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4月 2日
今週のゲストは池田泉州銀行が大阪・関西地域のイノベーション創出に向けて新規性、独創性にあふれた企業・起業家を応援する第23回『ニュービジネス助成金』で大賞を受賞した、HiLung(ハイラング)株式会社の代表取締役CEO山本佑樹さん。
受賞のポイントは?
「名前がややこしくて申し訳ないんですけれど(笑)。
『国際的感染症対策に貢献する創薬プラットフォームの展開』と云います。
新型コロナウイルスが世界的に広がっている状況の中、創薬を支援するビジネスです。
医学の歴史は感染症との戦いの歴史です。
その歴史が繰り返す中で、次への備えが必要です」。
具体的にはどんな技術なのでしょう。
「日本発のiPS細胞、万能細胞を使ったものです。
人間の体の臓器は全然違う形で機能も違う。
何が違うかというと臓器を作っている細胞がそれぞれ違うんです。
iPS細胞のすごいところは、何の変哲もない細胞なのですが、色んな条件で培養するとそれぞれの臓器の細胞に変化させることができるんです。
私たちの会社は肺の細胞に変化させる技術を持っている会社なんです。
その中で細胞を治療に用いるのもひとつ。
もうひとつは試験管などで細胞モデルを作ることができます。
いわば人間の肺と同じような細胞を作ってそこで実験ができるんです。
そこに例えば新型コロナウイルスを持ってくると感染して、実際に感染の状況を再現できるということです。
そこで新型コロナウイルスに効果がありそうな薬の効果を確かめることができます。
さらには効果のありそうな薬の候補も挙げることができます。
実際の人間の肺に起きていることがわかるので、実際に効果がある可能性が高いです。
私たちはそういったお薬探しをしているわけです」。
人間の肺に近い細胞での実験。
「創薬ってすごく大変で、効果がありそうなお薬を持ってきて気軽に人体実験ができないんです。
普通は動物実験から始めるわけですが、動物でやっている実験結果がなぜ人間に効果があるのか...?
これは疑問なんですよね。
新型コロナウイルスでいうとネズミが感染しても実は何も起こらないんです。
しかし、人間と同じような細胞を作ることができるiPS細胞を使った我が社の技術だと負担が少なく創薬できるというわけです。
それが『国際的感染症対策に貢献する創薬プラットフォーム』なんです」。
現在、研究はどの段階なのでしょう?
「実際に細胞を作って新型コロナウイルスに感染させて、それに対してお薬を試したり。
大学や製薬企業とお仕事をさせていただいています。
現在は国内が中心ですが、感染症は世界的な問題です。
日本発の技術として世界中で使ってもらおうと思っています」。
これから益々広がっていきそうな技術ですが、その細胞とはどうやって作っておられるのでしょうか。
「工業製品のように自動化して大量に作って使っていただけるといいのですが、細胞って生き物なんですよね。
これを扱う作業は細胞を育てるという職人技が必要なんです。
自動化の部分と手作業の部分を組み合わせて進めているところです。
全自動化はできませんが、一定のクオリティを担保しながらそれなりの量を作っています」。
その後、流通も。
「細胞の部分は私の専門ですが、その流通という点も重要なんです。
作った細胞をそのままの状態で世界中、どこにいても使うことができるようにするには流通は極めて需要です。
その機能もこれから高めていこうと思っています」。
会社の歴史は次週に続く...。
コロナ禍において日本が誇るiPS細胞がさらに進化したような感じですね。
日本発の技術が世界を救う!