MENU
10月29日
今週のゲストは丸善油化株式会社 代表取締役 花岡俊次さん 先代社長で会長 池宮謙司さん。
まずはどんなお仕事をされているのか花岡さんに伺っていきましょう。
「紡績工業の油剤メーカーです。
天然繊維であるウールやカシミヤ、アルパカなどの毛を糸にするときに紡績用の油が必要になってくるんです。
粘度などもお客さんの要望で作っておりますので、どんなものにも対応できます」。
紡績にも様々な歴史が。会長の池宮さんに伺います。
「紡績工業の油剤メーカーであると同時に様々な事業を展開しています。
でもそれは"やむなし"にといった側面もあります。
紡績の全盛期はおよそ40年ほど前です。
人件費の安いところに仕事が回っていきます。
当時の月給が6,500円という時代もあったそうです。
そこから人件費が合わなくなって、日本から韓国、台湾そして中国、今では東南アジアに仕事が移りつつあります。
急激に業界の景気が悪くなったのは20〜30年前です。
売り上げが下がって、違う業種の仕事を始めました。
その中でテーマを持って環境にやさしい、省エネの仕事を探しました。
最初にパナソニックさんの真空断熱材を開発からさせていただきました。
ただボリュームが大きくて我が社では対応できなくなりました。
その辺りから別ジャンルの仕事を次々と。
大体25年ぐらい前からですね」。
環境問題は早くから取り組みをされています。
「メインは天然素材。
これは自然に還っていくものです。
あとはリサイクルできるものですね。
反毛と云いましてセーター、スーツを再び繊維に変える業界ともお仕事をさせていただいています」。
元々の油剤のお仕事の割合はどのぐらいですか?
「油剤は全体の15%ぐらいですね。
全盛期は月に100tぐらい作っていた時がありましたが現在は15t。
それでもシェア70%ぐらいありまして、日本一です。
他社さんも儲からないからやめてしまったという背景もあるようですが。
油剤だけでなく、機械部品の仕事もあります」。
機械部品のことに関して花岡さんに伺います。
「油剤の仕事をやめられた会社の機械があります。
その中古機械を海外へ輸出しています。
最初から終わりまで、解体からコンテナに詰めて輸出、そして再び組み立てまで全て手掛けています。
弊社が一本でやらせていただいています」。
さらに機械を出すと同時に紡績の仕事も。
中国・上海の自社工場で月に60tの油も製造をしているのだとか。
他の事業について花岡さんに伺っていきます。
「例えば不動産屋さんから建物の配管から匂いが上がってくる...。
どうにかならないかという相談を受けました。
その匂いを抑える溶剤を油剤で開発しました。
あとは電動自転車です。
おかげさまで口コミだけで1000台も販売できました。
岸和田という土地は横のつながりが深いので地元の皆さんに広めていただきましたね」。
この自転車についてもう少し教えてください。
「ガソリンを使わない、省エネな乗り物ということで会社の方針にも合っています。
上海の工場の立ち上げ時、3年ほどいました。
マンションと会社の通勤がその電動自転車だったんです。
帰国後、まだそこまで流通していなかった電動自転車について当時の社長、現会長に話すと、"いっぺんやってみ"と云われました。
気持ちよくチャレンジさせてもらいました」。
「この自転車は自社ブランドなんです。
貿易の会社を作りまして、自転車のシマノさんの部品を使って中国で作ってもらっています。
他にない自転車です」と池宮さん。
さらにお作りになっている石鹸についても池宮さんに伺いました。
「紡績の業績が落ちてきた頃、ある会社の加工のお手伝いをさせていただいたことがありました。
ある時に大阪の営業所を閉めて他の場所で展開されることになりました。
その会社の社長さんが今まで無理を言ってきたから何かお礼をしないといけない、と仰ったんです。
そして、社名を見て"丸善油化なんで石鹸ができないか"と。
やったことはありませんでしたが、ぜひやらせてください、と。
自然にやさしいものを作りたかったんです。
こだわりを持って色んなメーカーを回った中、一社だけトライしてくださって一緒に作り上げたのが『米糠石鹸』。
今では年間20万個販売しています。
今年は入浴剤も作っているんですよ」。
様々なチャレンジをされていますね。
「現状維持はだめ、常に前へ進むという姿勢なんです。
チャンスがあれば何でもやりましょう。
ダメだったらごめんなさい。
とりあえずチャレンジさせてくださいという社風です」と池宮さん。
「何でも提案したらやらせてもらえます」と花岡さんもニッコリ。
会社の歴史は次週に続く...。
まさに自由闊達。
ルーツの油化のお仕事から派生してのびのびとお仕事をされていますね!