近鉄奈良線「大阪難波」駅を出て徒歩3分。
道頓堀のおひざ元で、大阪の歴史をずっと見つめてきたお寿司屋さんがあります。
ここが『英ちゃん冨久鮓』。"鮓"と書いて「すし」と読みます。
創業は今年で105年になります。
そして、今回ご紹介するのはお寿司・・・に並ぶぐらい名物だという「英ちゃん太巻き」(税別 4000円)。
4代目店主の福田卓司さんに【巻き寿司】の3つの秘密のテクニックをお聞きしました!
【英ちゃん冨久鮓 巻き寿司】の秘密のテクニック その1
「お土産用の巻き寿司のすし飯は水の量を多めにして、ガスの炊飯佂で炊き、15 分ほど蒸らす!」
まずはすし飯のテクニック。
英ちゃん冨久鮓ではお店で食べる用と、お土産として持って帰ってもらう用ですし飯の炊き方を変えています。
使用するすし飯は、岡山産の寿司専用の粘りが出にくいお米「朝日」。
米1升に対して、水を500ccほど多めにして、ガス炊飯佂で炊きます。
水を多めにして柔らかく炊くことで、次の日でもお米が乾燥せず美味しく食べることが出来るんだそう。
水の量は、季節によって職人の感覚で微妙に変えています。
炊きあがったら15分ほど蒸らし、半切りに移して砂糖を加え、甘めに調合したお酢をかけながらしゃもじで切ってからめていきます。
ご飯があったかい間にお酢を絡めるんですか?
温かいご飯でないと酢が良くからまないんです。
一粒ずつに酢をからめるようにご飯を切っていきます。
【英ちゃん冨久鮓 巻き寿司】の秘密のテクニック その2
「具は、穴子・海老・椎茸・きゅうり・ミツバ・たくあん・ 大葉、そして薄焼き玉子を使う!」
続いて具についてのテクニック。
「英ちゃん太巻き」にはなんと8種類もの具材が入っています!
穴子は明石産のものを使い、お酒とみりんだけで煮ます。
煮上がった穴子はオーダーが入ってから、太巻きに使う分だけ醤油ベースの甘ダレをつけて、ガス火で炙って冷まします。
作りたてをそのまま食べてほしいので仕込みはしません。
エビは、車エビまたはアシアカエビを少量の酢を加えてボイルします。
酢を少し加えてボイルすると、赤色の発色がきれいになるんだそう。
そして、水で戻した干しシイタケは戻し汁と醤油や砂糖で甘く炊き、 細かく刻んでおきます。
これを午前中の仕込みであらかじめやっておきます。
キュウリは普通より水分が少なく、巻き寿司に最適な「はなまるきゅうり」という品種を使用。
まるでクレープのような薄焼き卵は、少し塩を入れているだけで味付けはほぼしていないそう。
ではいよいよ巻いていきます!
海苔は2枚、中で海苔が破れないように大きい海苔の上にさらにその4分の1サイズの海苔を乗せて巻いていきます。
海苔の産地やメーカーにこだわりはなく、海苔屋さんにおまかせしてその時々で良いものを入れています。
ちなみにこの日は千葉県の船橋産のものを使用、口どけが良く香り豊かな海苔です。
福田さんいわく、海苔の1/3 をのりしろに残し、すし飯は向こう側に山を作るように両端を少し盛り上げて敷き詰めるのが上手に巻くコツだそう。
そうすることによって巻いた時に具が中心になり、すし飯がきれいに丸くなります。
そして具は敷いたすし飯の中心に置き、具を芯にして巻いていきます。
一見お家でも出来そうな気がしますが、これがなかなか難しい!
寿司職人はきれいに巻けるように色々な工夫をし、己の感覚を磨いているそうです。
あっという間に巻き上がりました!
断面は直径7~8センチ、長さは20センチほど!こんなに大きいとは・・・!!!
【英ちゃん冨久鮓 巻き寿司】の秘密のテクニック その3
「巻き寿司を切る時のコツは、巻いてから5分ほど置き、 包丁を少し濡らして切る!」
あとは切り分けたら完成です。
すぐに切るとうまく切れないので、巻いてから5分ほど置くと切りやすくなります。
5分ほどおくと、海苔がすし飯の水分を含んで締まり、表面がツルツルになって見た目も変わってくるんです。
切る時、少し包丁を濡らして切るとご飯がくっつきにくくなるそうです。
ついに完成です!
赤・黄・緑のコントラストが鮮やかで、美しい断面です!
福田さんいわく、巻き寿司は箸ではなく手でガッツリ食べた方がいいそう。
では、大きく口を開けていただきま~~~す!!!
?!?!
なんと、最初にやってきたのは今まで触れてこなかったたくあん!
食感が良いアクセントになっています。
沢山の具を包み込んでいる薄焼き卵。
ほぼ味付けしていなくて大丈夫かなと思った山﨑アナですが、むしろそれが正解!
見た目でも味でもみんなをまとめている、リーダー的存在です。
巻き寿司からはみ出している穴子はふわっふわっ!お醤油の香ばしい香りも感じられます!
お寿司屋に行って太巻きなんてもったいない、そんな先入観とはおさらばです。
名脇役の本気を、あなたもぜひ一度体感してみては?
★英ちゃん冨久寿司(ふくずし)
場所:大阪市中央区道頓堀2-2-13
電話:06-6211-1256
営業:12:00~15:00 17:00~21:00(L.O. 20:30)
定休日:日曜・祝日
店主:4 代目 福田卓司(ふくだ・たくじ)さん