2024年

9月29日

廃棄ゼロの未来は自社ブランド『Tonto』が作る

ゲストは先週に引き続き、株式会社加平の副社長・兼・トリプルエー株式会社代表取締役 田所哲治さん、そしてトリプルエー株式会社の田所孝子さん。

合成皮革の端材から生まれたBtoCブランド『Tonto』。
先週はオムツポーチの開発に至るまでのお話を伺いました。孝子さんは元々、こういった商品作りに携わっておられたのでしょうか?
「いえ、私は道路を作っていました。
道路舗装の会社で働いていまして現場に行くこともありました。
重機に乗ったり、測量をしたり。
ファッションと全く関係ない仕事をしていました。
そこから産休に入って家にいる時間が増えました。
主人が会社をしてくれているので、そこに甘えて会社にお邪魔させてもらって、『Tonto』を作らさせてもらって、みんなに子育てしてもらって」。

株式会社加平には合成皮革の端材があることはご存知だったのでしょうか?
「主人と出会った時から彼が少しでも規格外を出さないようにと取り組んでいることは知っていました。
やっぱ物作りをすると数%は不良が出てしまいます。
でもゼロにはできないけど限りなく少なくしたいと思っていたそうです。
主人が工場長の時ですね。
端材の一部を見せてもらったことがあったんですが、素材自体が"めっちゃカワイイ!"って(笑)
"今、流行ってるこういう単色カラーのやつ、コレとコレとコレちょうだい!"みたいな感じでした(笑)」。

哲治さんはどのように入社されたのでしょうか。
「地元の高校を卒業した後に、農協に入りまして。
初めは金融の窓口業務からスタートしまして、そこで2年ぐらい。
その後、支店に移って農家さんに肥料を配達したりとか集金させてもらったり。
バイクに乗って外務員をして保険の勧誘をしたり、金融商品の勧誘をしたり。
そんなことをやっている中で22歳の時に部署を異動するタイミングがありまして、そこで父親に相談すると加平に来てもいいよという感じだったので入社という運びになりました。
その時は加工した分の賃料をいただくといった仕事だったのですが、それもだんだん減ってきている時期でした。
何か新しいものをしないといけないっていうので父は考えました。今後、有機溶剤は使えなくなる時代が来る。
環境にやさしい無溶剤を使わなければならない、と。
ヨーロッパに行った時に知ったようです。
うちの父親は先見の明があったのかもしれないですね。
帰国後、ある樹脂を膨らませて柔らかく作ったら無溶剤で合成皮革ができるだろうという話がありまして。
私は科学の知識もなかったのですが会社のOBさんに詳しい方がおられました。
樹脂を混ぜたり塗ったり、膨らめへんなぁと言いながら、色々と試していくとある時、急にこの樹脂がブワッと膨れたんです。
膨れてないものと膨れているものとを比べたら柔らかさが違う。
そこから試行錯誤を繰り返しながら、安定して合成皮革が生産できるようになりました。
それがたまたま車を扱うメーカーさんの目に止まって、車のシート材を作らせていただくことになりました。
父は現在、顧問。
社長は私の兄です。
兄は大学を卒業して、マクドナルドに就職してそこからの入社です。入社は僕よりも後でしたね」。

そこから『Tonto』への道。
哲治さんはどのようにご覧になっていたのでしょう。
「育児をしてもらっていて、しんどそうやな、と。
それを見ながら、1回会社に来て何か作ってやってみたら...というぐらい軽い気持ち、ちょっとでも気を紛らわせたらなっていう程度にしか思ってなかったんですよ。
そうしたら、オムツポーチができたりECサイトを作って"売れたで"っていうわけですよ。
驚きと喜びでしたね。
そうこうしているうちに1年ぐらいしたら"やっぱり楽天で売らんとあかん"と。
売って欲しいというお客さんの要望があると聞きまして。
今では優良店舗に選んでいただいていまして、びっくりしています」。

社内的にはどんな反応だったのでしょう?
「最初、やっぱり良くは思ってなかったかもしれないですよね。
家族で何やってんねんみたいな(笑)。
ショルダーバッグを作って、各職員さんに持って帰ってもらったり」。
「200個作って職員全員、パートさんもみんなにプレゼントして近くから理解してもらおうっていう。
環境に配慮した商品ということも名刺代わりに配りましたね」と孝子さんも振り返る。

『Tonto』の部署はあるのでしょうか?
「トリプルエーの事務所は長机が2台あって右側は男性だけ。営業活動をしたり開発したりっていうのが4人ぐらい座っています。もう1個のテーブルは『Tonto』の部隊で6人ぐらいいます。女性の方が圧倒的に多いんです」と哲治さん。「基本的にはママが多くて同じ目線でみんな考えようという方向性ですね」と孝子さん。

関東圏でもお客様が多いのだとか。
「横浜とか神奈川あたりのお客様が結構多いですね。
DMで『Tonto』見たよといただきます
材料がいっぱいあるので使い切って廃棄をゼロにしたいです。こういったアップサイクルが普通のことになって、少し欠点がある商品でも引き取るよっていう世の中になったらいいなと思っています」。

未来のビジョンを聞かせてください。
「自動車関連のお仕事って、結構サプライチェーンが強固になっています。
それを変えられるぐらいの良い商品を開発したいなって思っています。それが夢です。」と哲治さん。
『Tonto』の方はいかがでしょう、孝子さん。
「お母さんになったらまず『Tonto』だよねって言ってもらえるように、もうちょっと頑張って有名になりたいなと思います。今、ファンでいてくださる方が、私が子供を産んだ時と同じぐらい同時期に出産されている方が多くて。
成長が同じなので子どもの成長に伴って、役立つグッズを作っていきたいと思います。
このオムツポーチは全国区になっておじさんも知ってるぐらいの商品になればいいなと思っています」。

アイデアと情熱が紡ぐ商品物語

<プレゼント>
田所さんからリスナーのみなさまへプレゼントを頂いております。
「  巾着タイプorショルダータイプ 」を10人の方にプレゼント!
*どちらが当たるかはお楽しみ
≪ 宛先 ≫
※ メール :  akarui@mbs1179.com
※ FAX  : 06−6809−9090
※ ハガキ :  〒530-8304 MBSラジオ 「日本一明るい経済電波新聞」
「  トリプルエー株式会社 プレゼント 」係
・当選者の方の発表は商品の発送をもってかえさせて頂きます。

竹原編集長のひとこと

BtoBの会社がBtoCの商品を生み出す。
伝統の技術から生まれた製品を別の切り口で新たな商品として生み出しました。
ご夫婦が仲良く仕事をされていることも素晴らしいですね。