2023年

10月 8日

水槽用クーラーNo. 1の会社は、入って良かったと思える会社も目指す

先週に引き続き、ゲストはゼンスイ株式会社の専務取締役 吉原章悟さん。
今週は改めて会社の歴史を伺っていきましょう。
「私の父が1999年に創業しました。
前身となる会社もありまして、父の兄が1975年に創業しました。社名の"ゼンスイ"は"全国水産設備"の略。
昔は、活魚水槽をメインに取り扱っていました」。

歴史のある会社。
今や一般家庭にもある鑑賞魚の設備はゼンスイ株式会社が広めたのでは。
「昔から確かに言い続けてきたということはあります。
熱帯魚ブームがありましたが、当時は冷やす必要がありませんでしたのであまり関係ありませんでした。
あくまでもお寿司屋さんなど活魚を扱うお仕事の皆さんとお付き合いがありました。
あとはペット用の魚を扱うショップさん。
温暖化に伴って水温が上昇してきた時に水温を下げるクーラーがあるとお客様におすすめいただきました。
クーラーをつけているとペットの魚の健康を維持できるという、趣味の世界でもハイエンドなイメージがついて徐々に広まってきました」。

コスト面はどのような工夫をされていますか。
「元々は日本の自社工場で作っていましたが、中国でも作るようになってからコスト面は下げることができました。
かなりお求めやすいお値段にはなっていますが、お魚をペットにされていない方にはまだ高価格と感じられる方がおられるかもしれませんね」。

専務はこのお仕事をされる方向だったのでしょうか。
「ゼンスイという会社は知っていましたけれど、この会社が具体的にどんな仕事をしているのか、入社するまで理解していませんでした。
元来、自分で何かをすることが好きでして、前職は居酒屋を経営していました。
二十歳までに自分の店を持ちたいという思いがあったんです。
元々は大阪でショットバーもやっていて、店長を別の方にやってもらって、私はオーナーとして経営の方で。
でも1年ぐらいであまり上手くいかなくて...。
そこから名古屋へ。
名古屋で数店舗展開している居酒屋のアルバイトをしていて、その中のひとつをやってみないかとお声がけいただきました。
その居酒屋は2〜3年ほど経営していました」。

そこからなぜこのお仕事に...?
「居酒屋時代、なんとか食べてはいけていました。
ちょっとずつ感覚がズレてきていたのか、店を休まなくなってきたんです。
お店を開けていると5〜6万円の売り上げがありましたが、店を休むとそのお金がなくなってしまう...減る...というおかしな感覚に。
このペースでこの先もやっていけるのか...と思いまして。
そんな時に、"そういえばうちのお父ちゃん、会社をやっていたな"と。
現状を父に話して相談してみました。
そうすると実家のある大阪は駄目だ、と。
入社するのなら関東営業所があるからそこに行けと云われました。
返事をした週末から埼玉へ行ってマンションを探して、翌月から勤めることになります」。

仕事の内容も分からないところからのスタート。
「社長の息子だということを言いたくなかったですね(笑)。
料理は作れますが、それまで魚を飼ったことがなかったですから。
勉強しながら仕事をしていくわけですが、根っから魚が好きという感覚より、仕事として俯瞰で見ることがビジネス的には良かったように思います。
父はとても厳しかったですね。
いつかは見返してやるという気持ちで頑張っていました。
2004年のことでした」。

関東営業所はどんなお仕事をされていたのでしょうか。
「まだできて間もない時期で、どういう商売をしていこうか模索しているところでした。
事務所も一軒家のようなところでしたから。
本社の大阪の方が2倍の売り上げがありましたね。
最初は1年の研修で関東営業所に、ということだったんです。
気がつけば、もう19年いますが(笑)。
うちの場合は西日本と東日本の2拠点。
現在は東日本の方が売上もそうですし、お仕事の話も多いですね」。

社長であるお父様も関東営業所の強化を見越しての人事だったのでしょうか。
「そんなに甘くないだろって言いたかったのだと思います。
でも私が頑張ったもので(笑)。
対抗して父は社長を絶対に辞めないと云っています。
私が入社したことで、社内プレゼンのきっかけも増えたと思います。
社員からの意見を吸い上げて仕事に繋げていきたいですね」。

これからのビジョンを聞かせてください。
「社員が"ゼンスイに入って良かった"と思えるように。
商売は時代の流れがあるので常々変化していきます。
その中で仕事の環境、お給料面においても入社して良かったと思える会社をこれからも作っていきたいですね」。

水槽用のクーラー日本一の売り上げ。
入って良かった会社でもトップを目指す。

竹原編集長のひとこと

やりがいを引き出す会社の姿勢や取り組みが随所に見られますね。
これからの仕事の在り方を教えていただきました。