2024年

12月29日

最先端の生成AI技術でAI教師データを自動生成!

今週のゲストは、株式会社データグリッドの代表取締役CEO岡田 侑貴さんです。

■株式会社データグリッド その進化とは

2021年4月にスタジオにお越しいただきました。
「当時はですね、我々の言葉で言うとデジタルヒューマンと云いまして、要は、AIを使ってバーチャルな人を作って、例えばアパレルのモデルなどをコンテンツとして使う技術やサービスを開発していました。
色んなデータ、画像とか映像のデータを作る技術から広げて、人だけではなくてその世界の空間を作るみたいなところも広げてきています。
結果、サービスとしてアパレルや広告から、製造業やインフラ企業さん、もっと幅広いところにサービスを提供できるようになってきました。
自動車のメーカーさんであれば、車の設計って今も結構デジタル化されているんです。
設計するときに1つずつ部品持ってきて作るのではなくて、データで、3Dの空間でどういう設計がいいのか、デザインをどうするのか決めています。
今まで人が手作業でソフトをいじってやっていたのが、"スタイリッシュに"や"女性が好きな感じで"などテキストを打つとイメージするデザインの車を自動的に作ってくれます。
人が何時間もかけて作っていたのが、3秒で出てきます。
工場を新しく作るとなると、色んな装置を入れますよね。
しかし、実際に配置して考えると時間がかかってしまう。
大きい工場になると特に配置できません。
それをデジタル空間上でAIに作らせることで、今の生成ができるようになってきています。
現時点で世の中のデザイン、設計プロセスの全てではないですが、新しいチャレンジをしていく企業が増えてきています。
これからの時間の中でこういった技術が取り込まれたプロセスができてくると思います」。

■大阪関西万博でどんな展示をする?

「力を入れて取り組んでいる製造業のテーマがあります。
製造業の皆さんの1番の関心は生産性を上げたい、効率化したい。
色んな工程も結構、効率化されていますが、まだ課題があるのが製品の検査をする工程。
基本的にこれまで目視でやっていたものをAIで自動化しようというものです。
要はカメラをつけてAIが判定して、不良品だったら出荷ラインに回さずに取り除く。
これを自動化したいという企業さんが今ものすごく増えています。
今、我々が注目しているのは検査をA Iで自動化したいというお客様が1番困っていることというのがありまして。
何かというと、AIを使おうとする時に大事になるのは、専門的に"教師データ"というAIがその学習をするためのデータ。
このデータがどれだけの数があるのか。
AIは最初、赤ちゃんみたいな状態なので色々学習させなければいけません。
色んなものを見せて、これがOKパターン、これはNGパターン。
こういった感じで見せていかなければいけないんです。
ただ、日本の製造業ってものすごく生産の品質が高いのでなかなかNGが出ないんですよ。
1万個に1個とか10万件に1件しか不良パターンが出ない。
AIの学習に必要なデータは数千・数万が要るので、100万個製造したらやっと学習できる...でも、もうその頃には製造する機械がモデルチェンジしてしまう。
こうなると成り立たなくなってしまうんですね。
具体的には検査のAIを作るために必要な色んな不良がついている製品データを疑似的にシミュレーションで作っています。
それによってビッグデータが集まってきてAIの性能が上がって、しっかりと機能してくれるようになります。
工場のプロセスでAIを使って自動化していこうっていう時に、必要なデータを作るためのデータを用意してあげるってところと、プラス、そのデータを使って検査ができるようなAIの仕組みを作る。
ある種オートマティックに回せるような仕組みを作っているので、万博の中では実際に展示をさせていただこうと思っています」。

現在、どのぐらい実装されているのでしょうか?
「30社ほど導入いただいています。
AIの取り組みは大手の会社さんが多いですね。
今回、万博にも少し関係していますが、大阪の住友電工さん。
AI開発をする時にデータを作れる仕組みとしてご提供しています。
実際にこれまでであればNGのサンプルを集めるのに2年ぐらいずっとラインを回して、ひたすらデータを取り溜めていたらしいんです。
自動化に向けた設備を入れていくと1/5ぐらいまで期間が短縮できます」。

万博に出展。社員の皆さんの反応はいかがですか?
「我々は関西の会社なので、やはり出身の人も関西の人が多いです。
そこでやっぱり自分たちで開発してきたものが多くの人たちに見てもらえる機会があるっていうのは、ものすごくいいチャンスですね。
高いモチベーションにも繋がっていると思います」。

■AIはどこまで進化する?

「色んな方向性が本当にあると思いますが、今、業界の中でもよく言われていることが、"AIのエージェント化"。
使う人がメインであってそれをAIがサポートするという位置付けが多いと思います。
これはこれで1つの形としては良いとは思いますが、ただ、業界としてはもう次のステージに行こうとしています。
今度は"AIがより自律的に動いて仕事を実行する"。
ある種SFチックな話。
人によってはAIが世界を乗っ取るんじゃないか...みたいな考え方もありますが、技術的なことを考えるとそこまでのものではないです。
特定の仕事において、より自律的な業務を実行してくれる仕組みはもう出始めています。
例えばコールセンター。
銀行さんでいうとシステムなどが複雑。
オペレーターの方のマニュアルもすごく分厚いものです。
問い合わせがあった時にサポートを瞬時にしてくれるようなAIはどんどん出てきていますが、次の段階としてはお客さんからの質問や状況に応じてAIがそのまま回答していく。
マニュアルが1万ページあったら、覚える能力でいうと人より絶対AIの方が得意なんです。
人が基本的には応答して、あくまでAIはサポートみたいな位置付けでしたけれども、コンピューターであれば、そこを的確に診断をして問題を解決に導くことができます」。

大阪・関西万博へ向けての意気込みを聞かせてください。
「日本国内の企業に向けたサービスを開発して、これまで展開をしてきました。
万博という意味では大きく2つあるかなと思っています。
1つは海外の方に向けて新しい技術を知っていただいて、企業としても新しいチャンスに繋げていきたいということ。
あともう1つはこれまで企業の皆さんとお話をするっていう機会が多かったですけれども、万博は一般の方も多く来られると思います。
その中でも特にお子さん。
これから自分は何をしようかな、何が面白いかなって考えている若い人たちに向けて、自分たちがやっていることをご紹介して、将来の選択の中の可能性を広げるようなきっかけになれば良いと思います」。

2025年5月27日〜6月2日に大阪ヘルスケアパビリオンリボーンチャレンジ内での出展となります。

竹原編集長のひとこと

AIを導入されている企業が多いですが、その関わり方が変わってきていますね。
教師データで製造業のスタイルも変わっていきそうです。