2024年

7月28日

お茶由来のカテキン 驚きの効果と新製品

今週のゲストは、株式会社プロテクティアの代表取締役 田中伸幸さんです。
まずは事業内容から伺っていきましょう。
「社名の『プロテクティア』のプロテクトは"守る"。それにお茶の"tea"ですね。
その名前の通り茶カテキン、お茶のカテキンを誘導体化した原料を用いて様々な製品を作っている大阪大学発のベンチャーになります。
大阪大学の産業科学研究所という研究所の研究成果になります。
茶カテキンの抗ウイルスとか抗菌に対する効果が高いというところから設立したベンチャー企業です」。

カテキンは一般的に体に良いというイメージです。
「茶カテキンはですね、"菌に勝つ"でカテキンだ、というような俗説もあるぐらい非常に抗菌活性が高いものです。
その機能性は注目されているものになります。
カテキン自体にパワーがあるものなのですが実際製品になると、そのパワーを十分生かし切れた製品群が今はありません。
製品自体にカテキンの力をつけていくことができないかというところから研究がスタートしています。
我々の独自の技術はカテキンに油の成分・脂肪酸と云われるものを付けることで普通の天然のカテキンよりも20倍以上効果を高めることができます。
それを用いてウイルスや菌に対する製品を作っています。
脂肪酸を付けるとウイルスに対して付くパワーが上がります。
イメージしていただくとすると、ウイルスはパンパンに詰まった風船。
そこにカテキンという針、脂肪酸を刺すとウイルスを破壊してウイルスの不活化効果が出ます。
普通のカテキンもペタペタっと風船の周りにくっついてウイルスの感染阻害ができるんですがカテキン脂肪酸エステル "カテプロテクト"になることによって非常にパワーアップします」。

カテキンは体にいいイメージ。
単純にお茶を飲めば良いと思っている方も多いのではないでしょうか。
実際にどのようなところにこの技術が使われているのでしょう。
「我々は、このカテキンの原料を作る技術やそれを用いて色んな効率やコーティング評価をすることがメインになっております。
研究開発の中で、例えば布に落とし込んだらどうなるのか、とか。
ウイルスに対して効果が出るような布ができるのかみたいな研究開発になりますね。
それを使ったマスク、加湿器の添加剤やルームスプレーやマスクスプレーみたいな身の回りのウイルスを叩くことができるような製品群に今展開しているところです」。

実際にスタジオには製品をお持ちいただきました。
これは見た感じは普通のマスクですね。
「お茶といえば緑色というイメージがあると思うのですが、実際はそうではないです。
カテキンは色が非常につきやすいという欠点があります。
実際のカテキンの色って茶色いんですね。
カテキン自体の色が茶色いと、どうしても白物の製品とかに使っていく時に不具合が出ているように見えたりします。
このカテキンがパワーアップしたことによって少ない使用量で賄えたりできると、自然とコーティングウイルスができるような製品になると思います」。

どのような商品があるのでしょう。
「主力の商品としてはマスク。
独自性があるというのは加湿器の添加剤ですね。
アロマの入った香りがするものです。
昔からありましたが、どちらかというと香りを楽しむものがメインでした。
カテキンが入った添加剤を加湿器のタンクに入れますと、香りの他にタンクの中の除菌ができます。
ルームスプレーもあります。
いわゆるファブリックスプレーで机などにシュシュッとして吹きかけると抗菌性があります」。

こういった殺菌などの話を伺っていると思い出すのは新型コロナウイルス。
いつ頃から研究開発をされていたのでしょうか。
「研究が始まったのが2005年ぐらい。
プロテクティアを設立したのが2010年。
ちょうど2008年に新型インフルエンザが大流行しました。
そのウイルスがあったので対策をということでプロテクティアを設立した背景もあります。
過去の研究からも様々なウイルスに対してこの『カテプロテクト』の効果が高いことを見ています。
その他にも今、行っているのが化粧品の原料。
メインの機能に関してはカテキンの製剤、ビタミンみたいな感じですね。
防腐性能がありますので、原材料や化粧品用の添加物の販売も行っております。
お茶のカテキン自体に肌を引き締めるような効果があります。
タンニンっていうのは、似たような成分になります。
洗った後などは油をよく落としてくれるので、キュッキュッとしたような肌になりますよ」。

田中さん、ご自身がこのカテキンに惹かれた理由は?
「大阪大学の開發邦宏博士が開発した技術なんです。
その開發先生がオックスフォード大学時代、研究の合間にお茶を飲んでいたそうなんです。
昔飲んだ紅茶と昔飲んだお茶の茶殻があって、ふと見ると紅茶の茶殻にはカビが生えているのにお茶の茶殻にはカビが生えていない。
これを見てすごい効果があるのではないかと注目したのだそうです。
そこからカテキンの研究をしていこうとなったそうです。
その時に、私がウイルスの分野だったんで、もう少しこのカテキンをパワーアップさせていく時に自分たちでできることは何かないかというところで、油の成分をくっつける技術の開発を、というのが経緯です。
至るところで効果を発揮するカテキンの研究がスタートしました。
開發先生と私は大学の先輩後輩の関係。
"ベンチャー立てるからどう?"とお声がけいただきました。
当時は丁度、リーマンショックのタイミングで就職のタイミング。
お声がけいただいて面白そうだから、ちょっと行ってみようかなというところでしたね。
しかし進めていくと使い勝手が良くないところ、あればいいところ、天然で魅力があるところなど非常にピーキー。
使い道ひとつで道が開けるかもしれないというところで、注目して10数年間扱っています」。

カテキン自体はどういった形状のものなのでしょうか?
「元は粉になりますね。
お茶の中に入っていて、大体100mgぐらいです。
私たちはこれに脂肪酸をつけています。
脂肪酸は油なので、水に溶けないんですね。
それを我々の技術で水に溶かして、かつ効果があるようなものっていうところの技術開発をしています」。

様々な可能性がありそうですね。
「研究員で入りましたが、大学の時にはDNAの研究をしていました。
DNAの二重螺旋に化学物質をつけるという非常にマニアックなもの。
それから1年間、大阪大学で研究員をやっておりました。
その時は抗がん剤をやっていまして。
非常に実業から遠いような分野を手掛けていましたので、商品をどうやって売っていったらいいのかというところは手探りですね。
色んなメーカー様と連携して、企業さんとコラボしながら進めていこうと思います」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

カテキンのすごい力を教えていただきました。
カテキンは知っていましたが、驚きの効果!
これから新たな発見がありそうです。