2024年

5月19日

初心者にもやさしく指導 植物をもっと身近に

今週のゲストは株式会社陽春園植物場 代表取締役社長 野里元哉さん。
事業内容から伺っていきましょう。
「会社は兵庫県宝塚市の山本というところにあります。
植木の生産の町としてかなり歴史のあるとこでして、たくさんの植木屋さんが今でもあるんですよ。
曽祖父の代に『陽春園』という看板を上げました。今はやっていないですが、昔は植木も生産をしていました。
その看板を残して『陽春園植物場』という社名です。
うちはもう今、完全に一般の小売とお庭作りの工事ですね。
今でも山本という場所は植木を作る生産者さんと、あと造園屋さん。
うちみたいな小売店をやっている方っていうのは少ないです」。

実際にどんな商品があるのでしょう。
「先代の父の方針でもありますし、僕もそのようにやっていますが、葉っぱがついて光合成をしているならなんでもっていう感じ(笑)。
園芸に関することなら何でもとにかく置こうと。
大きなお庭に植えていただけるような植木も置いていますし、昔からの盆栽もあります。
あと果樹、ガーデニング用の綺麗なお花が咲く草花、観葉植物。ご贈答用、お祝いの時に使われるような蘭の花もあります」。

山本という地域がなぜこれほどまでに園芸や造園に特化しているのでしょうか。
「豊臣秀吉の時代です。
山本に坂上頼泰(さかのうえよりやす)という方がいました。
その方が、植木を育てる技術で、"接ぎ木"という技術を確立した方です。
綺麗なお花の咲く木があったとします。
その枝を切って持ってきて同じ種類で丈夫に育ってくれる種類の株をもう1つ用意。
それを繋ぐと丈夫で綺麗なお花が咲く。
この技術を秀吉に認めてもらって、かなりの褒美をもらったっていう歴史があるそうなんです。
土も良いと聞いています。
山本は尼崎とか伊丹よりはやや六甲山寄りの山の方です。
植木を生産するにはすごくいい土だったんです。
ただ、田んぼにするにはちょっと水抜けが良すぎる。
だったらお米を作るより植木を作った方が...という発想です」。

陽春園さんはお出かけスポットとして話題です。
「1000坪の敷地がありますので、楽しんで見て回っていただけるようなお店作りを目指しています。
15年前からですが、お店の中にカフェも作ってお買い物中にお休みいただけます。
リピートして来ていただけるのは60代以上の女性の方っていうのが多いですね。
最近になって少しずつですけど、小さなお子さんを連れたご家族の方にもお越しいただいています」。

どんなスタッフの方がおられるのでしょうか。
「色んな植物好きの方々に対応できるようにしています。
例えば園芸の植物で女王、1番ファンが多いのはバラだと思うんです。
バラは手をかけて手をかけて、品種改良して。
綺麗な花を咲かせてくれるには、やっぱりそれなりの奉仕もしないといけないっていう精神がいると思います。
多くのニーズに対応できるように専任のスタッフがいます。
他にもチューリップ。
球根だけを対応できるスタッフがいたりとか。
園芸ってお洒落な雑貨も飾りますので、ハード面だけを特化して専門的にやってくれるスタッフもいます」。

1000坪の敷地に多くの植物。
スタッフの方の人数も多いのでは?
「正社員10人とパートさんですね。
お客様がお帰りになって店を閉めてからの方が忙しい時期もあるんです。
例えば冬場だと夜になると冷え込みますよね。
そうすると防寒対策として室内などに収納して、次の日の朝には再び陳列しないといけません。
真夏は植物に水をあげないといけません。
端から端までお水をあげるのに4人から5人ぐらいでおよそ2時間かかりますね。
それが朝と夕方の2回。
生き物相手なのでちょっと手を抜けないところはありますね」。

最近、人気の商品は?
「ガーデニングはファンの方も多いですし、長い歴史のある趣味でもあります。
私がこの仕事を始めた頃もガーデニングをされている方が多かったのですが、その頃は花が咲いてない苗を買うのに皆さん抵抗がなかったんですよ。
花が咲いてない小さな苗を買ってきて、ご自分でお庭に植えて、そこで育てて。
花を咲かせて、それが楽しい。
こういう感じだったんですけど、それがだんだん"もっと早く花を楽しみたい"という感覚になってこられたのかもしれません。
だから、すでに綺麗に花が咲いている完成品の方が売れるようになってきました。
売り場がこの20年ぐらいでかなり変わったなと思いますね」。

インタビューの中で、松川アナウンサーから相談が。
"私、なんせ植物を枯らす女でして..."
「植物でも色々種類がありまして、お買い求めになったときスタートで良くなっていくお花もあれば、 その時がピークの場合もあります。
植物にご興味をお持ちで枯らしてしまう方って、情が厚すぎるんですよ。
お世話が好きすぎて過保護にしちゃう。
"クリーンフィンガー"っていう言葉をよく使うんですけれど、目は配るんですけど、行き過ぎたことはされない方がいいですね」。

この時期におすすめの観葉植物は?
「初めての方に、おすすめするのが『ドラセナ』。
非常に種類が多いものです。
僕も個人的に好きです。
そう簡単には枯れてくれないので園芸のことが嫌いにはならないですよ。
それこそご家族連れの方っていうのは、初めての観葉植物ということもあります。
そういう方にはなるべく丁寧にご説明させていただくようにはしていますね」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

宝塚・山本といえば園芸・造園。
歴史のある土地にこういったカフェも併設したお店があるのはいいですね。
楽しみ方も進化しています。