「集中もすぎるとどうなる(過度の労働)」
がん専門家との座談会(後編)
がんの専門家お二人と近藤さんが語り合う場が、毎日新聞社とのコラボ企画として開かれました。その模様を先週に続きお届けします。
お話し下さったのは、日本対がん協会会長で国立がんセンター名誉総長の垣添忠生さん、そしてもうお一人は、以前この番組にご出演頂いた、東京大学付属病院放射線科准教授の中川恵一さんです。
がんを予防するために、何が大切か?
お二人は「がんを知る事」だと強くおっしゃいます。
心筋梗塞や脳の病気などは、日常の中で防ごうとしても、突然襲われることが多いのですが、がんについてはよりわずかな知識で運命が大きく変わり得る、というのです。
タバコをやめて、飲酒を一日一合に抑えるだけでも、男性の場合がんになる確率を60%にまで減らすことができるそうです。
また、早期発見早期治療がすべて善であるとは限らず、そのままにしておくほうがよいがんもあるそうです。例えば、前立腺がんにも、そうした場合があるそうです。過剰診断によって、過剰な治療を施すと尿失禁につながることもあるのです。「アクティブサーベイランス」といって、慎重に様子を診ることが大切なガンもあるわけですね。
垣添さんも中川さんもがんの経験者として感じたのは「がんって、つくづく症状を出しにくい」ということ。膀胱がんを自分で発見した中川さんは、血尿もなく、違和感も全くなかったといいます。
がんというのは、ギリギリまで元気で、わずか何週間か何か月で急激に弱る病なのだそうです。ですから検診がいかに大切か、ということですね。早期に見つけて適切な処置をすれば、今は助かる病気なのです。
がんは2センチくらいまでのものなら、早期といえるそうです。一個のがん細胞がそこまで大きくなるのには、一年から二年かかります。どんな全身転移のがんであっても、最初は、1センチの大きさであった時期が必ずありました。どのタイミングで発見するか、なのです。
大腸がんは、検便という簡易な検査を受けて早期に発見すれば、治る確率は98%だそうです。大阪市民なら300円で受けられます。全国にもこの方式が広がっています。受けなきゃ損ですよ!とお二人もおっしゃっていました。