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週間地震概況 地震の基礎知識 概況過去記事 トップへ戻る
 「もっと大きな地震が来るかもしれない」。震災で多くの人が余震を恐れました。
しかし、本震よりも大きな余震はありません。 地震の活動期に入った今、防災意識とともに必要以上に不安にかられないための知識も必要です。 1998年10月にスタートした週間地震概況では、1週間に起きた地震を解説し、地震や災害の基礎知識を妹尾和夫と魚住由紀の会話で親しみや すく伝えています。(監修:京都大学防災研究所 梅田康弘教授)。
古墳から南海地震の痕跡
2006年1月7日放送
妹尾:では、週間地震概況をお伝えしましょう。

魚住:年末の31日は番組がありませんでしたので、今週は2週間分の地震概況をお伝えします。

12月28日(水)午前0時25分頃、和歌山県北部でマグニチュード2.0の地震があり、和歌山市で震度1の揺れを観測しました。
この地震は和歌山市のほぼ真下、深さ4kmのところで起きました。
マグニチュードは2.0と小さかったのですが、震源が浅かったため、真上では震度1の揺れになりました。

同じ28日午前11時18分頃、三重県中部でマグニチュード3.7の地震があり、名張市で震度3の揺れを観測したのをはじめ、三重県や滋賀県、京都府、奈良県にかけての広い範囲で震度1〜2の揺れを観測しました。
この地震は名張市のほぼ真下、深さ50kmのところで起きました。
この付近に沈み込んでいるフィリピン海プレートで起きた地震です。

同じく28日午後2時52分頃、愛知県西部でマグニチュード3.8の地震があり、愛知県西部から京都府にかけての広い範囲で震度1〜2の揺れを観測しました。
この地震は愛知県津島市(つしまし)のほぼ真下、深さ12kmのところで起きました。
津島市の西には養老(ようろう)断層があり、この付近も地震が多いところです。

年が明けて、今週は和歌山県北部で2回、地震がありました。
最初の地震は1月2日(月)午後11時38分頃、日高町(ひだかちょう)の西部で起きたマグニチュード2.9の地震で、御坊市で震度2、由良町(ゆらちょう)で震度1でした。
ふたつ目の地震は、4日(水)午前0時11分頃、和歌浦湾で起きたマグニチュード2.2の地震で、海南市と有田市(ありだし)で震度1でした。
2回の地震とも和歌山県北部で日常的に起きている地震です。

6日(金)午前1時頃、紀伊半島沖でマグニチュード2.9の地震があり、奈良県下北山村で震度1でした。
この地震は尾鷲(おわせ)の南東沖、深さ30kmの海底で起きました。
この付近に沈み込んでいるフィリピン海プレートで起きた地震です。

全国では(この2週間で)49回、体に感じる地震がありました。


妹尾:魚住さん、年末に古墳から地震の痕跡が出てきたってニュースになりましたね。名前はえーと、「カ・ヅ・マなんとか」でしたっけ?

魚住:そうそう、カタカナで「カヅマヤマ古墳」。
奈良県の明日香村にある古墳です。
明日香村の教育委員会が発掘しているんですが、この番組でもおなじみの「地震考古学」の専門家、産業技術総合研究所の寒川旭(さんがわ・あきら)さんも調査に加わりました。

妹尾:「地震考古学」って確か、考古学の遺跡を発掘したら昔の地震の跡がいっぱい出てくるから、それを調べる学問ですよね。で、このカヅマヤマ古墳ではどんな地震の跡が出たんですか?

魚住:古墳が真っ二つになって、南側がドサーッと2mくらい崩れ落ちました。
妹尾:だとすると、かなり揺れたんでしょうね。

魚住:震度で言ったら「5強」、いや「6弱」くらいでしょうか。
人が立っていられないくらいゆっさゆっさと激しく揺れました。

妹尾:あなた、なんか実際、横で見ていたようなこと言いますね。

魚住:実は寒川さんに聞いたんです。この古墳では地震が起きた年代がだいたいわかったそうなんですよ。いつ頃だと思いますか?

妹尾:急にそんなこと言われても・・・。
そもそも、古墳が造られたのはいつですか?

魚住:古墳時代の最後のほうで、7世紀の終わりだそうです。

妹尾:ということは、地震はそれより後ですね。
ようわからんけど・・・ほな、秀吉さんのころ!

魚住:近いと言えば近いけど、もう少し前の14世紀なんです。

妹尾:その年代って、どうしてわかったんですか?

魚住:実は、ちょっと悪いことをしようとした人たちのおかげなんですって。

妹尾:なんですか、それ?

魚住:古墳の真ん中には偉い人を埋葬する石室があるんですが、そこに使っている大きな石が大量に盗まれたんです。それで古墳がもろくなって、直後に起きた地震で壊れてしまったんですよ。

妹尾:へえ。そんなことがあったんですか。

魚住:それで、石を抜き取った人たちが、現場にお皿を残して行ったんです。
たぶん、作業しながら飲んだり食べたりしてたんじゃないかと…

妹尾:へええ。大胆不敵やね。

魚住:その残されたお皿が13世紀後半の鎌倉時代の年代のものだったので地震も14世紀ぐらいではないかと推定できたというわけです。


妹尾:その頃に地震が起きたっていう記録はあるんですか?

魚住:ありますよ。妹尾さん、「太平記」って知ってますか?

妹尾:私、日本史大好きでしたから、知ってますよ。
えーと、南北朝の頃で・・・確か、楠正成が活躍する話もありますね。

魚住:その中に西暦1361年に大きな地震があったことが書いてあるんです。
大阪の四天王寺の金堂が倒れるくらい揺れて、徳島県の由岐町(ゆきちょう)では津波で大勢の人が亡くなりました。

妹尾:それって・・・まるで南海地震みたいじゃないですか?

魚住:そう!これは昔の南海地震なんです。
元号でいうと正平(しょうへい)16年に起きたので、「正平(しょうへい)南海地震」とよばれています。

妹尾:なるほど。そうやって文献と地震の跡をつなぎ合わせていって、わかっていくというわけですね。

魚住:南海地震は近々、21世紀の前半には起きると予測されていますから、寒川さんは「考古学の遺跡を見る人たちが『地震で揺れたらこんなふうになるんだ』って実感して、地震への関心が高まってくれたらいいと思います」とおっしゃっていました。

妹尾:ほんまやね。魚住さん、また地震考古学の話、取り上げてね。

魚住:はい。以上、週間地震概況をお伝えしました。
ウィークエンドネットワークでした。

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