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3月16日
今週のゲストは、株式会社エルシオの代表取締役 李 蕣里さんです。
■大阪大学発のベンチャー企業!
その仕事とは?
「京都大学の桂キャンパス近くの施設に拠点を置いていますが、大阪大学の吹田キャンパスにも拠点を置いております。
元々大阪大学発スタートアップです。
事業としては液晶で作っているレンズをメガネに搭載すると度数が変わるメガネ、『オートフォーカスグラス』の開発と販売をしています。
見た目は普通のメガネにかなり近くて、機能としてはカメラのオートフォーカスとかなり近いです。
人によって近眼や乱視、老眼など多くの人が様々なタイプの眼鏡をかけておられますが、現時点で老眼の方や少し目が悪い、近視の方を対象にしています。
最初にスマホアプリなどで使いたい度数の幅を設定していただいて、その後はオートフォーカスモードも使えますし、メガネについているボタンやアプリ上のボタンで切り替えることもできるので、どちらの使い方もできます」。
夢のようなメガネですが研究開発はいつから?
「共同創業者の現CTO澁谷義一が2014年に液晶レンズ技術を発明し、2019年に会社を創業しました。
その頃からメガネへの応用を始めました。
このような商品は少しずつ世の中にも出てきていますが、今あるものはレンズが小さい、度数の変わる幅が狭い、オートフォーカスの精度が悪いなど、色々な問題を抱えています。
私どもは、その不具合を解消していくような新しい製品の開発をしています。
レンズも本当にメガネ用のレンズになるようなものには仕上がってきています。
液晶レンズ自体は非常に薄くできますので、皆さんがお使いになるメガネレンズよりも薄くなります。
ただ、どんどん薄くしていくと強度が落ちて壊れやすいので、薄くすればするほどいいというものではないと思っています」。
2016年に池田泉州銀行のニュービジネス助成金に採択されました。
「当時はまだ創業する前で別のチーム名で活動しておりました。
その時に受賞しました。
知財の出願などに役立たせていただきました」。
■万博で使える?
未来のメガネ
「『オートフォーカスグラス』は今年1月にアメリカのCESにも展示させて頂きました。
プロトタイプとしては完成しているので、見ていただけるものになっています。
そちらを改良した物も見ていただきますし、更に目をセンシングするタイプのオートフォーカスグラスを初めて万博で展示する予定です。
センシングとは目の動きを判定して、どこを見ているかをキッチリ決めて、それに合わせて度数を換えることを自動的にやってくれるメガネです。
瞬間的な目の動きに合わせられる精度のセンサーを搭載します」。
開発にはご苦労があったのではないでしょうか?
「センシングの技術自体は色々あります。
AR・VRゴーグルにも一部アイトラッキングみたいなものが搭載されていますが、それよりももう少し進化をしているものです。
動きを追うこと自体はそんなに難しい技術ではないので、どこを見ているかは結構正確に判定できます。
その製品を複数作って実際にお試ししていただくことはできるようにしたいと思っています」。
海外でもこういった研究はなされるのでしょうか?
「2、3年ぐらい前から現在にかけて、海外でも取り組む企業様が増えてきています。
ただレンズの技術を確保することが難しいから少数です。
その中で独自色を出して、より性能がいいもの、あるいは顧客に合っているものを出せるかという勝負になってくるかなと考えています。
うちの特長としては大きなレンズを作れる技術を持っていること。
大きくてどんどん度数を出していける可能性のある液晶レンズを新しく開発しております。
メガネというかウェアラブルデバイスに合うレンズ開発をしていますので、先に市場を取っていけるように頑張りたいと思っております。
製品を使って会場では見渡せたり、本を見ていただいたり、面白い展示をお届けできるようにしっかりと準備をしたいと思います」。
■オートフォーカスグラスが見つめる未来の景色
実用化はどのあたりに?
「みなさまにお使いいただける頃でいいますと2026〜27年あたりになると思います。
そこを目指して開発をしています。
使い方を絞るともっと早くできます。
例えば工作や裁縫など細かい作業をしたい、家の中で使う、など決めると設計しやすくなります。
メガネだけではなくデバイス全てに弊社のレンズが搭載されたら、見た時にメガネをかけなくとも勝手にピントを合わせてくれる世界も実現できます。
デバイスが判断して合わせてくれる。
将来的な展開としても考えています。
メガネをかけて見える状態を作って、さらに目の状態をモニタリングしてくれて目の病気を早く見つけてくれる製品。
そんな方向性です。
創業のきっかけも目の病気を治したいという思いがありました」。
大阪・関西万博への意気込みを聞かせてください。
「2019年に創業をしてから節目で大きなイベントに出展して技術を高めてまいりました。
最大級のイベントに向けてしっかりと準備をしたいと思っています」。
6月3日〜6月9日、大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジ内での出展となります。
自動でピントを合わせてくれる『オートフォーカスグラス』。
このメガネから見る未来の景色はどんな感じなんでしょう。期待しています!