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11月 3日
ドアハンドルシステム UNION Ultrahaptic Door System
今週のゲストは、株式会社ユニオンの開発デザイン室・室長 宮本尚幸さん、
そして、営業部技術開発課・ディレクター 田河寿一さんです。
■教えて! ドアハンドルの世界
建築業界での知名度は群を抜く、ユニオンのドアハンドル。
ユニオンが手掛けるハンドルとは。
「オフィスビルやホテルとかMBSさんのスタジオのドアハンドルもうちの製品でした。
デザインの癖というか、見ると分かるんですよね。
マークやロゴがついてなくても、うちの製品だと分かります。
うちのドアハンドルでいうとおよそ3000種類あります。
オフィスビルや駅、ホテルなどでいうと80〜90%、うちの製品です」と宮本さん。
改めて株式会社ユニオンはどのようにしてドアハンドルを作っておられるのでしょう。
宮本さんに伺います。
「ユニオンはファブレス。
工場を持たずに製造は外部に委託してやっています。
企画、デザインをしてユニオンブランドとして販売しています。この企画やデザインなどをやるのが開発デザイン室で、私の部署になってます」。
田河さんの部署は?
「私は技術開発課で、主に動くものなどの開発をやっております。それと各部署を繋ぐ役割もあります。
各セクションが確立しているので、どうしても部署と部署の間ってお座なりになってしまう。
そこを補完するような業務もあります」。
叶えたいことと実際にできること。
自由に発想する企画室とも繋ぐ役割があるのだとか。
お二人は一緒に仕事をすることも多いのだそうです。
それにしても圧倒的なシェアです。
しかも日本有数のホテルのドアハンドルを作っておられます。
「特に高級ホテルのシェアでいうと90%を超えてるんじゃないかなと思います。
やっぱりデザインと機能にこだわられますので」とお二人の表情から自身の程が窺えます。
■大阪・関西万博で開く新しい扉
万博に出展されますが、一体、どんな展示なのでしょう?
田河さん、教えてください。
「今回『未来のドア』を展示しようと思っています。
『未来のドア』というのは、"接触しない"ことじゃないかという仮定から生まれました。
ただ、そうすると自動ドアになっちゃうんですけれど、ユニオンはドアハンドルの会社で、触ることにこだわってきた会社です。
非接触なのに感覚、触覚を持つドアができないかと考えたんですね。
それが『未来のドア』なんじゃないかって。
空気を掴んだら普通、何も感じませんよね。
ところが空中に触覚、ドアを再現してるわけです。
自動ドアは近づくと開きますし、センサーなどでも開閉します。
そうではなくて、自分の、人間の意思で開ける。
そういった行動がハンドルメーカーとしては、とても大切なのではないかと思いました。
非接触で何もないところにハンドルを浮かび上がらせて、3Dディスプレイによって裸眼で何もつけず、ゴーグルなどもつけずに浮かんで見える。
実際には何もないんですけれども空中にハンドルっぽいものが浮かんでいるんです。
触ると超音波を発する機械がありまして、それと3Dでできた架空のハンドルの形状に形を合わせまして、まるで、さも触れているかのような感触を表現します。押すとドアが開いて、向こう側が見える展示をします」。
現在、製作はどのぐらいまで進んでいるのでしょうか?
「もうデザインはできています。
実験もしていまして、ちゃんとドアが開きます。
レバーをどう回すか、視覚的に矢印が出たり」。
さらなる機能があるのだとか。宮本さんに伺います。
「今回はそれに、人間の体温や血圧、脈拍などの生体情報・バイタルデータを取れるようにします。
レバーを握って開け閉めをやっている時にバイタルデータを取ることができます。
データを蓄積することで、普段の健康状態と比べることもできますし、データをとった人が誰かという認識もできます。さらにセキュリティとしても使うことができます。
製品は完成していまして、どうやって見せていくかという演出を来年5月の展示までに考えたいと思います。
将来的にはソフトウェアを含めたハードウェアっていうのが重要になってくるんじゃないかなと思います。
うちの会社が作った言葉で、"アートウェア"という言葉があります。
アートを感じられるものを目指していくことで、ハードウェアとソフトウェアが融合した形が、実は"アートウェア"になっていくんじゃないかなと思います」。
■ドアハンドルはこれから更に進化するのでしょうか?
ドアハンドル、更なる進化は?
宮本さん、いかがでしょう?
「やっぱり人間が主体だと思います。
私たちの考える技術の進化は機械が主じゃなくて、人間が主になるような製品開発をしたいというコンセプトがあるんですよ。
人間の意思が働かないと機械が動かない。
人間の触覚とか視覚などを使って人間がまず初めにありきという開発をしたいです。
一般的には全て技術が進んでいっていますが、うちは逆に人間に近づいていきたいと思っています」。
万博で展示される『未来のドア』の期待値は上がります。
「扉って必ず通るのですよね。
その時に色んな情報を、日々取ることによって、気をつけることができる。
全ての枠にはめられた健康状態や症状などではなくて、各個人のそのデータの蓄積をしていくような世の中になっていくんじゃないかなと思います」と田河さん。
会社として架空のドアができる危機感はないのでしょうか?
「危機感はありますね。
人間の触覚を超えることは難しいと思いますね。
人間の触覚は素晴らしいです。
ホテルに行くと自動ドアよりもドアマンが開けていただいた方が気持ちがいいですから」と宮本さん。
最後に大阪・関西万博へ意気込みをお願いします。
「実際に私たちが考えているドアが形になるかどうかっていうのは別として、将来の暮らしの形、夢を提示したいですね。
私たちユニオンが考えてる夢をお見せしたいです」と宮本さん。
続いて田河さん。
「私は出身が大阪じゃないんですけど、大阪に来てすごく思ったのは、やっぱり皆さんがすごく明るくて元気。
もてなすのが好き。
今回、海外とかいろんな方が来られると思うんですけど、やっぱり私も大阪の一員として準備して、すごくもてなしたいと思っています。
池田泉州銀行さんから教えてもらったんですけど、ミャクミャクのポスターがあって、"くるぞ、万博"というコピーがありました。
その"くるぞ、万博"の前に"つ"をつけて"つくるぞ、万博"。
池田泉州銀行さんの『リボーンチャレンジ』、そして私も"つくるぞ、万博"という意気込みで頑張って準備したいと思います。
ユニオンさんは、2025 年5月20日~26 日まで出展されます。
会場で『未来のドア体験』をしてみてください。
ドアハンドル、レバーのトップメーカー、触るドアを作ってきた会社が触らないドアを作る。
これこそ未来への扉であり、新しいドアですね。