大阪メトロ『南森町』駅を出て徒歩5分。
天満天神繁昌亭のすぐそばに、ある料理の発祥のお店があるのをご存知ですか?
その名は「寿司常(すしつね)」さん。
「バッテラ」発祥のお店として、名前を聞かれた方もいるのではないでしょうか?
明治24年、「寿司常」の創業者・中 恒吉さんが
当時大阪湾で大量に獲れた"コノシロ"という魚を使って考案したお寿司がはじまり。
最初はそれをふきん絞めで作っていたのですが、あまりの人気に生産が追いつかず...
そのため、木の舟形の寿司型を製作したところ、
お客様がポルトガル語の"bateira(小舟)"を使って、「バッテーラ」と呼んだそう。
それがさらに変化し、いつしか「バッテラ」と呼ばれるようになったんだとか。
その後、コノシロの値段が上がったので、代わりにサバを使用するように。
また舟形よりも箱形の方が押しやすいという事になり、
皆さんがよく知る現在の「バッテラ」の姿が広まっていきました。
そして、3代目店主がのれんを下ろして30年が経った2016年、4代目店主がお店を再開。
バッテラの形を舟形に戻し、呼称も「バッテーラ」に戻しました。
...以上の歴史を踏まえ、「寿司常」さんでは「バッテーラ」の呼び名を使用しています。
今回は、そんな歴史ある【バッテラ】のテクニックを
4代目店主・石川里留(いしかわ・さとる)さんにお聞きしました!
【寿司常 バッテラ】の秘密のテクニック その1
『サバは3枚におろし、塩をして水洗い。
酢で30分ほど締めて、冷蔵庫で1日から2日寝かせる!』
まずはサバの下ごしらえから。
これまでは金華サバを使用していましたが、
最近は脂の乗った生サバを見極めて買うようにしているそう。
1 尾1kgぐらいのサイズが、脂ノリも身の質も良いんだとか。
今日は富山県産のサバを使っていきます。
このサバを3枚におろし、およそ1時間半前後、塩に漬けておきます。
漬け込む塩の量も時間も、その日使うサバによって見極めています。
塩を洗い流した後は、穀物酢の原液に30分ほどつけます。
そして、酢から上げたら冷蔵庫で1~2日間ほど寝かせます。
寝かせることによって水分が抜け、サバの身が締まります。
【寿司常 バッテラ】の秘密のテクニック その2
『冷蔵庫で寝かせたサバは、腹骨・中骨を丁寧に取って皮を剥ぎ、身をへぐ!』
およそ2日寝かせたサバを冷蔵庫から出し、サバの腹骨・中骨を取って、皮を剥いていきます。
この時に剥ぐのは銀色の皮ではなく、その上にある透明な薄皮!
素人には出来ない、とても繊細な作業です。
耳を澄ませば、ペリペリペリ...という音が聞こえてきます。
皮を剥いだら身を「へぐ」作業=「削ぎ切り」をします。
少しの身も無駄にすることなく、丁寧に切り分けていきます。
【寿司常 バッテラ】の秘密のテクニック その3
『舟型にサバの皮と身をのせ、すし飯を入れて軽く押す!』
ようやく「バッテーラ」お馴染みの舟形の出番です!
こちらはヒノキで出来ており、
台になる舟・フタになる舟・レンガのような形の外箱の3つの部品で出来ています。
最終的に皮が外側に見えるよう、皮を下に敷いていきます。
空いてる部分には伱間なく身を詰めて、腹と背を均等に入れていきます。
身を詰め終わったら、上からすし飯を入れていきます。
この時、舟形の外周を少し押さえるのがポイントなんだそう。
フタをしたら、舟形をくるくる回しながら押していきます。
利き手の方がどうしても強く押しがちなので、左右均等にするために回しているんだとか。
3回ほど押したら船形から出し、白板昆布を乗せ、ハケで醤油を塗っていきます。
これで元祖「バッテーラ」の完成です!
なんという艶感!
昆布の下から透ける皮の銀色と、赤身のコントラストが美しいです。
熊本出身の山﨑アナ、人生初のバッテラをいただきます!!
口に入れた瞬間広がる、お酢の爽やかな香り!サバもしっかり脂が乗っています。
サバは1枚1枚薄切りですが、食べてみると以外と肉厚!
あまり強く押していないので、ご飯も口の中で解けていきます。
食べ応えはありますが、あっさりした味わいなので1本ペロリと食べられます!
持ち帰ることが多いバッテラですが、出来立てにはまた違った美味しさがあります。
職人たちが守ってきた伝統の味を、ぜひ一度味わってみては?
★寿司常(すしつね)
場 所:大阪市北区天神橋2-4-3
電 話:06-6351-9886
営 業:11:00~14:00(金~日のみ)
17:00~21:30(L.O. 21:00)
定休日:火曜・水曜
店 主:4代目 石川里留(いしかわ・さとる)さん