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ブルーズ講座 (関西エリア 2001/11/11放送分)


秋の夜長とブルーな映画音楽
「スパイク・リーの後、新しいブラック・ムービー」特集

今回の放送曲目


My Love,Sweet Love / Patti Labelle

 前回と前々回、現代のブラック・ムービーの旗手であるスパイク・リーの特集をしたわけだが、スパイクの後を追いかけるようにアフリカン・アメリカンの映像作家たちが90年代次々とデビューしてきた。その中でも95年の「ため息つかせて/Waiting to Exhale」は異色と言ってよいのか、新しいアフリカン・アメリカンの姿を描いた映画だった。僕自身はこの映画を見終わった後、別段何かが心に残るというものでもなかった。今日最初の曲はホイットニーが歌うテーマ曲よりこのパティ・ラベルの曲の方が僕には印象に残ったので・・・しかし、大人しいまま終わるかな・・と思ったらやっぱりカンカンのとこまで行ってしまうパティ姉さんでありました。

 監督はすでに俳優としてその名をよく知られているフォレスト・ウィティカー/ Forest Whitaker 。彼は「プラトーン」「クライング・ゲーム」「スモーク」「フェノミナン」などメジャーな作品に出演しているので知っている人も多いと思うが、音楽好きの人たちにはクリント・イーストウッドが監督した88年の「バード/Bird」に主演した黒人俳優と言えば分かってもらえるだろう。彼はこの「バード」でカンヌ映画祭の主演男優賞とゴールデン・グローブ賞を受賞している。そのフォレスト・ウィティカーが(たぶん初めての監督だと思う)ホイットニー・ヒューストンほかアンジェラ・バセット、ロレッタ・ディヴァイン、レラ・ローコンのアフリカン・アメリカンの4女優を使って描いたのが現代のアフリカン・アメリカンのひとつの層である-教養もあり、地位もあり、財産もある黒人層の話だ。元々テリー・マクミランという女流作家のベスト・セラーを映画化したものだが、話の内容はコメディ調の恋愛もので、だらしない男から自立していく女性や自分のキャリアを成功させる女性、ダイエットに悩む女性などを描いているだけのことで、僕には裁判に勝って財産を自分のものにした時の女性のえげつないほどの喜びようしか印象に残らなかった。音楽はベイビー・フェイスが全面的にプロデュースし、全曲を女性シンガーたちが歌っている。そのシンガーたちとは、映画に出演しているホイットニーはじめアレサ・フランクリン、パティ・ラベル、チャカ・カーン、メアリー・J.ブライジ、トニー・ブラックストン、ブランディ、TLCなどなど・・・新旧のシンガーが参加している。

 このサントラの中でたった1曲だけベイビー・フェイスが書いていない曲で、チャカ・カーンが歌っているジャズの名曲を聴いてください。

My Funny Valentine / Chaka Khan

 なぜこの映画の話を出したかと言うとスパイクが描く黒人の世界と別にこういうハイソな世界がアフリカン・アメリカンにあるということを話したかったからだ。

 70年代以後、黒人の中に教育も受け社会でもそこそこ成功(なにを基準に成功と言ってよいかは疑問だが)し、立派な家に住み、高い車に乗り、ヨーロッパのブランドものの服を着る連中が出てきた。だからと言って彼等が人種の差別を受けていないわけではない。ここで重要なのはアフリカン・アメリカンがこういう金と地位をつかんだ層とゲットーに生きなければならない層とにどうもはっきり分けられつつあるということ。つまり前者の子供は親と同じように高い教育を受けられるが、後者の子供達は教育どころかドラッグと暴力の環境の中で生きていかなければならないというはっきりした2分化が起きているということだ。この映画はその前者のたわいもないラブ・コメディなわけだが、この映画もヒットしサウンド・トラックも評判になった。スパイク・リーの人種に過激なメッセージに共感しないわけではないが、そこまで過激になると自分の生活基盤を奪われる恐れをもつ黒人層がいる。それがこの映画で描かれている人たちではないだろうか。その人たちがスパイクの映画から遠離っているのではないかという気もする。

 この映画の音楽プロデュースをしたベイビー・フェイスが初めて映画作りに乗り出したのが「ため息つかせて」のテイストも幾分入っている「ソウル・フード」。まずは「ソウル・フード」サントラの最初に入っているBoyz II Menが歌うこの曲。

Song For Mama / Boyz II Men

 映画「ソウル・フード」はジョージ・ティルマンという人が監督で、脚本も彼が書いている。その脚本を見てベイビー・フェイスは制作を担当する気になったらしい。ストーリーは黒人家庭にありがちな父親がいない家庭で、母親が子供を育て家族をまとめていく・・その象徴として母親の作ってくれた美味しいソウル・フードがあった・・というもの。主演はヴァネッサ・ウィリアムスで役者はすべて黒人。

 もう1曲「ソウル・フード」サントラから。

Boys And Girls / Tony Toni Tone

 この「ソウル・フード」は白人層も巻き込んで大ヒットとなったのだが、白人層の共感を得たのはいわゆる大家族が減ってきたことに対する郷愁らしい。僕もこの映画はブラック・ムービーという感じがしなかったが、こういうタイプのブラック・ムービーがこれから増えていくのだろうか・・。音楽はいまいち好きなものは少なかった映画だったが次ぎの97年公開の「ラブ・ジョーンズ/love jones」には好きな曲が多かった。まずはカサンドラ・ウィルソン。

You Move Me / Cassandra Wilson

 映画は大人向けのラブ・ストーリーで「ソウル・フード」に比べるといまのカサンドラもそうだが、かなりジャージーな曲が多く次の曲などはもうもろジャズですが・・。偉大なるジャズマンふたりの共演です。ピアノはデューク・エリントンそして、サックスはジョン・コルトレーン、この名曲を書いたのはエリントン。もう言うことは何もありません。

In A Sentimental Mood / Duke Ellington&John Coltrane

 現在最も活躍しているジャズ、フュージョン界のベーシストふたりの共演という面白い演奏もこのサントラには入ってます。マーカス・ミラーとミシェル・ンディゲオチェロです。途中のポエットリー・リーディングはミシェルなのでしょうか?

Rush Over / Marcus Miller & Me'shell Ndegeocello

 ディオンヌ・ファリスやローリン・ヒルも入っているが、このふたりのこのアルバムの曲は以前聴いてもらったので今日は若いグループで僕も贔屓にしている「ブラン・ニュー・ヘヴィーズ」を1曲。

I Like It / Brand New Heavies

 やっとブルーズが出たか・・・と思ってる人もいるかと思いますが、次のブルーズこのサントラではリンカーン・センター・ジャズ・オーケストラが演奏者としてクレジットされていますが、これは歌っているのはたぶんビリー・エクスタインではないかと思います。このブルーズはエクスタインとアール・ハインズが書いた有名な曲ですから・・。

Jelly Jelly / The Lincoln Center Jazz Orchestra

今回の放送曲目




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