2024年

8月 4日

カテプロテクトが作る新しい習慣・住環境

先週に引き続き、ゲストは株式会社プロテクティアの代表取締役 田中伸幸さん。
今週は会社のこれまでを伺っていきます。
「設立は2010年です。
研究自体は2005年から始まっているものでした。
カテキンは抗菌効果や抗ウイルス効果が非常に高いということが確認されているデータがありましたので、これは、ぜひぜひ実用化するべきだと。
そこで2010年に大学発のベンチャーというところで設立となりました。
バイオベンチャーブームのようなものがありましたが、2010年というのはちょうどそれが一段落した時期。
その1年後に、私が入りました」。

いわゆるベンチャー企業への入社。
「今ほどベンチャーの認知度もない時でした。
私自身が、新卒でベンチャーに行くかどうかは悩みましたね。
しかし、自分の中で新しいものにチャレンジしたい気持ちがどこかに燻っていたんでしょうね。
大阪大学の開發邦宏先生からお話をいただいてから少し考えた結果、ベンチャーって面白いなと」。

迷った結果、入社。
さらには社長に。
「大学の産学連携関係の先生と技術の生みの親の先生の2人でベンチャーを設立。
新しいものを生み出していくところの人員を求めておられたというところで私が新卒で入社しました。
開発が出来ていたかどうかは、さて置き、色々と開発を行っていました。
実際に手を動かして色んなものを作るところから、製造の部分、そして広告をどうするのか、見様見真似で色々とやっていました。
入社した時に、いきなり中心的なところに入っていったことは大変でしたけれど、一方で色々と学ばせていただくところもありました。
会社の事業を学んでいく上で前任の社長が退任するタイミングでお声がけいただきました。
その時は会社の状況も非常に良くなかったんです。
みんなの想いが詰まったカテキンの研究が消えていってしまうのは開発者としても、もったいないと思いましたし、もう少し使い道を考えていけないかと事業継続を模索していきました」。

実際にどんな展開を考えられたのでしょうか。
「カテキンの使い道ですね。
その時は自社のマスクを作っていました。
しかし、マスクはやっぱりたくさん作ってなんぼのもの。
ベンチャーの、いち企業がちょこっと作ってもなかなか売り上げ的には難しいという状況でした。
もう少し使いやすいものっていうので、液物で加湿器の添加剤やスプレー系のもの。
色んなメーカー様と連携しながら進めていけたのも良かったと思います。
企業マッチング会をはじめ、お声がけいただいたところ、ホームページからのご依頼、大学のネットワークの中など色々と繋がっていきました。
仕事のイメージとしては技術営業みたいな形だと思います。
設立の話にもなりますが、スタートアップの段階から商社様にサポートいただいておりまして、本格的な営業はそちらの方で。
そこに私も同行しながら技術の良さっていうのを広げていっています」。

様々なことをカテキンへの熱い想いと技術で乗り越えてこられました。
今後、問題点などはあるのでしょうか?
「1番の問題はカテキン自体、色がつくということ。
安定性がそんなに良くないんですね。
時間が経ってくると、茶色くなってきます。
開封したお茶をずっと置いておくと茶色くなりますよね。
酸化して紅茶みたいな色になっていく。
過程の安定性をもう少し高められるような研究開発は、もう少しやっていく必要があります。
あと安定性が悪いことを逆手にとったような製品開発も。
安定しない天然成分だからこそ、安全だっていうところも広げていくような製品開発をしたいですね。
大阪大学は全国的にも有名な大学で、しっかりとした研究データもある。
そういった部分でも、お客様に安心感を持っていただけるように真摯にものづくりをしていきたいと思います」。

新型コロナウイルスの脅威がありました。
「カテキンをイメージする時にペットボトルのお茶が思い浮かびますよね。
それを外した時に他でイメージするお茶の製品ってあるかというとそんなにない。
カテキンが活躍する場は対ウイルスにもあります。
実際にウイルスを叩くだけでしたら次亜塩素酸やアルコールで良いです。
しかし、もうちょっと身の回り、口に入るものに近いところはカテキンの方が、という使い分けを広げたいと思います。
そこでオリジナリティを出していくような感じです。
例えば、そのルームスプレーもまだ活かしきれないところはあるかと思います。
広げることとコンセプトを絞って考えていくこともしていかなければいけません」。

大阪大学発のベンチャーで産学連携もされています。
用途開発もされているのでしょうか?
「積極的に進めているところです。
意外な使い道や我々が考えてなかったような使い道でも色々とお話いただくことも多いですね。
お客様に合わせてカスタマイズしながら提供していく。
今の考え方でいくと最初に製品を出すととても大変なので、製品を出してハードルを下げつつ、原料の部分でより広く使って知っていただく。
このカテプロテクトの原料をメーカー様の方に色々使っていただきながら、製品展開、技術を展開していきたいという思いがあります」。

地元の大阪府茨木市とも産学連携でやってらっしゃるそうですね。
「花粉症対策の製品開発で補助金をいただいて開発しました。
企業マッチングイベントにも参加させていただきましたね。
コロナの時期は目の前のことしか対応ができませんでしたが、これからは種まきのように様々な企業様にカテプロテクトをお使いいただきながら、この原料にご興味を持っていただけるよう進めていきたいですね」。

将来のビジョンを聞かせてください。
「現状、カテプロテクトはマスクや添加剤など、環境消毒の製品群には広げていっています。
そこからもう少し人に近い、高い安全性が必要になる場面を広げていきたいと思っています。
例えば化粧品の原料です。
塗ることによって肌が綺麗になる、など機能面を謳えるもの。
さらにサプリメントなど、食の安全を守れるような展開も広げていきたいです。
人の環境に近いようなところで使っていける技術開発を行っています。
これから10年先のイメージです」

竹原編集長のひとこと

技術と開発に加えて産学連携で可能性を広げていっておられます。
コロナが流行したことでウイルスに対する皆さんの関心も高まっている中、これから大きな市場がありそうですね。