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ブルーズ講座 (関西エリア 2000/11/05 放送分)


チャートとブルーズ
ブルーズを愛し、自分達の音楽にそのテイストを取りこんだ
ブリティッシュのミュージシャンたち


今回の放送曲目


HomeWork/Otis Rush

 50年代後半、シカゴには「四天王」とも言える才能のある4人の若手のブルーズマンがいた。ジュニア・ウエルズ、バディ・ガイ、マジック・サム、そしていま聴いてもらっているオーティス・ラッシュだ。この4人の中でスターへの到達点に最も近かかったのがこのラッシュだった。彼は50年代終わりにシカゴのマイナー・レーベル”Cobra/コブラ”に濃厚な、そして火が出るような激しいブルーズを吹き込んでいた。

 アメリカの白人たちがブルーズに見向きもしなかった頃から、ブルーズに傾頭していたイギリスのミュージシャンたちにラッシュのブルーズは聴かれていた。そして、名門”チェス”で吹き込んだ”All Your Love”はブルース・ブレイカーズ時代のクラプトンにほとんどフル・コピーの状態でレコーディングされ、コブラ時代の”I Can't Quit You Baby””You Shook Me”などはのちにハード・ロックの礎となった”レッド・ツェペリン”などにカヴァーされた。

 60年代に入りラッシュは黒人経営のレコード会社として、ゲイトマウス・ブラウン、ボビー・ブランド、ジュニア・パーカー、ジョニー・アダムスなどブルーズ、R&Bの至宝のシンガーを擁し、マイナーだが黒人たちの間では全国的に名を馳せていた「デューク・ピーコック」と契約。そして、発表したのが62年のこのR&B的ブルーズの「Homework」。ホーン・セクション6人をバックにパワーのある歌と演奏を聞かせているラッシュにしてみれば前途は洋々たるものだったはずだ。

 第2のBB.Kingとの呼び声もあったが、しかし・・・リリースされたのはわずかこの1枚のシングルだけで、ラッシュは契約上ほとんど「デューク・ピーコック」に飼い殺しにさせられた。彼は次第に人間不信のような状態になり、精神を病むところまで追い込まれていく。一説にはブランドをブルーズ・スターにするために「デューク・ピーコック」がラッシュのレコーディングを押さえたというのだが・・・真実はわからない。以後69年の「Mourning in the Morning」まで、7〜8年間ラッシュにまともなレコーディングはなされなかった。

 もうひとりの四天王、ジュニア・ウエルズはマディのバッキングなどをつとめながら、50年代から”ステイツ””チーフ”と言ったマイナー・レーベルを渡り歩き、”Little by Little”(59年)、 ”Messin' with the Kid”(60年)などのちょっとしたヒットを出してきていた。

 そして、スリーピー・ジョン・エステス、ビッグ・ジョー・ウィリアムスの再発見で有名な白人ブルーズ・コレクター、ボブ・ケスターが興した新進のレーベル『Delmark/デル・マーク』と契約。後にずっと相方となるバディ・ガイのギターをバックに1965年に”Hoodoo Man Blues”を発表。実はこれが白人層にも売れてデルマーク・レコードの最もセールスしたアルバムのひとつとなった。と言ってもチャート上位に顔を出すわけではないが・・。

Hoodoo Man Blues/Junior Wells

 ジュニアはその後も「Vanguard」「Blue Rocks」といったレーベルでコンスタントにレコーディングを続けていく。68年の”You're Tuff Enough”(Blue Rock)ではジエイムズ・ブラウン・マナーのファンク・テイストがあちこちに噴出し、本領発揮となった。

 さて、話がすこし前後するが前回も言ったようにアメリカの白人たちにブルーズの素晴らしさを教えたのはイギリスのロック・ミュージシャンたちだったが、60年初期中期、どれほどイギリスがブルーズ、R&Bに感化されたか・・ざっとブルーズ、R&B系のバンドを挙げてみようか。the Animals The Rolling Stones TheSpencer Davis Group The Them John Mayall& the Blues Brakers,The Yard Birds The Troggs The Zombiesなどなど、もちろんビートルズも黒人音楽なくしては語れない。そのたくさんのイギリスのグループの中で僕がブルーズ度No.1と思うのは彼だ。

Don't let me be misunderstood/the Animals

 アニマルズのVo.エリック・バードンはR&Bのレイ・チャールズ、サム・クックからR&Rのチャック・ベリー、そしてブルーズのジョン・りー・フッカー、ジミー・リードと黒人音楽はオール・ラウンドにすばらしい。チャック・ベリーのカヴァーなどは歌だけで言えばアニマルズの方がいまでも好きだ。

Eric Burdon(the Animals)、Steve Winwood(Spencer Davis Group)、 John Lennon&Paul MaCurtony (The Beatles)、Van Morrison(The Them)、 George Fame(Blue Frames)、Mick Jagger(The Rolling Stones)・・・

 これは60年代当時中高生だった頃を思い出して僕がつけたイギリスのヴォーカリストのランクだ。やはり10代半ばであんなストーンズは演奏力も含めてデビュー当初決してうまいバンドではなかった。ただ、”Out Law”的なバンドのイメージはカッコ良かった。では第2位のSteve Winwoodが在籍したスペンサー・デイヴィス・グループ。

Keep On Running/Spencer Davis Group

 ちょっとモータウン風の曲調でこれがデビュー・シングル。なんとスティーヴ・ウィンウッドはまだ17才ほど。兄のマフとともにスペンサー・デイヴィスに誘われてバンドに入ったスティーヴだったが、歌上手い、オルガンうまい、ギターも弾ける、ルックスいい・・・いつも「スティーヴ・ウィンウッド・グループ」だなぁと思ってしまう。

 次はちょっとビートルズをのけて、ヴァン・モリソンへ。60年代イギリスのバンドはドイツあたりのクラブに出稼ぎによく行ってたらしく、ビートルズのハンブルグでの若き日のライヴ・レコーディングも残っている。アイルランド出身のこのThem/ゼムもドイツで鍛えられたタフでワイルドなバンドで、とくにいまも現役で活躍するヴォーカルのヴァン・モリソンは。

 彼等の最も有名な曲は””Gloria”だが、デビューして最初にUKのチャートに出たのは65年の”Here Comes the Night” と”Baby Please Don't Go”だった。今日はモリソンの暑苦しい・・いや熱気ムンムンのブルーズ・ヴォーカルが聞ける ”Baby Please Don't Go”を。

Baby.Please don't go/Them

 つぎはヴァン・モリソンとは古い友だちです。

Yeh Yeh/George Fame

 この曲で64年のチャート1位に輝いたジョージ・フェイムはブルーズからR&B、ジャズ系までプレイするキーボード・プレイヤー、ヴォーカリスト。やはりレイ・チャールズなどの影響が強くブルー・フレイムスというバンドを率いて60年代活躍したが、その後次第にジャズ系統に向い現在はベン・シドランのプロデュースを受けたアルバムを残している「Go Jazz」レーベルに所属している。

 数年前、ニューオリンズでひとつ前に流したヴァン・モリソンのライヴが、オールマン・ブラザーズと同じ日にあり迷ったが、僕は念願の「アメリカでオールマンを聴く」に行った。後からヴァン・モリソンへ行った人に聞いたらオルガンがジョージ・フエイムだったそうだ。もちろんすごく良かったということだった。オールマンもすごく良かったので後悔はしていないが、酷な選択だった。

 さて、つぎはミックだ。

Get off Of my cloud/The Rolling Stones

 65年リリース、ストーンズ8枚目のシングル。これの1ケ月前に「サティスファクション」が大ヒットして1位になり、この曲も1位になったが僕は断然この曲の方が好きだ。チャーリー・ワッツの不器用そうな、でも男っぽい武骨なドラミング。ギターのカッティングのかっこ良さ。ミックの跳ねるヴォーカル。ストーンズはこのあたりからオリジナル路線に突っ走り、ブルーズをプレイするバンドを目ざしたブルーズ・フリーク、ブライアン・ジョーンズの初心とは違う方向へ転がっていく。

Devil in her heart/The Beatles

 これは僕もオリジナルを聞いたことがないもので、62年に黒人R&B、女性コーラス・グループの「ドネイズ」が”Devil in his heart”というタイトルでリリースしたもの。ほとんどヒットしていない曲。”Money” ”You Really Got hold on me” ”Twist &Shout””Mr.Moonlight” ”Baby,It's You” ”Please Mr.Postman”・・・と、ビートルズが、かなりのR&Bマニアであることは知られているが、では”Anna”というのは誰の曲でしょうか?正解アーサー・アレキサンダー。僕は黒人音楽を知ってから彼を知ったのだけど、ほんとに素晴らしいシンガーであり、ソング・ライターです。ほのぼのしたい人は是非探してください。

 今日紹介したストーンズもビートルズもアニマルズも・・ほとんどのバンドが自分たちのオリジナルにブルーズ・テイストをとりこんでいた。

For Your Love/TheYard Birds


今回の放送曲目




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