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上野誠の万葉歌ごよみ
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上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(國學院大學 教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサープロフィール
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2024年11月16日 放送分】
【2024年11月9日 放送分】
【2024年11月2日 放送分】
【2024年10月26日 放送分】
【2024年10月19日 放送分】
【2024年10月12日 放送分】
【2024年10月5日 放送分】
【2024年9月28日 放送分】
【2024年9月21日 放送分】
【2024年9月14日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年11月16日 放送分】
2024年11月16日
【巻】…11・2399

【歌】…赤らひく 肌も触れずて 寝たれども 心を異には 吾が思はなくに

【訳】…若い肌に触れることもなく寝たけれど 心が離れたとは私は思っていません

【解】…今週もお便りをいただき、ありがとうございます。上野先生曰く「鹿は長く鳴く方がモテる、体力と肺活量は比例する」とのことです。今回の歌の中にある「赤らひく」は赤面していると訳すのではなく「血色の良い、健康的」という意味になります。わざわざ会いに行って一夜を共にしたにもかかわらず、肌にすら触れなかった…というのは、青春の歌だと考えられますが、「どうして?」と不思議に思えて仕方がありませんね。真実は不明ですが、どんな状況だったのでしょうか?皆さんは、この歌を一体どんな風に解釈し、どういった状況を想像されましたでしょうか?

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年11月9日 放送分】
2024年11月9日
【巻】…11・2394

【歌】…朝影にわが身はなりぬ 玉かぎる ほのかに見えて 去にし子ゆゑに

【訳】…朝影に私はなってしまった ほのかに見えて 立ち去って行ったあの子のために

【解】…今回ご紹介する歌は、朝影になってしまったという歌を詠んでいきます。「朝影になる」は「朝影のように細く痩せてしまった」と「ぼおっと佇んでいる」という意味になります。この歌は、ほのかに見えて、ちらっと見えた、話したこともない人に心を奪われて、恋に悩み痩せ細ってしまったという【一目惚れの歌】です。瘦せ細るほど悩むということは、彼女にとってすごく惹かれる何かがあったのでしょう…憧れのまま済ませたのか気になるところではありますが、遠くから見る恋と近くから見る恋は、どちらの方が幸せなんでしょうか。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年11月2日 放送分】
2024年11月2日
【巻】…11・2375

【歌】…われゆ後生れむ人は わがごとく恋する道に会ひこすな ゆめ

【訳】…私より後に生まれくる人は 私のように恋に苦しむ道に出会わないように 決して決して

【解】…今回の歌は、上田アナウンサーが過去のコトノハのイベントでも朗読したことのあるとっても思い出深い歌だそうです。「ゆめ」という言葉は「決して」という意味になります。歌の女性は「私の恋する苦しい道に陥ってくれるな」と残しています、彼女にとってどれだけ辛い恋の経験をしたのでしょうか…悲痛な思いがひしひしと伝わって、胸が苦しくなります。恋の病・恋煩いと簡単に言い表せるような苦しみではないような気がします。このあと、苦しみを乗り越えて次の恋に進めたのでしょうか…

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年10月26日 放送分】
2024年10月26日
【巻】…11・2368

【歌】…たらちねの母が手放れ かくばかりすべなき事はいまだ為なくに

【訳】…たらちねの母が手を放れて このようにどうしようもないことはまだ経験したことがない

【解】…今回は、子との距離感を母が悩んでいる歌を詠んでいきました。「たらちねの母」というのは、当時では少なかった「豊かな母」という意味で、後半部分は「子が母を裏切るようなことを今してしまった」ということになります。母に対してどんなことをしてしまったのか、秘め事など色々な想像ができる歌だと思いますが、子の成長を感じさせてくれる歌でもあります。ひとつとして、少女が大人の階段を上ったということも推測できますが、実際の所、明確なことは不明な歌だそうです。皆さんは、この歌をどのように解釈されましたでしょうか?

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年10月19日 放送分】
2024年10月19日
【巻】…11・2357

【歌】…朝戸出の君が足結を 濡らす露原 早く起き 出でつつわれも 裳裾濡らさな

【訳】…朝戸出のあなたの足結を濡らす露原 早く起き外に出ながら 私も裳裾を濡らしましょう

【解】…「戸」というのは、いつも同じ所にあり、24時間使用するものですが、今回ご紹介する歌では「朝戸」という面白い言い方をします。戸の前に朝がつくということは、妻問いをした特別な朝のことを示し、女性が男性を見送るという場面を映します。しかし、この歌では、女性が見送るだけではなく、朝戸を出て、男性の後ろをとても高価であろう裳裾を草の朝露で濡らしながら歩くという…なんとも男性に対する愛情がなんとも健気でかわいらしく表現された歌です。

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