2017年

6月18日

先代からの魂を受け継ぎ、100年を目指す

先週に引き続き、ゲストは繊維機械と建築資材のトップメーカー、ナンカイ工業株式会社の代表取締役・山岸彌平さん。
時代の先を読みながら、世の中のニーズである繊維機械や建築資材を手がけておられます。
大正9年から続く歴史のある会社ですが、その成り立ちは?
「先代からの会社なのですが、姉の旦那の会社、つまりは義理の兄が先代なんです。
息子か本当の兄弟のように可愛がってもらいました」



そんな中、先代から山岸さんにある提案があったそうです。
「昭和40年ごろですかね。
アメリカに行かないかと言われましてね。
当時はかなり珍しかったことだと思います」
パスポートとアメリカのビザを取得し、17日間かけて船でアメリカへ渡った山岸さん。
渡航後、アメリカではどんな暮らしをなさっていたのでしょうか?
「本当に色々ありましたね。
行く船の中から色々とありました(笑)。
1週間に10ドルかかる宿泊費をなんとかせねばと必死でした。
人の紹介でコロンビア大学に入学できたことがラッキーでしたが、3ヶ月で300ドルかかるんです。
夕方のコースで必死に勉強して、日本レストランで住み込みで仕事。
語学勉強で大学、帰ったら日本レストランなので日本語だらけ。
勉強にならなかったかもしれませんね(笑)」
この武者修行ともいえるアメリカ渡航。
結果的に3年もおられたそうです。

そんなアメリカの経験を経て帰国後、サラリーマンに。
その後にナンカイ工業へ。
「平成8年に義理の兄、当時の社長が急逝しましてね。
文字通りナンカイ工業の存続の危機です。
兄が持っておる貯金と家を守ることはもちろんですが、常々言われていた“織り機の最後の一台にしてくれ”も守りたかったんですよね。
つまり、仕事を会社を辞めないでくれ、というメッセージだったんです。
だから織り機は私の魂でもあるんです」

その魂を受け継ぎ、社員の皆さんに手厚い福利厚生が。
「うちのお客さんである積水ハウスさんで家を建てると会社にいる間、特別に毎月手当を支給しています。
その他にも親睦会や旅行とか。
一生懸命に仕事をしてもらっていますから、気持ちで応えたいですよね」
その気持ちが伝わって、社員さんの中には親子でお勤めの方がいらっしゃるそうです。
「親子で会社に勤めてくださる。
嬉しいことです。
僕の喜びのバロメーターでもありますね」

そんなナンカイ工業株式会社の未来とは?
「会社は“人”だと思います。
一も二も人です。
人があって、会社が成り立つ。
その人の力をお借りしながら、先を見て、手を打っていく。
例えばアベノミクスの時でもそうです。
恩恵を受けにいくのではない、掴みにいく姿勢が大切だと思います。
うちの会社ももうすぐ100周年です。
それに向けて頑張っていきますよ」

先代から受け継いだ魂。
その魂は人から人へ繋がり、さらに強く大きくなっていくことでしょう。



竹原編集長のひとこと

続けることが一番大切です。
でも大変なことなんですよね。
先を見据えて手を打って行く社長にはみんなついていきますよね。