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10月14日
株式会社シクロケムの代表取締役社長・寺尾啓二さん。
先週は株式会社シクロケムが手がけるシクロデキストリンは、実は私たちの身近にあるということなどを伺いました。
元々はこのビジネスを展開するのは何がきっかけだったのでしょうか?
「ドイツ人の親友との出会いですね。
大学卒業後、私はドイツの化学会社に入社しまして、隣の部署にいたのが彼でした。
彼は世界で初めてα、β、γ三種類の大きさの違うシクロデキストリンを作った人です。
でも、日本で先にβシクロデキストリンが作られていましたので、日本はドイツよりもシクロデキストリンに興味を持っている企業が多くいました。
そこで、彼は日本人のパートナーが欲しかったですね。
2000年頃の話ですが、私はドイツから日本に帰っていて、そのドイツの化学会社の子会社で働いていました。その子会社の大きな事業部が日本の会社と合弁会社を作りました。その事業部と関係のないシクロデキストリンを扱う私の小さな部署の4人は宙に浮いた状態となりました。その頃に、ドイツ本社で働く彼はシクロデキストリンの事業部の社長になっていて、彼は、日本で唯一、三種類のシクロデキストリンを扱う会社を私が興すことを勧めたのでした。とても面白い勧めだったのですが、私は経営ではなくて、ずっと研究者でいたかったんですよね(笑)。当時はビジネスなんてとても…なんて思っていました」。
会社創立当時はどんな様子だったのでしょう?
「創業当時、売上もない中、応用ラボを持って4人で会社を回していましたね。三種類のシクロデキストリンの様々な用途を開発しました。その応用研究の成果が実り、年を追うごとに、多くの会社と取引できるようになりました。」
先週、お話にも出たヒトケミカルはご自身でもお使いになって、その効果を実証されていますが、別角度の用途もあるそうですね。
「最初はスポーツバフォーマンスで認知を目指していたんですが、2016年ごろから私の母親の介護が必要になってきました。
認知症が進むと介護する側も大変なんですよね。
日本は高齢化社会です。
これから私と同じような人が増えていくはず。
人間は60兆個の細胞からできています。その細胞にはすべてミトコンドリアがあってエネルギーが作られています。そのエネルギーを作るために必要な栄養素がヒトケミカルなのです。このヒトケミカルが介護予防のために必要なのです。2020年には日本は世界に先駆けて超高齢社会を迎えます。介護にも役立てばいいと思います」。
これからのビジョンはどうお持ちでしょうか?
「私は目指すポイントを決めて動いていないんですよね。
化学の立場で世界的に著名な人物で三共の創業者の高峰譲吉さんが、“なぜ医者にならなかったのか”という質問に“化学者は世界の多くの人々を助けることができる”と答えたそうです。
この言葉は私の中に強く残っています。
私はこの仕事を続けて作り出したものが7大栄養素に加わって8大栄養素にしたいと思っています。
このヒトケミカルを多くの人に知ってもらいたいです。
自分にはミッションだと思っています」。
私はこの仕事を続けてきて分かったことは、ヒトの健康寿命には特別な栄養素であるヒトケミカルが必要であることです。そこで、今後、栄養学では7大栄養素にヒトケミカルを加えて8大栄養素と教えてほしいと思っています。ヒトケミカルを多くの人に知ってもらいたいです。それを多くの人に知ってもらうことが、自分のミッションだと思っています」。
思い続け考え続けることで世界を変える。
このミッションをクリアする日は近いかもしれません。
熱い想いを持って仕事に臨んでいらっしゃいます。
アカデミックであり、ビジネス。
人を幸せにしたいという気持ちが素晴らしいですね。