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10月31日
今週のゲストは株式会社坂ノ途中 代表取締役 小野邦彦さん。
まずはお仕事の内容から伺っていきましょう。
「環境への負担の小さい農業を広げようということをテーマにして、野菜を中心とした農産物の流通販売をしている会社です。
インターネット通販でお野菜をセットにして定期配達をしたり、レストラン、百貨店にも卸しています」。
環境負担の小さい農業というと?
「季節に合わせて栽培していくと外から投入するものが少なくなります。
農薬や化学肥料、暖房がそれですね。
とはいえ本当に自然の状態は難しいんです。
ある程度の効率性は大切だと思うんです。
作物によっては流石にビニールハウスは使わないとしんどい。
でもその上に冬場に暖房をつけることはなしにしましょう、などですね。
農家さんと都度話し合いながら、宅配している野菜セットは農薬や化学肥料を使わないで作られているものになります」。
農家さんと会社、野菜作りはどんな風に進むのでしょう。
「一番大きな特徴はお取引先が関西で300軒ほど。
その9割近くが新規就農の方なんです。
その中でも30代の方が多いですね。
新規就農の方って規模が小さくて普通の流通と相性が悪いんです。
そこを少量不安定なものでも相談しながら売っていけるように規格を決めながら進めていきます。
僕らが相談させてもらうこともありますし、農家さんからの提案もあります。
仲の良い農家さんでブラジル人の方がいるんですが、カラフルなビーツを提案いただきました。
ビーツの好きな人が増えてきたんですが、黄色いビーツだとか渦巻き柄のビーツだとかあるんです。
ブラジルではよく食べられるキャッサバも栽培されています。
ニーズの先を行ってらっしゃいます(笑)
大量生産ができない中でどうやったら農業経営が成り立つのかを考えています」。
野菜セットの中身はどんなものが入っているのでしょう?
「ずーっと頭を悩ませています(笑)。
定番ものばかりだと面白くない、変わった野菜ばかり入れてもご家庭では困ってしまうと思います。
定番と変わったもの、そして季節感。
知らない野菜が入っていると野菜セットだとお子さんの好奇心が湧いて自分から箱を開けたりされるそうです。
会話が少なかった食事時も野菜をきっかけに会話が生まれるなんてお声をいただきます」。
野菜の流通販売の一方で他にも展開されているそうですね。
「自分たちでも農場をしていたり、市内で八百屋も。
本屋とレストランの複合施設『本と野菜 OyOy』もあります。
パチっとメニューが決まっているんではなくて、おいおいやっていく。
だから"OyOy(おいおい)"なんです。
海外の話としては東南アジアの山間、森の中でコーヒーを育てています。
コーヒーは収穫した後の発酵や乾燥といった工程があるのですが、その品質を引き上げて"スペシャリティコーヒー"を作って販売しています。
『海ノ向こうコーヒー』といいます」。
『海ノ向こうコーヒー』の取り組みはいつからですか?
「5年ぐらいになります。
最初ラオスからスタートして村のおばあちゃんと一緒に。
現在はミャンマー、タイ、中国雲南省などでコーヒーの品質向上プロジェクトを行なっています。
いろんな少数民族の方とお仕事をするんですが、タイのカレン族のコーヒーは『タイのなまけ者コーヒー』といいます。
ずっと森で暮らしてきた民族で、森とリズムを合わせて生きることを徹底しています。
彼らの神話に出てくる主人公はレイジーマンといって、怠け者でぼーっとしてたらたまたま通りかかったお姫様と結婚できました...というような話なんです。
あくせく働いて自然のリズムを崩すよりも、自然に任せて生きていこうという教えなんです。
産地のキャラクターが不思議と味とつながりますね。
おっとり優しい人が作ったコーヒー、ほっこりした味になるんです
。
森の中でゆっくりコーヒーを作ることで森の保全と民族の現金収入が両立できるんです」。
日本の農業も森でのコーヒー作りも冒頭の"環境負担の小さい農業"につながってきます。
「環境負担の小さい農業を広げることがテーマでそのテーマにそって何をしようという感じですね」。
美味しい野菜やコーヒーがいただけるのは自然の恵み。
文字通り"自然体"で環境負担の小さい農業に取り組んでおられます。