2024年

3月 3日

"まちごと万博" 世紀の一大イベントは自分ごとに

2025年大阪・関西万博特集の1週目となる今週のゲストは一般社団法人demo!expoの代表理事 花岡さん。
まずは元々のお仕事から伺っていきましょう。
「僕らは広告・デザインをする会社。
大阪で14年やっている中小企業です。
ただ普通の中小企業と違うのはアホなことをするために作った会社です。
広告やデザインを使ってアホな表現をする、そんな会社です。
お客さんは中小企業から大企業まで。
意外と大企業が多いですね。
こういう世の中ですけど、明るくて面白いことがしたいという大企業さんがおられます。
MBSさんでも一度、お仕事をしました。
人材採用の際、大学生に面白い会社だとアピールするために表現をさせていただきました」。

肩書は『株式会社人間 代表取締役/変なプロデューサー』。
「シンプルに株式会社人間ですね。
インパクトがあって覚えてもらえるかなと思います。
人間って意味合いとして広すぎますよね。
面白いことがあって笑う、人しか笑えないじゃないですか。
笑いが大好きなんです。
人が面白いと思っているところもあって、人が主体となって人に対して笑う。
最近、六甲山にある『六甲山スノーパーク』というスキー場がありまして、60周年に面白いことがしたいという依頼がありました。
テーマは『アツい』。
スキーだけど、逆張りでアツい。
アツすぎて、裸になる感じでマッチョになれるスキーウェアを着て滑ってもらう。
他には『ソリごたつ』。
こたつのまま滑っていきます」。

2025年大阪・関西万博に参加されているのが『demo!expo』というチーム。
「万博がどうやったら盛り上がるかを考えながら作ったチームです。違う企業やクリエーターが集まったメンバーなんです。
みんな違うところから集まりましたが、同じなのは"大阪をどうにかしたい"と思っている人たち。
大手の企業の社員が入ったり、コピーライター、クリエイティブディレクターがいたり。
プロデュースをしながらクリエイティブもする。
ゼロから10までやって街を盛り上げていこうという団体です。
これまでの万博は会場だけのイベントでした。
今回は『TEAM EXPO 2025』など街とつながることができる万博です。
万博誘致される前から活動しているんですが、まだまだ盛り上がりが足りないと思います。
もう6年ぐらい活動しています(笑)」。

万博が誘致される前から活動とはすごいですね。
「最初の動機は大きな祭りには乗っかって行かなあかんなぁという気持ちからですね。
でもやっているうちに色々と課題が出てきました。
それは街を盛り上げて行かないと万博が盛り上がらないということでした。
誘致の時も盛り上がってなかったんですよね。
ポスターが貼ってあっただけ。
それは盛り上がりに欠けるだろうと思って、公式の団体に掛け合って提案もしたことがあったのですが、僕らが依頼をする義理もありません。
それならば勝手にやろっか、ということで、『demo!expo』の前身団体で万博のフリーペーパーを自腹で1万枚作って全国へ配布しました。
本当は公式でするところを非公式ですがやっていましたね。
当時、わかりやすい情報がなかったということと、こういう団体がなかったことで注目していただきましたね。
今も自腹でやりながら企業さんにも協力していただきながら進めています。
僕らは"まちごと万博" ということを提唱していまして、夢洲の万博と街の万博というふたつの会場の万博であろうと思っているんです。
街の人に聞いても、やるのなら面白くしようという声も聞きます。
ただ成功するかどうかはわかりません。
だからこそみんなが盛り上げないといけないと思います。
他人事でない"自分ごと"にしようと日々活動しています」。

具体的な活動はどのようなものですか?
「今も催事で販売していますが、大阪土産ってなんだと思いますか?
新大阪で一番売れているお土産が『赤福』らしいんですよね。
それ三重やんって(笑)
八ツ橋やもみじ饅頭なんかは地元の色んなお菓子屋さんが作って盛り上がる。これこそ共創ですよね。
大阪はスタンドプレイが多いのかこういう形がない。
70年万博の際も活躍された西宮に高山堂という和菓子屋さんがありまして、そこの社長さんが大阪土産づくりを目指されました。
僕らのチームと一緒に新しい大阪土産『大阪ええYOKAN(ようかん)』を作りました。
和洋菓子十数社と高校生がキューブ型の羊羹という同じフォーマットでものづくりをしました。
そうすると職人さんがいらっしゃるので面白い羊羹を作ってくださるんですよね。
こういった洋菓子、和菓子がつながって同じお菓子を作ることがなかったそうなんです。
今、百貨店で販売しています。
万博の会場でも販売できればと思っています。
先ほどの高山社長は『EXPO酒場』という交流会の中でお会いしたのですが、元々万博自体、関わりたいけど関われない、大半の人がわからないと思うんです。
そんな時に全国各地で万博に関わりたい人、盛り上げたい人を集めた『EXPO酒場』を開催しました。
その万博に関わりたい中心の人を店長にするんです。
関西をはじめ青森、鹿児島でも開催しましたね。
カジュアルに酒を飲みながら万博の話をするところがなかったこともあって、拠点づくりをしたいということで47箇所で開催されました。
例えば青森の万博酒場では大阪・関西と遠い青森をどうやって繋げることができるかを話し合います。
例えば神戸と青森はFDAという航空会社でつながっているのでツーリズムをやったらいいのでは、というような話をするわけです。
EXPO酒場大阪梅田店でフードラボをした時は150人ぐらいのお客さんにお越しいただきましたね」。

『EXPO酒場』ではどんな話が出てきますか?
「交流もありますし、トークセッションも。
対話からプロジェクトが生まれてきますね。
万博関連で話し合う場所がなかったんですよね。
場を作ることで街が盛り上がっていく仕組みができていきます。
世の中に乗っかれる仕組みがないんですよ。
お店も万博を機に色んなことをされたらいいと思うんです。
やっていいかどうかですが、行儀が良いとかそういうことではなくて、勝手にやったらどうですかと思うんです。
僕も勝手に"EXPO酒場"という名前を使っていますけれど怒られたことないですもん(笑)。
オリンピックと違って、エキスポは一般用語なので使ったらいいと思うんです。
一過性の盛り上がりですけれど、盛り上がらなければ経済が死んでしまいます。
税金も投下していますし、うまく使わないと増税につながるとも思います。
池田泉州銀行さんが出店される『GUTSU GUTSU CHALLENGE』で中小企業の参加はできますが、その枠以外にも街から盛り上がっていくといいですね」。

花岡さんはお仕事も万博もおもろいチャレンジをされています。
「500日前ですと、南海電鉄さんの空間を使って『まちごと万博カーニバルin 大阪』を開催しました。
ナイトタイムで夜の街の実験をしました。
1年前は大阪市内全域を使った実験をしたいと思っています。
『EXPO TRAIN 近鉄号』という貸切列車をやったり。
色んな電鉄さんと貸切列車を開幕1年前の4月13日にはやってみたいです。
500日前にもやった『まちごと万博カーニバル』を再び開催してパレードをしたいとも思っています。
僕らは『demo!expo』だけに勝手に"デモ行進"と呼んでいますが(笑)。
パレードは祝祭ですが、デモ行進なのでメッセージ性があるものです。
盛り上げるというメッセージを掲げたパレードですね。
梅田、難波、本町など市内5箇所ぐらいでできたら何かが変わるような気がします」。

これからの目標、そして万博後の目標を聞かせてください。

「"まちごと万博"という、もうひとつの万博を目標として動いています。
会場と街というふたつの会場がある万博。
万博が終わっても街に残っていて、さらに街に文化として根付いている。
そうなったら成功だと思っています」。

私の万博、みんなの万博。
一大イベント・万博は自分ごと。

竹原編集長のひとこと

『まちごと万博』『EXPO酒場』など様々な角度から切り込んで万博の色んな側面を見せてくださっています。
2025年まで、そして、それ以降も楽しみなプロジェクトですね。