2021年

2月 7日

生み出す板紙はアイデアの結晶

今週のゲストは大和板紙株式会社の代表取締役社長・北村貴則さん。
まずはお仕事の内容を伺っていきましょう。
「紙の中にも紙と板紙と分かれます。
紙はコピー用紙、新聞、ティッシュなどなど。
板紙というのは8割が段ボール。
残りの2割は箱などのパッケージに使われている厚紙です。
うちはその板紙の方の専門の会社です」。

私たちの身の回りにたくさんありそうですね。
「2000年ぐらいが一番紙が売れている時代でした。
紙と板紙の売り上げの差があったんですが、ペーパーレスの時代の流れから同じぐらいの売り上げになりましたね」。

お得意なジャンルは?
「マット調の色板紙。
色を最初から漉き込みをする板紙ですね。
様々なバリエーションがあります」。
お客様からはどんな依頼が?
「変わった板紙を作る会社として色んなご依頼がありますね(笑)。
例えば和菓子屋さんで使う板紙だと小豆の殻を織り込んだり、広島の平和祈念の折り鶴の再利用として、折り鶴を織り込んだりしてノートやお線香のパッケージ、紙灯籠を作ったり」。

かなり柔軟なものづくりをされていますが、そのきっかけはあったのでしょうか?
「ある時、営業に出た時にどうやったらうちの板紙が売れるだろうと思いまして。
デザイナーさんは商品の素材やデザインを決めますよね。
最近はそのデザイナーさんとの関わりから多くの発想が生まれています。
デザインをされる時にそのデザイナーさんがイメージするものを作る。
コンセプトにあった紙づくりができるようになってからですね。
それとリーマンショックを機に会社や工場に暇ができました。
どうせ時間があるのなら新しい紙を作ろうということになりまして。
そこで一生懸命考えて模索しながら作ったのですが、なかなか採用までには至らない...。
それならば逆にデザイナーさんに提案してもらったり、ものを作っておられる方が欲している紙を提案してもらう形をとりました。
そうすることで、うちの会社で作る発想ではない新しいものがたくさん出てきました。
幅広いオーダーがあったのですが、うちの社員は文句を言わなかったですね。
みんなそこに可能性を見ていたのだと思います。
オーダーの板紙を作ることで みんなが求める板紙ができるようになりました
そこから毎月、新商品のテストをしています」。

大和板紙株式会社ではデザイナーズ会員という取り組みもあるそうですね。
「はい、多くの方に登録いただいています。
もともとよくうちの工場に来てもらっている方もいらっしゃいましたが、皆さんに共通して、ものづくりに興味がある方ばかり。
特に紙を使うデザイナーさんはとても紙が好きなんです。
食事の時間も忘れて紙を触りながら食事をしたいとおっしゃいます(笑)。
製品を使ってくださるデザイナーさんがうちの宣伝をしてくださったりしています。
ありがたいですね」。

企業とのマッチングした紙もあるそうですね。
「例えば大手雑貨メーカーさんのノートだったり文房具ですね。
中のノート部分は別メーカーで板紙はうちが。
海外にも展開しているメーカーさんなのですが、私がある時、海外に行った時その商品が店頭に並んだ姿を見たんです。
留学した娘に会ったみたいで嬉しかったですね(笑)」。

オンライン工場見学会もされているとか。
「オンラインのシステムは2年前に東京の営業所がオープンをきっかけに始めました。
元々は東京営業所の一室でデザイナーさんや紙に興味を持たれている方に向けてライブで工場などをテレビでご覧いただいていたものです。
去年、コロナ禍で去年2月から社内会議もzoomに切り替えたのですが、それまでやっていたテレビでの見学もzoomに切り替えられるのでは、と。
このオンライン工場見学で実際に工場が稼働しているところを見ていただけます。
質問などもチャットで受け付けています。
もともと地元の社会見学なども受け付けていたんですが、それもzoomに。
おかげさまで好評をいただいています」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

デザイナーさんのアイデアを形にして商品作り。
たくさんの商品は柔軟なお仕事のシステムをお作りになったことで
広がりましたね。