山側を走る阪急神戸線沿線まで津波が来る恐れが出てきました。中でも尼崎市は、全市域の8割浸水する可能性があるというショッキングなものでした。 私は海から4〜5キロ離れた尼崎市の阪急塚口駅前で地元の人々に話を聞きました。「尼崎でもまさか塚口まで津波が来るとは思っていない」という人が多かったのですが、東日本大震災の津波を考えれば「それもそうだろう」と冷静に受け止めている人もいました。 現場で防災計画・啓発活動を担う尼崎市役所の防災対策課の担当者も「今回の発表で津波に対する見方が180度変わった」と戸惑いを隠しません。ただ、東日本大震災によって市民の防災意識が高まっている今だからこそできることも多い、と基本的には前向きに捉えようという姿勢です。防災についての出張出前講座へのリクエストは前年の30倍以上だということです。 ただ備蓄食糧や津波避難ビルの指定など具体的な対応をとるには国が具体的に被害想定を出す必要がある、と担当者は説明します。国の想定は来年の夏頃には出るのではと言われていますが、はっきりしません。「鉄は熱いうちに・・・」と言います。「3・11」による教訓を最大限活かすためにも、スピード感を持って事を進めてもらいたいと思います。 (河本 光正)
【写真】兵庫県芦屋市の南芦屋浜に設置された看板
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取材報告:MBS・河本光正アナウンサー
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