2024年

1月 7日

とても身近な存在 薄荷はこうして作られる

今週のゲストは鈴木薄荷株式会社の代表取締役社長 高畑新一さん。
社名に"薄荷"の文字が。
「"薄い荷物"と書いて薄荷です。
野球場のスペースくらいの1haからドラム缶1本ぐらいの油しか獲れなくて荷物が薄くなるという当て字とも云われています。
実は生活のいたるところにありますが、目立たなく。
でもしっかりとあります」。

改めてどんなお仕事なのでしょう。
「大量の葉っぱから油を獲っていくわけですが、その中でスッとする成分が"l(エル)-メントール"。
それを抽出するわけです。
最初は葉っぱから水蒸気蒸留しまして、そこから結晶にします。
これをゆっくり冷やして結晶にして純分を上げています」。

5cmほどのボトルに詰めてスタジオにお持ちいただきましたが、天然のものなので食べても飲んでも大丈夫なのだそうです。
これもすごい量を集めて作ったもの。
この結晶は、ここからどうやって使われているのでしょう?
「世界で需要があるのは歯磨き粉です。
日本は湿布が多いですね。
あとは目薬、シャンプー、お薬の中にも入っています。
文化度が上がると需要が増えると云われています。
例えば、今まで爪楊枝で歯のケアをしていたところが、歯磨きをし始めるとそれだけ需要が増えます。
今、世界で6〜7%需要が増えていると云われています」。

液体の物もお持ちいただきました。
「天然の薄荷からl-メントールを獲っても、他にもその中にはいろんな良い成分が入っています。
『薄荷白油(はくゆ)』と云いまして薬局でも売っていますし、アロマテラピーでも使います」。

肌につけるとスッとしたり、香りを嗅ぐと鼻が通ったり。
「弊社はBtoBですので、この薄荷油が湿布になったり歯磨き粉になったりします。
スッとする商品に使われている物の正体はこれです。
肌につけると冷たく感じるんですが、皮膚の温度が下がっているわけではなくて、実は肌で冷たく感じる神経を刺激しているんです。
古代ギリシャの時代や中国でも使われていて、

なぜ、この爽快感があるのか分からず使われていたそうです」。 日本で数少ない企業なのでは?
「天然薄荷を生成しているのは日本で3社。
昔は北海道で葉っぱを作って、神戸や横浜で加工して輸出していました。
それこそ、日本人がまだ歯磨きではなく爪楊枝を使っていた時代です。
そこから日本が成長してきたので輸入し始めました。
現在、世界の供給量のほとんどがインドの農村地区で作られています。
アイスクリームなどに乗っているミントは西洋薄荷。
北海道で作っていたのは和種薄荷と云われています。
それがインドで栽培されていて、l-メントールが強いものです。
インドで小麦やとうもろこしを栽培する合間で薄荷を育ててオイルを作っています。
農作物は腐敗してしまいますが、オイルはしません。
貯めておいて、例えば娘さんが結婚するときに換金したり、と云う話も聞きますね」。

l-メントールの用途は幅広いですね。
「弊社は2017年にポートアイランドに引っ越しました。
神戸市は医療産業都市としても推し進めています。
そういった研究の一部になれたらいいと思っています。
アロマテラピーの分野ではコロナ禍で多く問い合わせをいただきました。
家で充実した暮らしに役立てておられるそうです。
どんどん使っていただきたいです」。

日本で作って販路開拓は?
「BtoBですので、自然発生的に増えてきています。
供給先で様々な商品に変化しています。
コロナ禍の時はマスクにスプレーするという需要も増えました。
弊社は"人と社会にさわやかな潤いを"がキャッチコピーです。
ちょっとずつ薄荷の効果に気づいていただけたらと思います」。

BtoCの方向は?
「イベント的に展開したことはありました。
神戸の株式会社フェリシモさんと『薄荷コーヒー』を作りました。
期間限定でしたが、好評でしたね」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

歯磨き粉や湿布、お菓子などの食品や医療まで。
実はとても身近な薄荷。
お話を伺って、その生産過程を知って驚きでしたね。