2024年

3月24日

大阪・関西万博は新しい未来の羅針盤

2025年 大阪・関西万博特集第3弾。
今週のゲストは大阪府知事 吉村洋文さんです。
いよいよ来年に迫ってきた大阪・関西万博。
「1年はあっという間ですからね。
準備は一番の佳境に入っている感じです。
ボランティアの募集も始まって、今6000人以上の方に手を挙げていただいています。
ネガティブなニュースもあるんですけれども、課題は乗り越えて、やる以上は素晴らしい万博をこの大阪、関西の地でやりたいなと思っています。
僕の兄が70年万博の年に生まれたんですよ。
だから親は万博の"博"の字を兄につけてるんですよ。
当時はそれぐらい盛り上がってたんですね」。

誘致から考えると長い時間をかけています。
「僕が大阪市長の時でしたからね。
万博って実は世界各国で取り合いなんですよ。
複数国が手を挙げて、そこから選挙で決まります。
投票するのは人じゃなくて、1国1票で投票するんです。
アメリカのような大国も1票ですし、いろんな国が1票。
だから誘致のために世界中行きましたね。
アフリカにも行きました。
乗り換え入れたらもう30時間超えましたから。
30時間かかったら時差ボケじゃなくて、自分が今どこにいるか分からなくなる(笑)。
誘致活動で分かったが、やっぱり日本は評価が高いなということ。
あと色んな国々が日本を信頼できるって本当に言ってくれました。
戦後からの国際社会で、日本がいろんな貢献もしてきたこと。
外国からすると日本から侵略される感じが全くしないと。
色んな技術を広めたことや人が優しいこと。
世界の多くの国からそういう評価をいただきました。
そんな活動から足掛け何年もかけて、いよいよあと1年というとこまで来ました」。

大阪・関西万博の現状は?
「最終に差しかかってきています。
今、会場に行くと前までは吹きさらしだった場所に国内のパビリオンができてきています。
会場のシンボルであるリング(大屋根)なんか7割ぐらいできています。
海外のパビリオンもどんどん着工して準備が進められているという状況です。
ぜひ見てもらいたいのが万博のリングですね。
荘厳で迫力があって、木の温かさもあって。
木造のリングなんですけど1周ぐるっと2kmなんですよ。
高さが20m、幅が30m。
御堂筋より幅が少し狭いぐらいですかね。
あの上を歩けるんですよ。
今回の万博って、史上初めて海上の開催なんです。
海が近い、空が近い、六甲の山々が近い、東を見れば大阪の都心。
夕日なんかめちゃくちゃ綺麗ですよ。
その環境でリングの上に立った時の見晴らしの良さ。
実は清水の舞台と同じ作り方なんです。
日本って木造技術の高さはもちろんSDGsの観点やリサイクル、木造の大切さを見直そうっていうコンセプトもあるんです。
日本の素晴らしい技術を使った木造の世界最大級の建造物になりますんでぜひご覧いただきたいですね」。

話題のリングですが海の上なのでしょうか?
「実は海じゃないんです。
水を張っているだけなんですよ。
リングの外側を"つながりの海"といっています。
夢洲って実は津波対策で場所が高いんですよ。
10mぐらいの高さがあります。
そのリングの中に各国のパビリオンがあります。
その心は、各国のパビリオンはその国の思想とか、価値観とか多様性を1つのリングで繋がっていこうという思いを込めています。
このリングの上に立つと、中に海外のパビリオンがあり、『静けさの森』があり、『つながりの海』の上を歩く。
世の中を見ていると戦争がある、日本も災害に見舞われました。
万博は昔みたいな展示じゃなくて、社会課題を解決する博覧会になってきていますけれど、世界中を元気づけるイベントでもあると思います。
1つのテーマで6ヶ月間共存して、世界の課題を解決するために1つになることは国際的な意味もあるんですよね」。

今回のテーマは『いのち輝く未来社会のデザイン』。
「元々、大阪府が提案した時はこのテーマじゃなかったんですよ。
最初は『人類の健康長寿への挑戦』。
高齢化が進む中で、いかに健康で豊かに暮らしていくのかっていうのが大切なんです。
プロジェクトが進む中で世界的に見ると高齢化だけじゃなくて、途上国とか、地球環境の問題とかもたくさんある。
だから、やっぱりそこも含めた上で、『いのち輝く未来社会のデザイン』になりました。
世界共通の課題で、各国が同じ問いを立てて、答えを持ち合って、6か月間共存する。そこから新しい未来の羅針盤を作っていこうということ。
最新の技術があるんですけど、その裏にある考え方とか価値観がすごく大事だと思いますね」。

新しい技術にも注目です。
「日本が得意とする分野でリードしながら世界の課題を解決できたらと思うんです。
昔、オゾン層の破壊の問題ってありましたよね。
その後、どうなったかご存知ですか?
実は問題っていうのは科学の力で解決されたんですよ。
世界が協力したら技術で課題を解決できることは証明されているんです。
だから、この地球温暖化の問題も簡単ではないかもしれないですが、みんなが同じ方向を向いて新しい技術を使っていけば、人類はそれを乗り越えられるんだっていうことを証明できたらいいと思いますね。
これを言ってくださったのが、ノーベル化学賞を受賞された吉野彰先生。
1970年万博の時、25年後の未来を展示していました。
25年後、何が起きたかというと、Windowsが出てきて、インターネットの世界が生まれた。
今のスマホであったり、色んな技術的な革命が生まれました。
今回の万博のメッセージとしては、 2050年に向けた未来社会を作っていこう。
地球温暖化に対して、さらには2050年はカーボンニュートラルを目指そうとしている年。
全部繋がっているんだと思いますね。
科学技術が集まる今回の万博っていうのは、社会課題を、世界の課題を解決する。
しかもそれを楽しく、面白く。
世界一明るく...あ、(番組名が)日本一明るくでしたね(笑)。
説教じみた万博は面白くないですからね。
万博はテーマパークではないので、万博に行って色んなものを観て触れて、出る時には考え方が変わっている...っていうのが理想ですね」。

大阪・関西万博のさらに深いお話は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

関西はもとより、日本中で盛り上がりたい万博。お話を伺っていると改めて地球規模のイベントだということがわかりますね。
これはすごいことになりますよ〜!