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あなたにもらった翼で大空へ翔びたちます 〜母あての手紙〜

震災で21歳で亡くなった大学生が、神戸大学入学を控えた19歳のとき、お母さんにあてた手紙。
「ネットワーク1・17」で紹介したところ、大きな反響が寄せられました。 「手紙の全文を知りたい」「心の糧にしたい。インターネットに載せてください」といった声が届きお母さんのご了解を得て ホームページに掲載することになりました。 神戸大学の学生だった加藤貴光さんは、丑年生まれでニックネームが「うし」。 「国連で働きたい」という希望を持ちながら、あの日、倒壊したマンションの犠牲になりました。 残されたこの手紙を、広島に住むお母さんの律子さんは今も定期入れに大切にしまっています。

あなたが私に生命を与えてくださってから、早いものでもう20年になります。これまでに、ほんのひとときとしてあなたの優しく温かく大きく、そして強い愛を感じなかったことはありませんでした。 私はあなたから多くの羽根をいただいてきました。人を愛すること、自分を戒めること、人に愛されること・・・・・。 この20年で、私の翼には立派な羽根がそろってゆきました。

そして今、私はこの翼で大空へ翔び立とうとしています。誰よりも高く、強く自在に飛べるこの翼で。
これからの私は、行き先も明確でなく、とても苦しい”旅”をすることになるでしょう。疲れて休むこともあり、間違った方向へ行くことも多々あることと思います。しかし、私は精一杯やってみるつもりです。あなたの、そしてみんなの希望と期待を無にしないためにも、力の続く限り翔び続けます。

こんな私ですが、これからもしっかり見守っていてください。住む所は遠く離れていても、心は互いのもとにあるのです。決してあなたはひとりではないのですら・・・・・・・。 それではくれぐれもおからだに気をつけて、また逢える日を心待ちにしております。最後に、あなたを母にしてくださった神様に感謝の意をこめて。
翼のはえた”うし”より

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