2024年

1月21日

ビッグデータから導き出された建築業界の未来

今週のゲストは株式会社NEXT STAGEの代表取締役社長 小村直克さん。
事務所が、あべのハルカスにあります。
「ベンチャー会社ですから若い人材を雇用する上で福利厚生が整っているところにと思っていまして。
以前は谷町3丁目でした」。

どんなお仕事をされているのか伺っていきましょう。
「創業18年目になります。
住宅業界で製造過程のソリューションを行っています。
住宅を建てるときに第三者検査機関というものがあります。
それを18年前に民間でスタートさせました。
最近、新築住宅がちゃんと建たないんです。
一生に1回建てる大切な住宅です。
オーナーさんのために製造工程に入って品質を担保していくことからスタートした会社です。
そこから蓄積したビッグデータとITテクノロジーを併せて、アナリティクスという製造プロセスを解析するデータビジネスを始めました。
人の動きも把握できるものです。
なかなか成り手が少ない業界です。
以前90万人いた大工さんが現在30万人に。
20歳以下の大工さんが2000人以下に。
だから建てられる環境が減って、担い手も少ない。
それをなんとか支援したいという事業です」。

建築現場では様々な問題があるそうです。
「大きな産業は工場ラインで作られます。
新築住宅を作っておられる企業様が3万社ほどあります。
その中で大手は2割。
あとの8割は地域の工務店。
現場の手作りになります。
そうすると人によってばらついてしまうんです。
家一軒に対して4〜5ヶ月、入る業者さんは20〜30。
その集大成が1個の新築住宅となってくるわけです。
そうすると目に見えないところが出てくるんです」。

どのようにして新築住宅を買われているのでしょうか?
「新築住宅を買われるのは20代後半〜30代。
不動産から探して住宅を買う。
昔は個人指名で◯◯棟梁に建ててほしい、などありましたが、条件で買われる方が多いですね。
駅近の分譲地で買う、とか」。

その中で株式会社NEXT STAGEさんは具体的にどんなお仕事をされているのでしょうか?
「18年でNEXT STAGEという技術ブランディングを作ってきました。全国の有資格の建築事務所さんに仕事の創出もしています。
そういった方々に第三者評価として現場に出向いてもらって、建築のチェックをしていただいています。
1年間で4万工程のチェックをしています。
地盤、基礎から杢が乗ってきて、防水、断熱、クロスの下地...たくさんあります。
チェックをしてやり直しができるタイミングが10回ほどあります。後戻りできない工程に入る前に足を運んでチェック。チェックをしたらその場で職人さんに伝えて直してもらいます」。

工務店さんからすると品質向上に。
集まったビッグデータはどんな効力があるのでしょうか。
「作り手が利益を出すのも難しい時代です。
自分たちが第三者でやったデータを人と物に還元することで、ミスを減らしたりロスを減らしたり。
そうすることでコンサルティングにも繋がります。
技能者さんに対して習熟を高めるために人材育成のサービスも展開しています」。

これからの建築、ものづくりについてはどうお考えですか?
「新しいものづくりは希少価値。
大工さんになりませんか?といってもなかなか成り手が少ない。ハウスクラフターという概念だと新しい価値観が生まれます。現場監督というより、建設ディレクターはどうですか?こういった価値観の転換も大切だと思っています」。

学習プログラムも展開。
「『ACRO5(アクロファイブ)』とう学習環境プラットフォームサービスです。
5分間のeラーニング付きの番組です。
その時間でなるほどと思ってもらえる内容にしています。
たった5分なので100本も見てもらえば現場の環境がわかります。500番組を超える番組数があるんですよ。
これで社員教育されている会社もあります」。

番組を作るのは大変なのでは?
「単純に検査をしていたわけではなくて、ずっとデータをとってきたということですね。
安全管理のチャンネル、リフォーム系のチャンネルがあったり。できれば一般の方にも施工の手順などDIYに活かせることができればいいですね。
幅広く総合的に習得できるように」。
社員さんは何人ぐらいおられるのでしょうか?
「社員は100人程度、そして全国に建築士のネットワークが400人で全国を網羅しています。
部署はコンサルティングやIT部門、建築技能の部門も。
実際に家を建てるのは工務店さんですが、私たちはいかに黒子になるかを考えています。
私たちが入ることで少し費用はかかりますが、客観的に目線を入れるだけで安心の度合いが変わります」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

積み重ねたデータをもとに建築の安心を得る。
しかも技術の向上のための学習プログラムも制作。
建築業界の未来形ですね。