第1154回「災害多発の2018年をふり返る」
ゲスト:兵庫県立大学大学院・減災復興政策研究科 教授 室崎益輝さん

今年の漢字に災害の「災」という字が選ばれたように、多くの人にとって2018年は、災害が印象強く残った1年でした。主な災害をふり返ると、車約1,500台が3日間にわたり立ち往生した北陸地方の豪雪、滋賀県米原市を襲った竜巻と見られる突風、大阪府で初めて震度6以上を記録した大阪北部地震、220人以上が死亡し平成最悪の豪雨災害となった西日本豪雨、災害級と言われた記録的な猛暑、近畿地方に大きな爪痕を残した台風21号、最大震度7を観測した北海道胆振東部地震と、枚挙にいとまがありません。
リスナーの皆さんからも、被災体験のおたよりをたくさん番組にお寄せいただきました。今年最後の番組では、兵庫県立大学大学院・減災復興政策研究科の室崎益輝教授をゲストに迎え、皆さんのおたよりをご紹介しながら2018年の災害を振り返り、どうすれば被害を減らせるのか、また、多発する災害に備えてどんな社会にしていけばいいのか考えます。

西村愛のひとこと
まさか、うちの地域でこんなに大きな災害が起こるとは!私も同じ想いです。お便りの体験談や備蓄に対するアイディアから多くの発見がありました。私たちは災間を生きているんだ。災害と災害の間の時間に日々生きている。それを胸に留めて備えを見直しましょう!沢山のお便りありがとうございました。

第1153回「災害時に役立つ風呂敷」
ゲスト:日本風呂敷協会 小山祥明さん

今年9月に発売された書籍「ふろしき防災BOOK」が話題になっています。風呂敷はもともと火事で避難する際に荷物を包むなど、江戸時代から災害の現場でも用いられたアイテムでした。東日本大震災や熊本地震で、被災地に風呂敷を寄贈した経験から、被災者の声を集め、場面ごとに39種類の使い方をまとめたのが、この本です。
被災地では、本来の「荷物を包む役割」や、三角巾など「ケガ・病気への対応」にとどまらず、避難所で間仕切りやカーテンとして利用されたり、洗濯物を囲う「下着干しカバー」に使われるなど、プライバシーを守るために重宝されました。また、ゆりかごやボールにもなり、子どものストレスを解消する遊び道具としても利用されました。
緊急時には足を守る簡易シューズや、おもりを包んで窓ガラスを破るハンマーにもなり、変幻自在で災害時に活躍する風呂敷。改めて見直されるその活用術と役割について、本を出版した日本風呂敷協会の小山祥明さんに聞きます。
来年1月17日に神戸の東遊園地で行われる「1・17のつどい」の準備について、西村愛キャスターのリポートもあります。

千葉猛のひとこと
中学生が作った竹灯籠が来年1月17日に神戸の東遊園地に並びます。私も気持ちのこもった墨字を見に行こうと思います。そして「風呂敷」をこれまで災害対策とつなげて見たことはなかったのですが、ハンマーから靴まで多様な使い方ができることがわかりました。いつも1枚、カバンに入れておこうかな。
 
「ふろしき防災BOOK」
http://www.japan-furoshiki.jp/bousai.html
 
1.17の「竹灯籠づくり」に参加できます <1月6日(日)あいな初まつり>
https://kobe-kaikyopark.jp/news/2019%E5%B9%B41%E6%9C%886%E6%97%A5%EF%BC%88%E6%97%A5%EF%BC%89%E3%80%80%E3%80%8C1-17%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%A9%E3%81%84%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%AB%B9%E7%81%AF%E6%98%8E%E5%8F%B0%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A.html

第1152回「大阪北部地震から半年〜知っておきたい地震保険の話」
ゲスト:ファイナンシャルプランナー 清水香さん

 今週はMBSラジオのスペシャルウイークです。リスナーのみなさんに豪華プレゼントをご用意していますので、楽しみにお聞きください。
特集は地震保険の話です。今年6月の大阪北部地震では、5万5000棟の家屋が被害を受けましたが、その99%は「一部損壊」でした。「一部損壊」では、被災者生活再建支援法の支援金や、災害救助法の応急修理制度の補助の対象になりません。屋根瓦が落ちるなどの被害で、家の補修に数百万円かかるとしても、ほぼ全額、自力で捻出するしかないのです。
自分でできる備えとして、最も重要なのが地震保険です。保険金の上限金額は火災保険の50%で、一部損壊の場合、その5%しかお金が出ませんが、それでも助かったという声が多く聞かれました。地震保険の意義、特に分譲マンションの居住者が注意すべきポイントなど、この問題に詳しいファイナンシャルプランナーで社会福祉士の清水香さんに聞きます。

西村愛のひとこと
災害への備え。防災リュックを準備することや家具を固定することは、すぐ思いつくけれど、我が家を守る保険もプラスしないといけませんね。「うちは地震保険に入っているから大丈夫」と思いながら確認したら、家財の補償まではできていませんでした!!新しい年を安心して迎えるためにも今一度見直しましょう!

第1151回「当時の小学生が語る東日本大震災」
取材報告:亘 佐和子 記者

東日本大震災の発生から7年がたち、当時の子どもたちが、自分の経験をあらためて大人の目線で振り返り、語り始めています。今年9月、大阪市立鶴見橋中学校の防災合宿に、宮城県東松島市の大学生2人が招かれ、講演しました。
小山綾さんと齋藤茉弥乃さんは、東日本大震災のとき、野蒜小学校の6年生でした。「津波は最初、黒い水がサラサラと流れてくる感じだったが、あっという間に校庭が黒い水と瓦礫で埋め尽くされた」と小山さん。斎藤さんは学校の体育館で津波に襲われますが、授業で習った「着衣泳」でずっと水面に浮かんでいて助かった体験を語りました。指定避難所になっていた野蒜小学校の体育館には、約350人が避難していましたが、3メートルの浸水で、十数人が亡くなったとみられています。
子どもたちにとって、震災はどのような経験だったのか。私たちはそこから何を学べるのか。大学生の語り部を通して考えます。

千葉猛のひとこと
東日本大震災発生当時、小学生だった子が大学生となり震災を語り継ぐ。月日の過ぎる早さを思うとともに若い世代の力を感じました。そして今回の放送の重要ポイントの1つは「着衣泳」だと思います。命を守るため「着衣泳」について、ぜひ国が主導して全国の人たちに学ぶ機会を設ける必要があると考えます。

第1150回「小学校と大学の取り組み〜キャスター2人が取材報告」
取材報告:千葉猛アナウンサー、西村愛キャスター

年が明けるとまもなく阪神・淡路大震災の発生から24年を迎えます。兵庫県の芦屋市立精道小学校では、児童が震災を語り継ぐ取り組みが続けられていて、今年1月の特別番組でもその様子をお伝えしました。今回は、西村キャスターが初めて精道小学校を訪れ、震災でお子さん2人を亡くした方の授業を取材して感じたことをお伝えします。
番組後半は、千葉キャスターのリポートです。大阪府吹田市の関西大学で行われた、大規模な避難訓練の様子を取材しました。関西大学は、日中、学生や職員など約1万人が学内を行き交います。また、一時避難地に指定されていることから、災害時には地域の人も含めて、大勢の人が集まることが予想されます。訓練には学生だけでなく、地域の自治会も参加し、連携を進めています。災害時の拠点となることを想定して、本格的に準備を進めている大学の取り組みをお伝えします。

西村愛のひとこと
今回は、学校をキーワードに2つの防災にまつわるリポートでした。共に感じたのは、想像して語り合うことの大切さ。「毎日じゃなくてもいい。なにかのキッカケでふと思い出してくれるといいな」米津さんの授業でも、この言葉が出てきました。この番組が、みなさんのキッカケになりますように。