2022年

7月10日

世界に広がるものづくりの2本柱

今週のゲストは昭和精工株式会社の代表取締役社長 植野徳仁さん。

ものづくりの会社さん。
改めてどういったものをお作りになっているのでしょう。
「主力製品は2つあります。
ひとつはベアリング、もうひとつは自動車のパワーステアリングに入っているリダクションギア。
この2本柱で材料から製作まで加工販売しています。
ベアリングは軸受。
回転するものの摩擦を減らすものです。
省エネにもつながる機関部品です。
もしベアリングがなければ...燃費が悪くなったりします。
ベアリングは用途が広くて色んなところに使われるんですが9割方自動車向けですね。
ベアリングの種類は大きく分けて4つ。
中に入っている転動体というものが丸であったり円錐、円筒であったり。
昭和精工株式会社で作っているのはベアリングの外側と内側のリングになります」。

ベアリングの外側と内側を製作、中の転動体をベアリングメーカーに納入。
そこから自動車会社へ。
新型コロナウイルスの影響はいかがでしたか?
「一昨年の5月には半分近くに落ちました。
自動車中心に製造業全体の回復は早かったと思います。
今は別の問題でここ数ヶ月、部品不足です」。

昭和精工株式会社は5つの製造拠点が。
それぞれの場所でどんな役割があるのでしょうか。
「基本的には品種と工程で分けてあります。
様々な形の主力製品がありますが、別々の工場で作っています。
最も大きい、人数が多いのは岸和田市にあるメイン工場の『ちきり工場』です。
一番の主力製品であるテーパーローラーベアリングの旋削加工を行っています」。

従業員の皆さんは1000人。
植野さんが入社された時もこのぐらい大きな規模だったのでしょうか。
「当時は海外の拠点はなかったのでもっと少なかったですね。
現在は中国とアメリカに拠点があります。
入社しましてすぐに中国に赴任しました。
立ち上げの時期でいい経験になりましたね。
日本を離れていると時間の流れや感覚が少しずれてくるんですよね。
その時間の感覚を戻すのに好きなプロ野球の情報を得ようとしていました。
もちろん阪神ファンです。
テレビは映らないのでラジオを聴こうとしていたんですけど、それも無理でして(笑)。
インターネットで1球ずつの速報を見ていましたね」。

およそ10年前、中国に赴任。
当時の中国はどんな様子でしたか?
「上海の近くの沿岸部にいました。
田舎のイメージはなかったですけど、少し内陸に行くとカルチャーショックを受けましたね。
技術や品質と競争では勝っていたと思いますが、最近そのアドバンテージも縮まってきているとも思います」。

昭和精工株式会社のものづくりのこだわりは中国の工場でも生きているのでしょうか。
「完全に日本と同じ品質と生産性ができているかといえば、そうではないです。
最大の課題であり、現在進行形ですね。
円安の影響もあって製造コストは確実に上がっています。
中国に関してはプラスではありますが、海外の売り上げを円で見るとものすごく増えます。
まだ国内が生産の中心なので円で揃えて考えるのですが、数字だけ見ると海外が増えており、判断を間違いやすいので数量の管理は強化していきたいです。
国内のことでいうと物価の上昇を不安に思うこともありますが脱炭素などのエネルギー問題も大きいです。
鉄鋼材料を調達できないと、国内の生産力が落ちます。
日本のものづくり全体にも関わる問題です」。

会社の歴史は次週に続く...。 

竹原編集長のひとこと

コロナや物価の上昇を乗り越えるのは、やはり確かな技術。
確かな技術から生まれた製品は信頼感がありますね。