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2月 2日
今週のゲストは、クモノスコーポレーション株式会社の代表取締役 中庭和秀さん、取締役副社長 倉田哲郎さん、空間情報事業営業 リーダー 中井麻友さんです。
■コンマ数mmも計測 3Dデジタル測量技術の世界
まずは事業内容から中庭さんに伺います。
「1995年に創業した会社です。
3Dレーザースキャナーというものを2000年に初めて国内に導入しまして、この事業を始めました。
元々40kgぐらいあった重い機械だったんですけど、どんどん小型化しました。
私たちも16kgぐらいにするまでお手伝いをしたこともありました。
それが現在はもう4kgぐらい。
さらに1kg台にまでになっています。
点(ドット)を集めたもので映像化します。
画像は細かい点で構成されていますよね。
それに奥行きを持たせたものを撮影するわけです。
当初1秒間に1000点撮れる機械でした。
それでもすごいと驚いたのですが、今はなんと200万点撮れるんです。
立体を立体の状態でそのまま保管できるんですね。
精度は1ミリ単位ですが、さらに精密に取ろうと思えば50μで撮影することもできます。
私たちは全てのものを三次元化しよう、デジタル化しようという事業です。
コーポレートミッションは"森羅万象をデジタル化"ですね。
今撮ったデータがそのまま残せるし、そこから設計できて未来に繋げることができる。
きちっと撮影しておくと1000年後の未来まで今のデータを残すことができます。
例えば今回の万博を全部三次元的に私たちが測量しておけば、1000年経った後まで伝えることができるわけですね。
ちなみに前回行われたドバイ万博では日本館を三次元測量させてもらいました」。
3D計測の需要はどのようなものなのでしょうか。
「前回、この番組に出演させてもらったのは2020年。
2000年から仕事をスタートさせて20年の間、ずっと普及させてきました。
そこからさらに4年の間で急速に世の中に広がってまいりました。
実は1番多いのは工場の計測。
特にリニューアルで我々が計測に入らせていただく業務が多いですね」。
「古い建物とか古い施設とかって、もう図面がなかったり。
その現況をまず、しっかりと図る必要があります」と中井さん。
■培った測量技術 万博ではどんな展示になる?
中井さんに伺います。
「3000件以上に及ぶ計測実績がある中で特に文化財ですとか貴重なものを測らせていただく機会も今まで多くありました。
普段なかなか見ることができない視点から三次元データだからこそ見せられるものを3Dデータとしてお見せしたいと思っております。
例えば今日、スタジオでお見せした広い視点での御堂筋のデータはかなり詳細に測量しています。
万博には特に海外から来られる方も多いと思いますし、大阪の街並みとして紹介しても良いかと思います」。
「3Dのデータを3Dで見る。
ちゃんと奥行きがある形、しかもゴーグルをかけずに見るということを、ぜひ体験していただければなと思いますね」と倉田さん。
「色んな展示物を360度、自由な視点で能動的に見ることができるんですね。
テレビとか映画の世界は受動的ですよね。
自分が行きたいところ、自分が見たい視点で手に取るように見ることができるんです。
映像を立体的に映しながら見ていただいたり。
色んな工夫をして来場していただいた皆さんに楽しんでいただきたいですね」と中庭さん。
万博に出展することに対して社員の皆さんの反応はいかがですか?
中井さんに伺います。
「会社として企業として関われるというのはモチベーションに繋がりますし、なかなか入ることのできない所で計測をする仕事、ということ自体にも価値はあると思います。
それこそ教科書で習ったものを自分が測るとか、そこに入って計測することは仕事としてのモチベーションにも繋がっていますね」。
■測る、そして守る 測量の未来像
倉田さんに伺います。
「最初は測量や物事を測る手段はもちろん手で。
それが機械で測れるようになりましたがそれでも二次元。
今ようやく三次元で何でも測ることができる。
しかも精度も数ミリ以下の単位で。
これからは圧倒的に3Dデジタル計測が中心になっていくと思いますね。
計測時間も数分の時間が掛かっていますが、最速でいくと今だったら十数秒で測量することができます。
おそらく来年、再来年と時間が経っていけばさらに短縮できていると思います。
情報の密度も上がっています。
3Dはまだ黎明期ですが、これからどんどん高密度・高速になっていって、しかも一般化していくと思いますね。
建築と土木の世界っていうのは分かりやすいので早く進んでいますけど、この3Dの技術はそれ以外のところにもどんどん広がっています。
文化財などのアーカイブもそうですし、ちょっと違う切り口でいくと事故現場の保存。
事故現場はすぐ片付けなければいけない。
だからさっと撮影して早く片付けて、というようなこと。
他にも医療用などあらゆる分野で使われていくと思いますね」。
「今を撮っておくと5年後、10年後の経年変化がわかるんですよ。
当社の『クモノス』は100m先の壁の0.2ミリのひび割れを測ることのできる機械なんですが、それと合わせることによって構造物の経年変化、寿命を予測することができるようになるんです。
前回、私が出演させてもらった時はまだアナログで近接目視じゃないといけないという国の方針だったんです。
2024年の4月から遠隔や3Dレーザースキャナを使って良いと解禁されたんです。
ようやくデジタル技術による構造物の維持管理が採用されてきています。
しかも日本はこの維持管理に関しては世界の最先進国なんです。
いずれこの技術は世界中に輸出できるようなものになると思っています」と中庭さんは胸を張る。
万博で発信したいメッセージを聞かせてください。
「世界中から多くの方が集まる万博ですので、我々のデータを見てワクワクしていただいたり、三次元的なことにも興味を持っていただけるような展示をできればなと思っております」と中井さん。
「万博って技術の祭典です。
僕らは立体の世界に住んでいるわけじゃないですか。
それをわざわざ写真とか図面とか二次元にするのではなくて、この立体を立体のままで取り扱うようなデジタルの世界になっていくきっかけになるような万博になるといいなと思います」と倉田さん。
そして、中庭さん。
「これをきっかけに関西、大阪がグッと盛り上がっていって、この大阪のチカラを皆さんに見てもらえればなとワクワク・グツグツしております!」。
5月27日から6月2日に大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジ内での出展となります。
驚異的な精度で計測される三次元データ。
実際に見せていただきましたが、自分の自由な視点から見ることができます。
これぞ世界に発信する日本の技術ですね!