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上野誠の万葉歌ごよみ
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上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(國學院大學 教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサープロフィール
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2024年12月14日 放送分】
【2024年12月7日 放送分】
【2024年11月30日 放送分】
【2024年11月23日 放送分】
【2024年11月16日 放送分】
【2024年11月9日 放送分】
【2024年11月2日 放送分】
【2024年10月26日 放送分】
【2024年10月19日 放送分】
【2024年10月12日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年12月14日 放送分】
2024年12月14日
【巻】…11・2578

【歌】…朝寝髪 われは梳らじ 愛しき君が 手枕触れてしものを

【訳】…朝寝髪を私は櫛梳りません愛しいあなたの腕が触れていたのですから

【解】…上野先生と上田アナウンサーは、年賀状派だそうです。2024年も残すところあと僅かとなりましたが、引き続きお付き合いよろしくお願いいたします。さて今回ご紹介する歌は「朝寝髪」の歌を詠んでいきます。握手という行為は、一種のまじないという考えもあり、物に触れるという行為は、動物的な感覚なんだそうです。「朝寝髪」は「起きたままの髪型、寝ぐせがある」という意味で、この歌では、愛しいあなたが腕枕をしてくれた髪だから櫛でとかさないままでいるの…となんとも可愛らしく幸せな心情が読み取れます。握手とは違って、より密な関係で良い緊張感と嬉しい気持ちを感じさせてくれる歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年12月7日 放送分】
2024年12月7日
【巻】…11・2568

【歌】…おほろかに われし思はば かくばかり 難き御門を 罷り出めやも

【訳】…ぼんやりとあなたのことを思っているならばこんなにも出入りが厳しい御門を退出したりしません

【解】…皆さんは、しっかり挨拶を交わして過ごしておりますでしょうか?さて今回の歌にある「おほろか」は「ぼんやり」、「難き御門」は「厳しい御門」という意味で詠んでいきました。おもひびとと会いたいが故に、セキュリティーの厳しい門から退出したのではなく、おそらく塀をよじ登って抜け出したのではないかというなんとも驚く歌です。御門を退出した人物は、男性か女性なのかは不明だそうですが、ここまでしてくれるほど好いてくれているのかと嬉しく感じる人もいそうですが、わざわざこんなことを報告するなんて…と恩着せがましく感じる人もいるかもしれませんね、皆さんはどう感じましたでしょうか?

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年11月30日 放送分】
2024年11月30日
【巻】…11・2538

【歌】…ひとり寝と 薦朽ちめやも 綾席緒になるまでに 君をし待たむ

【訳】…一人で寝たとて薦が傷んだりしましょうか 綾席が紐になるまでにあなたのことを待ちましょう

【解】…冒頭で少し話題になりましたが「時間の感じ方」は、人それぞれではないでしょうか。今回は「ひとり寝」の歌を詠んでいきます。「薦」とは敷物・敷布団のような寝具を想像すると分かりやすいかもしれませんね。思いを寄せる人を敷物が紐になるまで待つわ!という、薦が紐になるなんて、どれだけの時間がかかるのか?そもそもそんなことが可能なのか?…とても辛抱強い心情が読み取れます。上野先生が言うには、誇張されていて、とてもユーモアのある歌だそうです。ある意味、カップルで詠まれていたのなら大笑いの歌になり、宴会の「遅れている相手を待つ」場で、詠まれた歌にも置き換えることもできるのだそうです。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年11月23日 放送分】
2024年11月23日
【巻】…11・2476

【歌】…打つ田には 稗はあまたに ありといへども 選らえしわれぞ 夜をひとり寝る

【訳】…耕された田には稗はたくさんあるというけれど 選ばれてしまった私は 夜一人で寝る羽目に

【解】…当時の結婚というのは、現代と比べると緩やかなものだったそうですが、学問的にはとても難しい事柄だそうです。今回ご紹介する歌は、自分の事を「稗」に置き換えています。雑草はたくさん生えているのに、わざわざ自分を選ぶかのように引き抜かれ、捨てられた上に、一人で夜を寝て過ごしたんだ…と振られた歌になっています。当人は、とても切ないでしょうが、詠み手からすれば、状況が良く分かり、少しクスっと笑える部分もあるのではないでしょうか?一人寂しくいて、風邪など引かなかったのか心配になる歌でもあります。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年11月16日 放送分】
2024年11月16日
【巻】…11・2399

【歌】…赤らひく 肌も触れずて 寝たれども 心を異には 吾が思はなくに

【訳】…若い肌に触れることもなく寝たけれど 心が離れたとは私は思っていません

【解】…今週もお便りをいただき、ありがとうございます。上野先生曰く「鹿は長く鳴く方がモテる、体力と肺活量は比例する」とのことです。今回の歌の中にある「赤らひく」は赤面していると訳すのではなく「血色の良い、健康的」という意味になります。わざわざ会いに行って一夜を共にしたにもかかわらず、肌にすら触れなかった…というのは、青春の歌だと考えられますが、「どうして?」と不思議に思えて仕方がありませんね。真実は不明ですが、どんな状況だったのでしょうか?皆さんは、この歌を一体どんな風に解釈し、どういった状況を想像されましたでしょうか?

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