上野誠の万葉歌ごよみ
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上野誠の万葉歌ごよみ
毎週日曜日 朝 4:45〜5:00

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。番組で紹介させていただいた方には、番組特製ポーチをプレゼントします。
〒530-8304 毎日放送ラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」
★1999年〜2007年6月までのHP
歌ごよみ!
上野誠コラム

【巻】7・1112…羽根蘰今する妹をうら若み
【巻】7・1100…巻向の痛足の川ゆ行く水の
【巻】7・1151…大伴の三津の浜辺をうちさらし
【巻】16・3807…安積山影さへ見ゆる山の井の
【巻】古今集より…灘波津に咲くやこの花冬こもり
◆6月のコラム
【巻】16・3836…奈良山の児手柏の両面に
【巻】8・1503…我妹子が家の垣内の小百合花
【巻】8・1480…わが宿に月おし照れり 霍公鳥
【巻】1・20…あかねさす紫野行き標野行き 
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【巻】7・1112…羽根蘰今する妹をうら若み
2008年6月29日

【巻】…7・1112

【歌】…羽根蘰今する妹をうら若み いざ率川の音の清けさ

【訳】…羽根蘰を今するあの娘がうら若いので、さあデートしよう!という「いざ」ではないが、率川の音は清々しい。
  
【解】…夏の恋が始まりそうなロマンチックで気持ちの良い歌です。羽根蘰は鳥の羽を冠状にしたもので、今で言うところのティアラみたいなものでしょう。イメージとしたら、少女の長い黒髪を引き立たせるような効果を持っていたのでしょうか。決意を込めて、「さあ!」と行動を起こす青年の気持ちの昂ぶりもイメージできそうです。「我、いざ行かん」というところでしょうか。
その同じ音の「率川(いざがわ)」は奈良市内にある川で猿沢の池に近い場所を流れる小川ただそうです。奈良を訪れる機会がありましたら、今日の歌を想いながら率川を探してみてください。さて、アナウンサーによる朗読イベント「おはなし夢広場」は8月24日(日)に昼の部・夜の部の二回公演です。是非、お越しください。チケットのお求めはお早めに。詳しくは、MBSのホームページをご覧ください。


上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【巻】7・1100…巻向の痛足の川ゆ行く水の
2008年6月22日

【巻】…7・1100

【歌】…巻向の痛足の川ゆ行く水の 絶ゆること無くまたかへり見む

【訳】…巻向の痛足(あなし)の川を流れ行く水。その水のように絶えることなく、また振り返ってみよう。
  
【解】…柿本人麻呂が詠んだ河の歌です。恋歌として、川の流れのように絶えることなく貴女を思うという解釈と、実際に巻向・痛足川のあたりに住んでいた恋人に贈ったのではという解釈があるようです。作者を巡る人間関係や時代背景などの情報があれば、様々な解釈が成立することが楽しみですね。また、心落ち着く場所としての痛足川を詠んだという解釈もあるようです。皆さんはご自分だけの心落ち着く場所をお持ちですか?
または、心落ち着かせる時間の過ごし方をお持ちでしょうか。さて、番組冒頭で六月は祝日が無いのはなぜかについての話題がありましたが、上野先生のおっしゃるサマーバケーションではじけるために耐える時期ではという説、面白かったですね。


上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【巻】7・1151…大伴の三津の浜辺をうちさらし
2008年6月15日

【巻】…7・1151

【歌】…大伴の三津の浜辺をうちさらし 寄せ来る波の行方知らずも

【訳】…大伴の御津の浜辺を打ちさらす寄せ来る波の行方は分からない。
  
【解】…「津」とは港で「御津」とは大切な港を言った表現だそうです。大伴氏は天皇に近い立場の重責を担っていた一族で、海防も担当していたため「大伴の三津」と呼ばれた難波の拠点港があったのでしょう。その浜辺に打ち寄せる波の表情を読んだ、ある意味ロマンティックな感じが抱かれる歌ですよね。
梅雨入りして曇天が続きますが梅雨の晴れ間がやってきたら、たまには海を眺めに行くのはどうでしょう。大阪湾なら、西の海に沈みゆく夕陽が見られるかも知れませんよ。変幻自在な水の存在感、地球上のあらゆる種類の生き物にとって不可欠な水。今日は海の波の表情を読み込んだ歌でしたが、来週は「川」をテーマにした歌をご紹介します。