2025年

2月 9日

モノづくり職人が、もっともっと輝く未来のモノづくり現場

今週のゲストは、東海バネ工業株式会社 代表取締役 夏目直一さんです。

■暮らしの中で生きている! バネの今

2015年に渡辺前社長がお越しくださいました。
あれから10年、どんな変化があったのでしょうか?
「工場を兵庫県伊丹市から兵庫県北部の豊岡市へ全面移転が完了しました。
更に本社を大阪市福島区から西区に移転。
この10年間で新たな東海バネの形が出来上がったかと思います。
私が社長に就任したのは2018年です。
私たちのバネ作りは社内では多品種少量と呼んでいます。
一般的には少量と云いますと平均受注ロットが5個です。
しかもオーダーメイド専門です。
個人様の"こんなバネを作って欲しい"というご要望から社会インフラや生活インフラに不可欠な発電所で使うバネなど、あらゆるバネを提供しています。
例えば東京スカイツリーの630m地点にあるゲイン塔の揺れを防ぐものだったり、大阪のエキスポシティの観覧車、明石海峡大橋の主塔にも使われています。
小さなバネから巨大なバネまで作っています。
小さいものですとライターの小さいバネ。
zippoのビンテージライターのバネで、現在では製造してないものを扱えるようにしたいというご要望でしたね。
他にもお家のポストや玄関のドアノブのバネなども作っています」。

バネと云えば職人さんが作るイメージがあります。
「機械で作っている部分もありますが最終的にバネの機能を作り上げるのは職人技です。 『ちょこシップ』という社内インターンシップ制度があるんです。
社内でバネを作るグループ、設計や開発、営業など様々です。
『ちょこシップ』は様々な職場を経験する事によって、もっと向いている部署を発見して欲しいという思いから作りました。
社内の様々な部署で年に2回募集がありまして希望の部署で一定期間体験します。
社員自身も受け入れる側も良い所探しをする制度です」。

■ものづくりの会社が挑む! 大阪・関西万博

どんなものを出展されるのでしょうか?
「世界最大級のコイルバネを出展したいと思っています。
重量的には600kgぐらい、高さ130cm、直径60cmです。
バネの中に人間が入れるぐらいの大きです。
あとは米粒よりも小さいバネ。
人工衛星に使われるようなバネから、巨大なコイルバネまで展示したいですね。
さらにバネの製造シーンや職人がどのようにバネに向き合っているかという映像もご覧いただきたいです。
社内には『ミャクミャクプロジェクト』というものがありまして、社員が集まって準備しています。
実は私、その中に入れてもらってないんです(笑)。
"プロジェクトチームが言う通りに動いてください"みたいな感じ(笑)。
展示物にはデジタルとかAIなど最先端のものも当然取り入れていきますし、職人たちは、その最先端のものを取り入れていくことによって職人技がどんどん進化していくんですよね。
だからロボットに仕事を取られるというよりもロボットやAIと一緒により職人技を磨いていくみたいな感じ。
この先もますます少子高齢化と云われていますから、その分野については力を入れたいと思っています」。

■職人技が活きるバネの未来は?

「人工衛星や小惑星探査はやぶさ1号も2号も小惑星とタッチダウンする一番重要な部分に私どものバネが使われております。
人工衛星や探査機を飛ばすロケット、昨年の2月に打ち上げが成功したH3型ロケットの第1エンジンと第2エンジン、ロケットを切り離す部分にも、私どものバネがあります。
未来の世界が近づいてきた気がしますね」。

社員さんのモチベーションも高まりますよね。
「H3につきましてはJAXA公認のH3応援団に任命されまして、会社を上げて打ち上げの応援に行きました。
おかげさまで本当にうまくいきましたね。
私自身100年先200年先もバネがなくなるということは一切思っておりません。
バネはエネルギーを吸収して、かつエネルギーを解放するという機能を持っています。
ひとつのものでエネルギーを吸収して解放できるのはバネしかない。
非常にシンプルで合理的なものですから、これに替わるものはおそらく出ないでしょう。
数万年前から人類が使っている弓もエネルギーを蓄えて解放するバネの機能の代表例です」。

大阪・関西万博への意気込みを聞かせてください。
「"世界から相談される会社になる"というビジョンを抱えながら活動しております。
万博には世界各国から人が来られますので、私どものことを知っていただける大きなチャンスになります。
現在も海外のお客様は60数社。
これを機に更に増やしていきたいと思っています。
万博に出展させていただけるということで社員のモチベーションが非常に高いです。
社内プロジェクトの話もさせていただきましたが、万博出展に向けて皆がアイデアを出し合いながら会社が一致団結して取り組めるのは非常にメリットがあります。
これは私どもだけの話ではなくて大阪には中小企業がたくさんございますので、ビジネスチャンスを捉えていただければ、今までにないお客様や分野との繋がりを作れる機会になると思いますね」。

5月27日から6月2日に大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジ内での出展となります。

竹原編集長のひとこと

世界一巨大なバネと小さなバネ。
職人技がぎゅっと詰まった逸品をお作りです。
万博を機に日本の素晴らしい技術が世界に広がりますね!