大阪ガスとMBSラジオが制作するラジオドラマシリーズ「イストワール」。
毎回近畿に縁のある人物を取り上げてラジオドラマ化しています。
今回第7作で取り上げるのは、奈良大和路をこよなく愛し、数多くの写真を残した写真家、入江泰吉です。
■解説
奈良の代名詞とも言える写真を数多く残した写真家、入江泰吉。「入江調」と呼ばれるしっとりした作風は、今でも多くの人に愛され、慕われ続けています。まさに奈良の写真の代名詞です。
1992年には奈良市の高畑町に入江泰吉の名前を冠した「入江泰吉記念奈良市写真美術館」が開館し、入江作品をはじめ、かずかずの写真の名作を所蔵、展示しています。
また、入江の住んでいた水門町の家は、現在「入江泰吉旧居」として展示されており、入江の仕事ぶりや毎日の暮らし、交友関係、また、歴史文化への深い理解に裏打ちされた美意識やまなざしに思いをはことができる場として、人気スポットとなっています。
今回の「みつめればそこに」は、そんな入江泰吉が奈良の写真を撮影するようになったきっかけから、彼を支えた家族や仲間の姿を通して、文化を継承していく意義について考えたいと思います。
入江泰吉記念奈良市写真美術館
入江泰吉旧居
■あらすじ
大阪で写真館を経営していた入江泰吉・光枝夫妻は空襲で焼け出され、故郷の奈良に戻ってくる。人生の目的を見失いそうになった泰吉だが、疎開先から戻ってきた仏像を目撃したことをきっかけに、奈良しい風景、文化を後世に残すために、写真家として生きる覚悟を決める。
物語は入江邸のそばに立つ大きな欅(けやき)の視点から、写真家入江泰吉が故郷の奈良に帰り、この家に移り住み、亡くなるまでの半生を描きます。
■脚本 小栗 一紅(劇作家・俳優)
第17回名古屋文化振興賞・第13回OMS戯曲賞佳作 受賞。
執筆したラジオドラマ台本は短編を含め100本近くになる。かつて登大路にあった旅館「日吉館」を舞台にした「ちひさきもののうた」を書いたことで奈良とのご縁がはじまり、春日大社にて行われた奉納上映会や、奈良県主催の吉野シ ンポジウム「桜と共に生きる」などのイベントの企画運営に携わり、今も奈良の人々や社寺と親交を深めていっている。
■放送日時
放送時期:平成29(2017)年3月25日(土)
19時30分~21時00分
■出演
秋月雁・豊島由香・九谷保元・小室千恵・柴垣啓介(劇団ひまわり)
■制作
MBSラジオ
※フランス語のイストワールhistoire は、〈歴史〉という意味と〈物語,作り話〉という意味をあわせ持っています。
一般的に、歴史は事実に則したもの、物語は架空のものと分けて考えられていますが、「事実か嘘か」ではなく、その時代を生きた人物にとっての「真実」を描き出すところに、ドラマの妙味を見つけていきたい。
そういう意図を、このタイトル案に込めています。