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先日、繁昌亭の入場者が30万人を突破した。繁昌亭以外の会場にも、多くのお客様が足をお運び下さっている。今や、客席が閑散とした落語会はあまり聞いたことがない。昭和40年代にあった落語ブームの再来と言っても過言ではない。
その人気の火付け役になったのは、NHKの朝ドラ「ちりとてちん」と、それに出演していた桂吉弥くんであろう。彼の集客力は凄い。中でも女性の姿が多い。女性に人気があるというのは、実に大事なことである。
先週の金曜日、この番組が始まる直前、長岡マネージャーから電話があった。翌日は繁昌亭で、一門の後輩・由瓶くんとの落語会がある。「明日の会に、NHKが銀瓶さんの取材に来ます。銀瓶さんだけです。テーマは、女性に人気のある噺家です。銀瓶さんのみです」。それを聞くや、私はすぐに由瓶くんに電話をし、留守番電話にメッセージを残した。「どうも銀瓶です。明日、NHKが僕だけ取材に来ます。僕だけです。女性に人気のある噺家ということで、僕だけです」。
土曜日、楽屋に入ると、由瓶くんが口を尖らせ待っていた。私が開口一番、「そういうことやねん」と言うと、「その『そういうことやねん』が腹立ちますわ。でもね、お兄さん、これ聴いて下さい」と、彼が携帯のメッセージを再生した。私の声の後に長岡マネージャーの声で、「明日、銀瓶さんだけNHKの取材が入ります。銀瓶さんだけです。由瓶さんは無しです」とダメ押しのメッセージ。
落語会が始まった。トップの桂佐ん吉くんの後、私が高座へ。客席後方からNHKのカメラが撮ってくれている。続いて由瓶くん。すると、舞台からこんな声が聞こえてきた。「えっ?NHKさんのカメラいないの?さっきまでいてたんでしょ?」。NHKのスタッフはロビーに出ていた。実はこれは、私がお願いしていたのである。撮影もされないのに客席にカメラがあると、由瓶くんがやりにくいと判断したのだ。対談で再びカメラが入った。私がカメラに向かって、「すみません。由瓶くんも撮ってあげて下さい」と頼むと、撮ってくれた。彼は少し嬉しそうだった。しかし、絶対に放送されない。彼は満員のお客様の前でこう言った。「銀瓶さん、受信料払ってませんよ」。払っている。ホントに払っている。
男の嫉妬というのは実に恐ろしい。立場が逆転しないよう、精進するしかない。
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