2020年

12月27日

伝統技法を受け継ぎ、和装を進化させる

今週のゲストは株式会社岩佐の代表取締役・岩佐浩司さん。
MBSラジオでもお馴染みの会社です。
改めてお仕事の内容を伺っていきましょう。
「日本橋の履物屋さんが集まっているエリアがありまして。
そこで冠婚葬祭やパーティなどお集まりやイベントに寄り添ったフォーマル商品を作っています。
フォーマルバッグは1年で見ると登場回数が少ない。
他のお出かけや同窓会などにも使えるものです。
ミシンで作っているバッグが多い中、弊社のバッグは生地を折り込んでいく職人の技の結晶なんです」。

スタジオにも持ってきていただきましたが、とてもモダンでおしゃれなバッグです。
伝統的な技法を極めた社員が手掛けておられるのでしょうか?
「うちの社員は若い社員が多いんです。
20〜40代。
実はデザイナーで入ってきた人がいないんです。
デザイナー目線で考えるとそれはそれでいいものが作れると思うんでですが、デザイナーの枠は超えることができないと思うんです。
社員の中でイメージを具現化できる人をデザイナーと呼んでいます」。

現在、一般的な和装の認識はどんなものなのでしょう?
「草履でいうと二十歳の成人式に初めて履く人も多いですね。
それで痛くて嫌になる人が多い(笑)。
実はとても履き心地が楽なものなんですよ。
レンタルのものだと自分のサイズとぴったりではない場合があるので、鼻緒の"すげ"が合わないと痛いんです。
草履は靴のように外反母趾にもならないですし、摺歩きするので、自然な脚の動きができて体にもいいんですよ。
自分の足にあったものを履いていただきたいですね。
今、和装は着たらスマホで撮影して友達に見せる、送る。
楽しみ方も変わってきていると思いますね」。

新しい和装、フォーマルバッグへの取り組みはいつからなのでしょう?
「私が社長になって15年なんですが、12、3年前からですね。
外部作業だけでは実現できなかったです。
内製化することで実現できたことって多いと思います。
作っている間で"社長これ売れますか"という社内の声に"取りあえずやってくれ"と作ることができる。
自分の信じた方向と、この声を聞くことでバランスが取れると思います」。

コロナ禍においても新たなお仕事を生み出されたそうですね。
「マスクを作りました。
自分たちの仕事であるバッグを売るんだと思っていましたが、これもお客様からフォーマルにもあうマスクを出して欲しいというお声をいただきました。
フォーマルファッションの一部として作らせていただき、好評をいただいています」。

"垣根のないパーティでも使えるようなものを作ってよ"という声から生まれた『SHINKA』も。
「"芯の花を持たせる""進化"もあります。
お母様と娘さんがシェアして使っていただいているというお声もいただきます。
メーカー冥利につきますね」

お仕事のスタイルは製品はもちろん、世の中の和装のイメージに向かって問いかけをされているようですね。
「"こんなものだ"とそこで止まってしまうこともできると思うんです。
それでなんとなく生きていける。
社業としてやるならなば若い子が働きたいという思ってもらえるような商品と環境は大切だと思っています。
毎週月曜に会議をするんですが、その場で即断即決。
物事を決めるための会議だと思いますので、後回しにはしません。
その場で決める会議をしています」。

和装のイメージの拡大、新たな商品へ向かう挑戦。
会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

お話を聞けば聞くほど和装の革命を起こそうとされています。
着実に起こす革命で和装の未来はきっと変わりますね。